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2013/05/08 ルネサス会長兼CEOにオムロン会長の作田氏起用

今日は、ルネサスのトップ人事の話題からです。

 

【一部抜粋】


・経営不振の半導体大手、ルネサスエレクトロニクスは7日、オムロンの作田久男会長を会長兼最高経営責任者(CEO)に迎える人事を固めた。ルネサスの鶴丸社長は留任する。

・政府系ファンドの産業革新機構やトヨタ自動車などが9月末までに1500億円程度で共同買収する予定。

・車載用半導体など今後の成長が見込める事業に明るい作田氏をトップに招き、経営再建を急ぐ。

・作田氏はオムロンの車載部品事業を主力事業に成長させた実績があり、その知見を生かせるとみる。

・ルネサスは構造改革の遅れもあり、前進企業も含めて13年3月期まで8期連続の最終赤字となったもよう。

(2013年5月8日付の日本経済新聞朝刊9面より)


 

ルネサスの経営不振については、BizBlogでも取り上げてきましたね。

 

【過去のIKP-BizBlogの記事】

2012/09/26 ルネサス、官民で買収

2012/05/28 ルネサスエレクトロニクス、再建の行方は?

 

 

オムロンといえば、体温計などの健康管理機器のイメージが強い方が多いと思いますが、そんなオムロンの会長が今回の人事でCEOに選らばれた経緯について少し考察してみようと思います。

◆オムロンのステータス

オムロンといえば、血圧計や体温計などの健康管理機器が馴染みでしょう。

実際は、電子部品関係の総合メーカーとして、幅広く部材を提供している会社です。

売上1兆円超す京セラ、8000億円程度のTDKについで、オムロンは6500億円程度です。

部材メーカーとしては日本電産があり、売上規模は直近の平成25年3月期で7000億円を超えてきているので、規模的にはオムロンより若干大きいと言えますが、こちらはモーターにほぼ特化している部材メーカーですので、オムロンとは業態的には違いがあると言えるでしょう。

 

最近出たばかりの平成25年3月期も含めて、ここ最近の財務状況を確認してみようと思います。

まずは売上高、営業利益、ROEあたりから見てみましょう。

 

 

【リソース】IKP財務データベース。但し、平成25年3月期及び平成26年3月期の予測は決算短信より。

 

【リソース】IKP財務データベース。但し、平成25年3月期及び平成26年3月期の予測は決算短信より。

 

【リソース】IKP財務データベース。但し、平成25年3月期及び平成26年3月期の予測は決算短信より。

 

 

【リソース】IKP財務データベース。但し、平成25年3月期は決算短信より。

 

ご多分にもれず、2008年のリーマンショックで売上・利益ともに大幅に減少しており、そこから徐々に回復基調にあります。

ただ、リーマンショック前の水準までには戻れておらず苦戦していると言えます。

 

財務状況は、自己資本比率が直近・平成25年3月期で65%となり財務健全性は高いと言えるでしょうか。

 

キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

 

【リソース】IKP財務データベース。但し、平成25年3月期は決算短信より。

 

キャッシュフローの状況も順調と言えますね。

ただ、一時投資CFが減少し、十分な投資先がなかったと見えます。

その分、借入債務の返済にキャッシュを充てている状況です。

自己資本比率も65%と高い状況にあるので、M&Aを含めて何か戦略的なものを打ち出していく必要があるかもしれませんね。

 

次に、セグメントの状況についてみてみましょう。

セグメントの内容は次のとおりです。 

【セグメント内容】

インダストリアルオートメーションビジネス(IAB)

プログラマブルコントローラ、モーションコントロ0ル機器、センサ機器、検査装置、セーフティ用機器、レーザー微細加工装置、制御専用機器等

エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス(EMC)

リレー、スイッチ、コネクタ、アミューズメント機器用部品・ユニット、業務民生用センサ、モバイル機器搭載部品、顔認識ソフトウェア等

オートモーティブエレクトロニックコンポーネンツビジネス(AEC)

