株式会社インターナレッジ・パートナーズ IKP税理士法人

ストックオプションの組成支援(税制適格SO、有償SO、信託活用型SO)

クライアントの課題

従来型の税制適格ストックオプションや有償ストックオプションだけでなく、信託活用型ストックオプションの組成も検討。

 クライアントはスタートアップ・ベンチャー企業である。既にストックオプションを発行しているが、新たに追加でストックオプションの組成を検討していた。そこで、最近事例として増えている信託活用型のストックオプションも含めて、税制適格、有償、信託活用型のいずれがよいのか検討することとなった。

IKPのソリューション

ストックオプションの導入に伴い、税制適格、有償、信託活用型の3パターンのメリット・デメリット等について整理しながらスキーム検討。検討の結果、信託活用型ストックオプションを選択し具体的な組成を行った。

 クライアントはスタートアップ・ベンチャー企業である。既にストックオプションを発行しているが、新たに追加でストックオプションの組成を検討していた。そこで、最近事例として増えている信託活用型のストックオプションも含めて、税制適格、有償、信託活用型のいずれがよいのか検討することとなった。

 

1.税制適格SO、有償SO、信託活用型SOの論点整理

 ストックオプション(以下、「SO」と略する)のスキームは大きく分けて税制適格SO、有償SO、信託活用型SOの3つがある。 税制適格SO、有償SO、信託活用型SOには、それぞれの特徴やメリット・デメリットがある。

税制適格SO 有償SO 信託活用型SO
付与対象者

・取締役及び従業員に限定(2019年税制改正で高度人材も)

・大株主は除外

付与対象者は限定しない。 付与対象者は限定しない。
付与タイミング

・現時点

→将来メンバーに付与できない。

・現時点

→将来メンバーに付与できない。

・将来時点(信託終了時に実際に付与)

→将来メンバーに付与できる。

付与数

・現時点で決める

→今までの実績や将来の貢献度を推測して付与数を決定。

・現時点で決める

→今までの実績や将来の貢献度を推測して付与数を決定。

・ポイント付与して最終的な付与数が決まる

→貢献度に応じてポイントを付与し、ポイントに応じて最終的な付与数が決定。

インセンティブとしての柔軟性

・付与数を現時点で決めるので硬直的。

・一方で各人に法的に付与されるのでやる気は出やすい。

・付与数を現時点で決めるので硬直的。

・一方で各人に法的に付与されるのでやる気は出やすい。

・ポイント付与ルールで付与数に柔軟性が持てる。

・一方で法的に付与されるわけではないので設計次第ではインセンティブとして弱まる可能性あり。

払込 無償SOのため払込なし。 有償SOのため払込あり。 有償SOのため払込あり。但し、払込原資は創業者(社長)が負担するため役職員等の負担なし。
取得者の税制 適格要件をすべて満たしていれば分離課税。そうでなければ給与課税。M&A時に有償で買い取られたら給与課税。 分離課税。 分離課税。
権利行使期間 2-10年縛り(適格要件) 特に決まりはない 特に決まりはない
権利行使価額 付与契約締結時の株価以上が要件 特に決まりはない。ただ、発行時の株価以上とするのが一般的。

・特に決まりはない。ただ、発行時の株価以上とするのが一般的。

・発行時の権利行使価額で固定され、SOが各人に付与された時点の株価に連動しないのが特徴的。

基準株価の考え方

・上場企業の場合、株式マーケットの終値。

・非上場企業の場合、直近のファイナンス株価、税務上の時価などを総合的に勘案して決定。

評価の有無

・無償なので払込のための評価は不要。

・上場企業の場合は会計処理のために必要。

必要(払込金額を確定するため) 必要(払込金額を確定するため)
評価方法 ブラックショールズモデルが一般的 業績条件や株価条件が付されればモンテカルロシミュレーション。それ以外はブラックショールズモデルで対応 業績条件や株価条件が付されればモンテカルロシミュレーション。それ以外はブラックショールズモデルで対応
業績条件等 普通は付けない。 付けることが多い(株価が低ければ付けない) 付けることが多い(株価が低ければ付けない)
退職時失効 一般的に付けることが多い。 一般的に付けることが多い(外部協力者の場合は有効な契約関係が継続していることを条件とする) 一般的に付けることが多い(外部協力者の場合は有効な契約関係が継続していることを条件とする)
ベスティング条項 付けられるが権利行使スタートは2年後なので実質的に2年間はベストできない。 付けられる 付けられる
アクセラレーション条項 ・付けられるが権利行使スタートは2年後なのでその前のM&Aは対応できない。 付けられる 付けられる
非上場企業の上場条件 スタートアップ企業の場合、上場しないと権利行使できない条件を付すのが一般的。
費用感(法務を含む。) 50万円~ 100万円~ 300万円~

2.スキームの決定

クライアントの課題

 クライアントと上記の論点を議論し、信託活用型SOと有償SOの組み合わせで組成することとした。 信託活用型SOの大きな特徴である「将来の従業員に付与できる」「権利行使価額の上昇を抑えたSOを発行できる」「結果をみてSO付与が可能となる」という点を重視し、信託活用型SOを基本とするインセンティブプランとした。

 

 税制適格SOや有償SOでは、発行時に在籍する役職員にしか割り当てることができないため、新しい社員が入社するたびに定期的にSOを組成する必要があり、発行費用もかさむ。また、SO発行時のときの株価を基準に権利行使価額を決定していくので、株価が上昇していくにつれて権利行使価額も高まり、後に入る社員ほどインセンティブが小さくなっていくことになる。しかし、信託活用型SOの場合、将来時点の役職員に対してもSOを付与することが可能であり、また、権利行使価額も信託活用型SO組成時の権利行使価額で固定されるため、インセンティブが小さくなっていくことはない。

