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2012/05/14 パナソニック 復活へ背水

今日は、5月12日(土)の日経朝刊9面、パナソニックの決算発表の話題から。

 

<2012年5月12日 日経朝刊9面 記事要約>


・パナソニックは11日、2013年3月期の事業方針を発表した。2012年3月期の最終損益△7721億円から500億円の黒字に転換させる計画。

・今期の回復の原動力は、赤字の主因となったテレビ事業の改革と海外での白物家電の拡販。テレビでは設備縮小などの構造改革や機種の絞り込みなど合理化を図る。

・サムスン電子などが進める有機ELテレビについて「すべて自前で投資する可能性は極めて低い」(大坪社長)とコメント。

・ただし市場環境は厳しい。前期販売台数は1752万台だったが今期は1500万台へさらに減る。テレビの営業損益は今期も赤字。

・足元の稼ぎ頭は前期に800億円超の営業利益を計上した白物家電。今期は海外売上高を20%伸ばす予定。

・ただこうした施策を打っても、今期に見込む最終利益はピークの5分の1。

・成長分野位置づけの電池事業も、リチウムイオン電池はサムスン電子の追い上げ、太陽電池は中国勢の安値攻勢を受ける。

・新経営陣に求められるのは中長期的な成長経路を具体的に示すことだ。テレビ工場や三洋電機の買収による巨額投資で投資余力は限られれている。


<要約記事はここまで>

 

過去のBizBlogでも多く取り上げてきた電機産業ですが、来季も苦戦が強いられそうですね。

 

2012/02/08 パナソニック最終赤字7800億円

2011/11/01 パナソニック 今期最終赤字の見込み テレビ事業縮小

 

今日は、決算発表資料を中心に、パナソニックの今後について点検していこうと思います。

◆パナソニックの業績推移

パナソニックの業績推移は以下のとおりです。

 

 

【リソース】パナソニックHPにあるDATABOOKより。2012年、2013年度は筆者が短信より転記し加工。 

 

2007年、2008年頃は9兆円レベルの売上計上していたことから、減収となっていることが明らかです。

営業利益・最終損益も2007年、2008年を山にして減益となっているのがわかります。今年の2012年度は歴史的な大幅赤字であったこともこれでわかるでしょ。

なお、2002年から2012年の間では、累計で約8700億円程度の赤字となっていることがわかります。

今年の大幅な赤字を除いても1000億円レベルで赤字ですから、10年間は業績が厳しいことがわかります。

◆2012年3月期の概要

世界的な景気低迷、超円高、タイの大洪水などの影響を受け大幅な減収減益となっています。

三洋電機などの大幅な減損計上もあり、営業利益ベースでは437億円の黒字を計上し、営業黒字をかろうじて達成したものの、最終利益では△7722億円と大幅な赤字に陥っています。

 

【リソース】2012年5月11日 パナソニック公表『2011年度決算概要 2012年度見通し』p5

 

商品別売上高分析では、薄型テレビの減収が大きく、半導体、携帯電話も次いで大きな減収となっています。

円高影響を除く減収額は△6389億円となっています。

ただ、為替による影響も△2076億円と大きく円高による影響も無視できないレベルとなっています。

【リソース】2012年5月11日 パナソニック公表『2011年度決算概要 2012年度見通し』p6

 

地域別販売概況では、現地通貨ベースでも欧州、アジア、中国と90%前後と10ポイントも減少していることがわかります。

米州では、98%と善戦しているものの、円ベースでは90%と大きく落ち込んでおり円高影響が如実に表れているといえます。

【リソース】2012年5月11日 パナソニック公表『2011年度決算概要 2012年度見通し』p7

 

営業利益分析では、実質売上減少で2451億円の減益要因があるものの固定費の圧縮等により黒字をギリギリ確保している状況です。

【リソース】2012年5月11日 パナソニック公表『2011年度決算概要 2012年度見通し』p8

 

 

特別損益項目として、構造改革費として減損含む7467億円の損失を計上しているのが特徴的です。

構造改革費用の内訳は下記の通りです。

薄型テレビ関連で約3000億円、その他事業で約4000億円の特別損失計上となっています。

【リソース】2012年5月11日 パナソニック公表『2011年度決算概要 2012年度見通し』p10

 

 

セグメンテーションは、2012年3月期第四四半期から新規セグメントの開示となっているようです。

これは新ドメインの組織区分を基本としたものです。

【リソース】2012年5月11日 パナソニック公表『2011年度決算概要 2012年度見通し』p14

 

これをみると、AVCネットワークス、デバイス、エナジーが赤字ドメインとなっているのがわかります。

薄型テレビはBizBlogで何度も取り上げているように、価格下落が止まらずAVCネットワークスセグメントの業績は厳しいものとなっています。

デバイスセグメントも、半導体競争は厳しく、製品は異なりますがDRAM生産のエルピーダの会社更生法適用は顕著なニュースといえるでしょう。

エナジーセグメントでも競争優位だった三洋電機のリチウムイオン電池事業でサムスン、LGの韓国勢の猛追を受けており、また太陽光発電関連でも日経の記事にあるように中国企業などが急成長しているので、利益を十分に確保するのが難しい状況になってきています。

◆2013年3月期の概要

売上高はアジア・中国がけん引し、国内・海外ともに増収を確保する予定です。

【リソース】2012年5月11日 パナソニック公表『2011年度決算概要 2012年度見通し』p17 

 

 

これをみると、売上高8兆円へ回復し営業利益は2600億円、最終利益も500億円の黒字を計画しているようです。

 

営業利益分析では、実質売上高増によるものと、構造改革効果による増益が期待されています。

【リソース】2012年5月11日 パナソニック公表『2011年度決算概要 2012年度見通し』p19

 

セグメントごとの売上高と営業利益を表にしたものは次のとおりです。

セグメント名 売  上  高 前 期 比 営 業 利 益 前 期 比
AVCネットワーク 17,300億円 101% 600億円 +1,278億円
アプライアンス 16,300億円 106% 1,000億円 +185億円
システムコミュニケーションズ 9,000億円 107% 240億円 +67億円
エコソリューションズ 16,000億円 105% 600億円 +11億円
オートモーティブシステムズ 7,200億円 110% 180億円 +131億円
デバイス 14,200億円 101% 400億円 +566億円
エナジー 6,600億円 107% 30億円 +239億円
その他 16,600億円 88% 240億円 +4億円

【リソース】2012年5月11日 パナソニック公表『2011年度決算概要 2012年度見通し』p20-23 筆者加工。

 

全セグメントにおいて業績回復するシナリオを描いています。

最後に株価チャートをみてみましょう。

 

<パナソニック(6752) 月足10年チャート>

【リソース】SBI証券より

  

自動車産業が回復の兆しがあるのに対し、電機産業はまだまだ盤石とは言えません。

サムスン電子を中心とする韓国や中国、台湾の追い上げが激しく、テレビ・半導体、民生品関連の価格は下落の一途をたどっています。

パナソニックだけでなく、シャープ、ソニーなどの電機各社も生き残りをかけて様々な戦略を掲げています。

巨漢パナソニックがアプライアンスだけでなく、パナソニック電工や三洋電機を強みをどれだけシナジーさせて、事業展開していくことができるのか、勝負の年と言えるでしょう。

 

日経の記事にもあったように、2006年4月の最高値2,870円から今日の株価は578円と約5分の1まで下落。

将来の収益獲得が見えてこない以上、株価の回復は見込ません。

パナソニックをはじめ、今後の電機各社の動向を注視していきたいですね。

以 上

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