株式会社インターナレッジ・パートナーズ IKP税理士法人

IFRS×J-SOXアウトソーシング

クライアントの課題

IFRS第15号導入とJ-SOXプロセス文書変更対応への知見と工数の不足

クライアントの課題

 クライアントは、連結財務諸表において新規にIFRSを適用するグローバル展開する製造業の会社であり(単体は日本基準を適用)、収益認識についてはIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」が適用されることになった。それにあたり、まずIFRS第15号導入にあたっての影響調査が必要になった。また、これに合わせて単体日本基準からの組替調整における収集データの見直しや経理プロセスの変更が必要になった。

 IFRS第15号は日本基準の収益認識基準と大きく異なり、5ステップによる収益認識への変更と営業取引に関する取引先との契約条件の精査が必要になる基準である。したがって、多数パターンある営業取引を効率的に調査するには、知見と工数という観点で社内リソースのみでの対応が困難となっていた。

 また、収益認識の会計基準の変更に伴って、J-SOXにおける決算財務報告プロセスのチェックリストの修正及び業務プロセス(販売プロセス)の一部修正が必要になった。ただし、業務プロセスのJ-SOX文書の更新には、3点セットの意義や関係性について知見が必要であり、また工数も必要であるため、適切なJ-SOX文書修正に課題を抱えていた。

IKPのソリューション

IFRS第15号導入とJ-SOX文書作成の統合的サポート

 クライアントの課題に対して、IFRS第15号の適用支援とJ-SOX文書作成の統合的な支援を行った。IFRS第15号の導入支援については、網羅的な取引パターンの洗出しが重要なポイントとなる。網羅的に取引パターンを洗い出してGAAP差異の検討を行わないと、事後的に監査法人の指摘により結論が変わることで手戻りが生じたり、予算や事業計画に影響を及ぼしたりする可能性が生じてしまうためである。

 

 製造業におけるIFRS第15号の主な論点は以下である。

  • 製造業におけるIFRS第15号の主な論点

 ●リベートの売上控除要否

 ●有償支給・有償受給取引の売上グロス・ネット

 ●機械の製造・販売取引における工事進行基準適用要否(一定期間における収益認識の要否)

 ●変動価格取引における見積り単価の設定

 ●海外輸出取引における収益認識時点の実務的対応

 ●仲介・代理販売取引における売上グロス・ネット

 

 これらが主論点になることを予め踏まえた上で営業取引のパターン分けを行っていくことが効率的な影響調査のポイントであり、営業担当者へのヒアリングも上記論点を想定して効率的に行った。取引パターンごとの日本基準とのGAAP差異については、業務プロセスへの影響やシステムへの影響も踏まえて調査を行った。

 

 GAAP差異として識別された取引パターンのうち、業務プロセスへの影響があるものについては、J-SOX文書の修正も併せて行った。具体的には、例えば、有償支給・有償受給取引において、支給材の自由処分権の有無等の条件をシステムでフラグ立てした上で、その正しさを契約書等で検証するフローに修正し、それに合わせて業務記述書や業務フローの修正を行った。また、機械の製造・販売取引における工事進行基準適用要否についても、一定期間での収益認識となる要件判定とその検証を行うフローにし、それに沿った業務記述書や業務フローの修正を行った。さらには、IFRS連結決算を行う上で、経理部門がシステムからデータ取得の上、適切な組替仕訳を行うためのステップを決算財務報告プロセスのチェックリストに反映した。

 

【機械の製造・販売取引における工事進行基準適用要否(一定期間における収益認識の要否)の判定例】

 次の(1)(2)(3)のいずれかに該当する場合、一定期間にわたり収益認識を行う(工事進行基準に類似する会計処理を行う) (IFRS15 35項参照)

(1)当社がサービスや財を提供するにつれて、顧客が便益を享受していく

(2)当社がサービスや財を提供するにつれて(製品を製造するにつれて)形成される資産(又は増価する資産)を、顧客がその都度支配していく

(3)当社が顧客仕様で他に転用できない資産を製造しており、かつ、製造が途中で中止になった場合でもそこまでの業務に対する対価(利益込みの対価)を得る法的な権利を有している

(※IFRS15 35項の表現を実務に落とし込む形にカスタマイズしております)

 

【仲介・代理販売取引における売上グロス・ネットの判定例】

 次の(1)(2)(3)のいずれにも該当した場合、売上はグロス計上を行う。次の(1)(2)(3)のいずれにも該当しない場合、売上はネット計上を行う。それ以外の場合は、個別に判断を行う。(IFRS15 B37項参照)

(1)当社は、顧客にサービスや財を提供するにあたって、約束履行の主たる責任を有している

(2)当社は、顧客にサービスや財を提供するにあたって、在庫リスクを有している

(3)当社は、顧客にサービスや財を提供するにあたって、価格決定の裁量権を有している

(※IFRS15 B37項の表現を実務jに落とし込む形にカスタマイズしております)

 

 IKPでは、IFRSの一部会計基準への準拠のためのサポートや注記作成など部分的なコンサルティングも行っている。特に収益認識基準等については知見だけでなくマンパワー的なところもネックになりやすいところから比較的依頼は多い。合わせて、J-SOXなど関連する部分についても同時にコンサルティングを実施することで、効率的な対応が可能となっている。

事例 TOP

事例

お問い合わせ

PAGETOP