 また、税制適格SOや有償SOは発行時に各人に具体的な割当数を決定しなければならないので、過去の実績や将来の予測をもとに、「このスタッフはこれぐらい付与した方がいいだろう」という推測で付与していくことになる。しかし、信託活用型SOの場合、ポイント付与ルールに従い、各人の実績をもとにポイント付与が行われ、最終的なSO付与数が決まるので、「結果に伴う割当数」を実現することができ、インセンティブプランとしては経営者側(付与する側)も従業員側(付与される側)もお互い納得できるものとなる。また、ポイント付与ルールの設計次第では、優秀な人材を獲得するためのツールとして利用することもできる。

 

■信託活用型SOのメリット

  • 将来のメンバーに付与することが可能
  • 権利行使価額の上昇をおさえてインセンティブの拡大を図れる
  • 各人の実績(結果)に対してSOを付与できる
  • 優秀な人材の確保のためにSOを活用することができる。

3.具体的な内容の検討

 信託活用型SOと有償SOを採用することになり、具体的に以下の点について検討した。

 

■付与対象者、発行数の検討

  • 信託活用型SOについては、役員・従業員だけでなく社外の外部協力者に対しても付与するか検討した。また、SOの発行数については現状の投資契約書の内容、今後の資本政策をベースに具体的な発行数を検討した。
  • 有償SOについては、各人の具体的な割当数を創業CEOが決めていたのでその割当数とした。

 

■信託の数の決定

  • 信託活用型SOの場合、信託の「箱」をいくつも作ることができ、それぞれの「箱」で組成内容を変更することもできる。
  • 信託活用型SOの場合、信託が終了した時点でSOが役職員等に渡ることになるが、そのタイミングで在席していない者には付与できない。このため、例えば、信託を3つ組成し、信託終了するタイミングを1年ずつずらして3年にわたって信託を終了させるようなこともある。

 

■基準株価と権利行使価額の決定

  • 基準株価については、直近のファイナンス株価、税務上の時価、直近の株式売買事例などを参考に検討した。会計上と税務上の両方の観点から検討した。

 

■業績条件の決定

  • 具体的にどのような業績条件を付すかはSO評価額のテスト結果をもとに決定した。
  • 業績条件を厳しくすればSO評価額(SOの払込金額)は下がり、緩くすれば上がる。
  • 信託拠出金を拠出する創業CEOの負担感や有償SO取得者の負担感を考慮しつつ、投資家へ提出した事業計画をベースに具体的な業績条件を決定した。

 

■権利行使期間と信託期間の決定

  • 信託活用型SO及び有償SOのそれぞれの権利行使期間を検討した。上場する予定時期や上場ベスティング(後述)の内容に合わせて、権利行使期間の終了時期をいつにするか具体的に検討した。
  • 信託活用型SOについては、信託終了のタイミングでSOが付与されるため信託期間について具体的に検討した。

 

■アクセラレーションの検討

  • M&A時にアクセラレーションするか具体的に検討した。スタートアップ企業がM&Aを受けた際の一般的な内容を説明したうえで、アクセラレーションを組み込むべきかどうかを検討した。

 

■ベスティングの検討

  • スタートアップ企業で最近よく導入されている「上場ベスティング」について検討した。スタートアップ企業のSO設計では基本的に上場するまで権利行使できない未上場失効条件と退職すると失効する退職時失効条件を付すのが一般的である。このため、上場できた場合、上場のタイミングで権利行使するとともに退職者が大量に出てしまうリスクがある(創業者ではなく役職員たちの上場ゴール)。これを防ぐために上場してすぐにすべてのSOを行使できないように「上場ベスティング」を設けることがある。
  • 通常の「就業ベスティング」についても検討した。一般的に言われている「1年クリフ、4年ベスト」をベースに就業ベスティングについても検討した。

 

■退職時失効の検討

  • 退職時にSOが失効する退職時失効条件について付すかどうか検討した。一般的に、この条件を付すことが多いが、最近では「今まで会社に貢献してくれた分まで取り上げる必要はない」ということで退職時失効条件を付さないケースもある。就業ベスティングと合わせて退職時失効の検討を行った。

 

■Drag Along条項の検討

  • Drag Along条項(強制売却請求権)を付すかどうか検討した。M&Aにおける売却がスムーズになるためDrag Along条項を付すのが一般的である。

 

■受託者の決定

  • 信託活用型SOにおいて、受託者の検討を行った。信託活用型SOの場合、受託者を決めなければならないが受託者は原則として変更できないので慎重に決める必要がある。

 

■株主総会決議日等のスケジューリング

  • 取締役会日、株主総会招集通知日、株主総会決議日、払込期日などの具体的な決議スケジュールを検討した。

 

■SO評価額の算定

  • 上記の設定されたパラメータをベースにモンテカルロシミュレーションでSO評価額を算定した。

 

■信託活用型SOにおける拠出金額の決定

  • 信託活用型SOにおける委託者(創業CEO)の当初拠出金額を算定した。信託活用型SOの場合、SO払込金以外にも法人税等の納税金や振込手数料を委託者が負担する必要がある。

 

■ポイント付与ルールの検討

  • 信託活用型SOでは、最終的なSO付与数を決めるため、年度評価等を通じてポイントを各人に付与していく。このためどういった基準でポイントを付与するか決めなければならない。
  • 会社で既にある人事評価制度とも平仄をとりながら具体的に検討した。

4.プロジェクト管理

 上記の具体的な内容を踏まえ、タームシートを作成のうえ、提携弁護士事務所に法務書面(議事録等)の作成を依頼し、タームシートの内容がすべて法務書面に反映されているか確認した。

 また、決議、登記、払込などがスケジュール通りに行われているかプロジェクト管理を行った。

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