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2012/02/06 日立、グループ再編発表 「部門の壁」崩壊へ

今日は、金曜日に日立が発表した部門再編の話題から。

日立製作所については、以前のBizblogのこちらの記事をご覧ください。

2011/11/02 日立、純利益68%減 日立グループの収益構造

 

<2012年2月3日 日経電子版の要約から>


・日立製作所は3日会見し、全事業領域をインフラや情報・通信など5つのグループに再編する新たな組織体制を発表。関連性の高い複数の事業部門をグループ傘下で一体運営し「部門間の連携を促す」と強調。各部門が個々に事業展開する現体制では独シーメンスなど世界の強豪に勝てないと判断

・社内カンパニーや子会社を4月1日付で「インフラシステム」「情報・通信システム」「電力システム」「建設機械」「高機能材料」の5グループに分類する。現在7つある社内カンパニーは6つに集約し各グループに所属させる。

・インフラ、情報・通信、電力の3グループのトップには本社の専務と常務を充て、グループに所属する社内カンパニーなど事業部門の予算や人事などの権限を与える。これにより部門間を遮る物心両面の“壁”を壊し、連携を加速させる。

5つのグループとは別に社長直轄の「社会イノベーション・プロジェクト本部」も新設。大型案件などのとりまとめ役として、「情報・通信とインフラのノウハウを組み合わせて有効な提案をする」(中西社長)。

本社副社長を「日立グループ中国・アジア地区総裁」に任命し中国に常駐させる。中国現地の開発・生産機能を強化しアジア市場を開拓するほか、台頭する中国企業への対抗策を立案・実行する機能を高める。


<記事要約はここまで 日経電子版の記事はこちら

◆業績堅調な日立グループ

BizBlog読者のみなさまもご存知のとおり、日本の電機大手は軒並み業績不振となっています。

特に、家電系のパナソニックやシャープ、電子系のソニーも大幅な最終赤字を計上しており、厳しい状況になっています。

 

パナソニックでは、2012年3月期の最終予想損益は去年10月末に発表した△4600億円から3200億円ほど下方修正し、△7800億円となっています。営業利益も1300億円から1000億円減少の300億円になると発表しました。

 

2012年2月3日 パナソニック公表「平成24年3月期第3四半期決算短信〔米国基準〕(連結)」」

2012年2月3日 パナソニック公表「2011年度第3四半期連結決算概要」

【リソース】パナソニックHPより

 

ソニーも2012年3月期の最終予想損益は△2200億円となり、第2四半期公表の際の予想損益△900億円から大幅に下方修正しています。ソニーは営業損益時点で△950億円の営業赤字であり、非常に厳しい結果となっています。ソニーではこれを受けて、ストリンガーCEOが取締役会議長となり、副社長の平井氏がCEOとなりました。

 

2012年2月2日 ソニー公表「平成24年3月期第3四半期決算短信〔米国基準〕(連結)」」

2012年2月1日 ソニー公表「ソニーグループの新経営体制について」

【リソース】ソニーHPより

 

 

こうした中で、大幅な赤字となることなく、しっかりとした数字を作っているのが日立製作所。

業績も据置しており、2012年3月期の予想損益は、売上9兆5000億円、営業利益4000億円、最終利益2000億円となっています。

 

2012年2月2日 日立製作所公表「平成24年3月期第3四半期決算短信〔米国基準〕(連結)」」

【リソース】日立製作所HPより

 

営業利益で前期比△21.4%、最終利益に至っては△56.4%で半減となっており、業績そのものは大幅に低下しています。それでも他企業に比較すればまだ黒字を確保していることがわかります。

 

なお、最近四半期は以下のとおりです。

 

日立製作所 四半期情報.pdf

【リソース】IKP財務データベース

※IKP財務データベースは四半期報告書のデータを利用しており、決算短信は含まれておりません。

 

日立の業績安定の最大の要因は、インフラ系です。

以前のBizBlogでも解説したように、日立は総合電機の中でもどちらかといえば重電系の電機会社です。

近年の新興国を含めた世界的なインフラ投資が旺盛であることを受けて、安定した業績を確保しています。

 

日立は、テレビ事業は、日立ブランド(Woo)での企画・販売は行うものの2012年9月末で自社生産からは完全撤退となり、コンシューマ系の不採算事業を縮小させています。また、HDD事業もウェスタンデジタル(米)に売却するなど、インフラ系シフトを鮮明にしています。

◆日立、世界のライバル企業と戦うためのグループ再編へ

日立製作所は、インフラ系会社としてゼネラル・エレクトリック(GE/米)やシーメンス(独)がライバル企業となります。

GEとは原子力関連で、GE日立ニュークリア・エナジーとして統合展開していますが、全般的には競合他社と言えるでしょうか。

ちなみに、シーメンスは、ドイツの非原子力化の政策転換を受けて、原子力事業から完全撤退することを表明しました。

 

日本企業としては三菱重工と協力関係にあり、経営統合のニュースも出たことがありますが、今はインフラ事業などの一部で事業協力を展開している状況にあります。

 

鉄道車両では、アルストム(仏)、シーメンス、ボンバルディア(加)の3社が競合といえます。日本では川崎重工が競合でしょう。

 

日立は、こうしたインフラ企業と競争していく必要があります。

日立が世界的に特異な企業と言えるのがハード部分以外にITシステム部分を提供できることでしょう。

スマートグリッド構想でもわかるように、発電プラントといった重電部分だけでなく、電力量をコントロールするシステム(EMS)が不可欠であり、社会インフラであってもシステム部分は欠かせません。

 

こうした中で、今日の本題であるグループ再編となったようです。本体の7つの社内カンパニーも含めた再編となっています。

報道にあるように、グループを以下の5グループ+1に再編。

 

■インフラシステムグループ(白モノ家電などはこのグループ)

■情報・通信システムグループ

■電力システムグループ

■建設機械グループ

■高機能材料グループ

+■(社長直轄)社会イノベーション・プロジェクト本部

 

今後のセグメンテーションが上記のセグメント報告となるかは不明ですが、今年の4月1日よりスタートします。

なお、「インフラシステム」と「情報・通信システム」のブリッジ機能とキーアカウントを対象にした顧客密着型の総合営業、市場開拓型の地域営業、サービス事業モデルの創設のため、社長直轄の「社会イノベーション・プロジェクト本部」を創設しています。

 

日立製作所 会社機構図(2012年1月現在)

2012年2月3日 日立製作所公表「日立の新たな経営体制についてーインフラシステム事業の成長加速に向けてー」

【リソース】日立製作所HPより

 

日立製作所の今後の世界展開に注目したいところですね。

以上

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