電動パワーステアリングコントローラ、パッシブエントリープッシュエンジンスタートシステム、キーレスエントリーシステムなどの無線機器、多機能コントローラ、パワーウィンドウスイッチや各種車載用スイッチ等

ソーシャルシステムズ・ソリューション&サ0ビス・ビジネス(SSB)

駅務システム、交通管理・道路管理システム、カード決済サービス、安心・安全ソリューション、環境ソリューション、関連メンテナンス事業等

ヘルスケアビジネス(HCB)

 

電子血圧計、電子体温計、体重体組成計、電子歩数計・活動量計、電動歯ブラシ、血糖計、生体情報モニタ、血圧監視装置、ネブライザ、心電計、動脈硬化検査装置、内臓脂肪計等

その他

 

ソーラーパワーコンディショナ、エネルギーマネジメント用機器、省エネサービス、産業用組み込みコンピュータ、無停電電源装置、、、ほか

 

 

セグメント別の売上高比率、営業利益比率推移は次のとおりです。

 

【リソース】IKP財務データベース。但し、平成25年3月期は決算短信より。

 

 【リソース】IKP財務データベース。但し、平成25年3月期は決算短信より。

 

これをみると、IAB事業がベースになっていることがわかりますね。

今回のテーマであるAEC事業は規模的に第3位ですね。10%程度の割合を占めているようです。

AEC事業は、車のパワステや最近では標準的なキーレス(ボタンで鍵が開く、エンジンがかかるといったもの)システムなどを手掛けているようです。

 

セグメント別の営業利益推移を見てみましょう。

 

 

【リソース】IKP財務データベース。但し、平成25年3月期は決算短信より。

 

これをみても、IAB事業の利益率が非常に高いのがわかります。

次に高い利益率で推移しているのがHCB事業みたいです。

やはりヘルスケア事業は利益率が高いみたいですね。

 こうみてみると、オムロンは車載用部材を多く供給していることがわかります。

 また、オムロンの投資有価証券には、トヨタ自動車の株式を60億円程度計上されており、総額200億円ぐらいの投資有価証券の中で30%程度占めていることを鑑みる、トヨタ自動車向けの部材が多く供給されている可能性がうかがえます。

 

 ルネサスの再建には革新機構が中心的な位置づけにあるとしても、トヨタ自動車の役割も大きいと考えられます。

こうした中で、自動車部材の1つであるマイコン事業をコントロールする経営能力として、オムロンの作田会長が人選されたものと理解できます。

 有価証券報告書の役員経歴には、EMCカンパニー社長だったことしか記載されていないので、AEC事業にどれだけ携わってきたのかは不明ですが、半導体ビジネスの中心的企業の経歴でない作田氏が抜擢されている点で、過去にトヨタ自動車側の信頼が厚い方であると考えて間違いないでしょう。

 

 ルネサスの経営不振は、前進企業であるNEC、日立製作所、三菱電機の3社の持ち寄り所帯で、工場設備等の重複による無駄が多かったこと、これらについて大胆なリストラを展開できなかったことが主な原因と言われています。

 半導体メーカーの一角を担っていたDRAM専業のエルピーダが倒産したことを契機に、ルネサスも抜本的な見直しが必要となり、米・投資ファンドKKRが買収案を提案してきた、、というスパイスもあって、産業革新機構を筆頭にした日の丸連合での出資・再建が予定されることになりました。

 特に、ルネサスは車載用のマイコン事業が世界シェア4割のトップメーカーであり、トヨタ自動車をはじめとする自動車会社が多く参画しているのが特徴です。

 昨今の自動車はますますシステム制御が複雑化しており、高品質で安定したマイコン供給は死活問題であり、ルネサスの抜本的な改革は必須と言えます。

 

 作田会長は難しい舵取りが迫られると思いますが、ルネサスの今後の行方を注視していきたいですね。

 以  上

【関連記事】

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