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2012/02/08 パナソニック最終赤字7800億円

今日は、パナソニック最終赤字7800億円の記事について取り上げます。

 

【記事の要約】 


・パナソニックは3日、2012年3月期連結最終損益が7800億円の赤字(前期は740億円の黒字)に膨らむと発表。子会社化した三洋電機の収益低下に伴う減損損失など約7600億円の構造改革費用と計上、円高やタイ洪水被害も響く。環境事業の強化の軸に「収益構造の変革を急ぎ業績のV字回復と果たす」強調。

・パナソニックが計上する7800億円の最終赤字は日立製作所がリーマンショックのあったた09年3月期に計上した7873億円と並び、製造業としては過去最大規模

・2012年3月期の赤字額が従来予想の4200億円から7800億円に拡大するのは、2009年に三洋電機買収で発生した「のれん」の資産の減損処理(成長分野と期待する電池事業で韓国メーカーとの競争激化で利益率の低下による)として新たに2500億円の損失を計上することが主因。その他にも円高、テレビ事業の不振、タイの洪水被害も減益要因となった。

(2012年2月4日の日本経済新聞朝刊より)


 

パナソニックの過去最大規模の赤字、ニュースでも話題になっていますね。

テレビ事業の不振は、以前のビズブログでも取り上げましたが(以下リンク参照)、半導体事業や成長分野と期待された三洋電機の電池事業もかなり苦しいようです。

2011/11/01 パナソニック 今期最終赤字の見込み テレビ事業縮小

 

直近の四半期状況を以下まとめました。

 

テレビなどの"デジタルAVCネットワーク事業"、半導体などの"デバイス事業"、電池などの"三洋電機事業"が営業赤字に転落しています。

新聞記事にあったように三洋電機事業の営業赤字により2009年に三洋電機をTOBで買収した際の”のれん”の減損損失が今回の大きな最終赤字の要因となります。

 

<当社財務データベース> 

 

パナソニック 四半期財務情報.pdf(2012年3月期第3Qの決算短信は含まれていない)

パナソニック 2012年3月期第3Qの連結決算概要

 

 

セグメント情報 2012年2月期第3Q(累積)> 

【単位:億円】

セグメント種類 2012年2月期第3Q(累積)
売上高 前期比 営業利益 前期比
デジタルAVCネットワーク  21,829  84%  △327  −
アプライアス  9,792  101%  786  96%
電工・パナホーム  13,228  103%  504  93%
デバイス  6,096  85%  △173  −
三洋電機  9,741 80%  △470  −
その他  7,769  94%  320  91%
 68,455  90%  640  21%
消去又は全社  △8,801  −  △245  −
連結決算  59,654  90%  395  15%

(同社IR情報より) 

 

主要な商品の実績 2012年2月期第3Q(累積)>  

【単位:億円】

商品部門名   商品名   2012年2月期第3Q(累積)
 売上高 前期比 
デジタルAVCネットワーク      テレビ  5,536  67%
(うちプラズマテレビ) (2,479)  (61%)
(うち液晶テレビ) (2,653)  (74%)
デジタルカメラ   1,235  82%
BD/DVDレコーダー  1,100  97%
(うちBDレコーダー/プレーヤー)  (963)  (101%)
アプライアス   エアコン  2,121  105%
洗濯機  1,079  108%
冷蔵庫  1,047  100%
デバイス  一般電子部品  2,357  93%
半導体  1,857  76%

※半導体の数字は、生産ベース

(同社IR情報より)

また、今回のパナソニックの最終赤字とならび、ソニーやシャープ、NECなども2012年3月期に多額の最終赤字になる見通しだと報道されています。一方、日立製作所、東芝、富士通などは最終黒字を確保できる見通しのようで、総合電機メーカーでも勝ち組負け組が明確になっているようですね(世界的にみると勝ち組と言えないかもしれませんが)。

2012/02/06 日立、グループ再編発表 「部門の壁」崩壊へ

 

今回の総合電機の大幅な減益および多額の赤字および勝ち組と負け組の明確化。原因の一つに、日本の電子産業がIDM(Integrated Device Manufacturer、すなわち設計から生産までの垂直統合型)の志向が強く、世界のエレクトロニクス産業で主流になっている自前で工場を持たない「ファブレス(fabless)化」もしくは自社生産もするが一部をアウトソースする「ファブライト(fablight)化」への遅れが指摘されています。

 

ファブレス化については、下記記事を参考にしてください。

2011/12/01 東芝、半導体3工場閉鎖 単機能製品を生産集約

 

 

製造業における”スマイル・カーブ”を御存知でしょうか。

 

電子産業などの収益構造を表す言葉の1つで,製品の企画開発から製品組み立て・製造、販売、アフターサービスまでの付加価値(すなわち利益率)の大小を表した図で、以下のようにスマイル型になることからこのように呼ばれているものです。

 

<スマイル・カーブ図>

出所:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/WORD/20060315/114915/ 

 

 

パナソニックやソニーなどの日本の総合電機(特にテレビ事業や半導体事業を主力とする会社)の多くは、利益率が低く多額の設備投資が必要な組立て・製造を自前で行う体制を維持し、世界の電子産業で主流になっている「ファブレス化」、「ファブライト化」への対応が遅れたことが、価格競争への遅れや企画開発力の低下を招いた原因の一つと思われます。

 

日立製作所は、テレビ事業においては2011年にテレビの自社生産から徹底し、企画開発およびサービスのみへ移行するとともに、半導体事業もいち早く分離しています(分離した事業はその後も再編され、現在のルネサスエレクトロニクスとなっています)。

 

また、iPhoneの裏を見ると下記のとおりファブレス化を象徴する表記があります。 

● Designed by Apple in Califonia

● Assembled in China 

直訳すると「アップルによってカリフォルニアで開発・設計された製品です」「中国で組み立てられた製品です」ですね。

 

 

本日も、ルネサスエレクトロニクスと富士通、パナソニックの3社が半導体主力事業(システムLSI)を統合する方向で協議を始めたとの報道がされているように、製造メーカーの2012年3月期の結果を受けて、ファブレス化と選択と集中のための事業再編が進みそうですね。

  

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