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2012/12/26 2012年、BizBlogまとめ

現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。

今日は、2012年最後のBizBlogということで、今年1年間の記事について、振り返っていきたいと思います。

なので、あまり内容の濃い記事ではありませんが、ご容赦ください。

 

◆ジャンル別統計

BizBlogは基本的に幅広いジャンルから記事を取り上げる方針をとっておりますが、

ジャンル別で集計すると次のようになっていました。

 

順位ジャンル件数
第1位 電機(重電含む。)・半導体 28
第2位 小売 18
第3位 建機・機械・精密機器 15
第4位 通信(モバイル) 10
第4位 陸運・海運・空運 10

 

 

◆電機・半導体界隈の2012年の動き 

 日本の産業構造としても、メーカー全般を知ることは非常に重要なことから、メーカー中心の分析が多いとしても、今年は電機・半導体関連のネガティブなニュースが非常に多かったため、取り上げた記事数としてもダントツの多さとなりました。

 

□パナソニック・ショック

 記憶にも新しいとは思いますが、パナソニックの2期連続大幅の赤字となりました。テレビ事業の衰退が大きな経営課題となっています。

 

■ 2012/11/07 パナソニック 今期7650億円の赤字


□シャープ危機

 上記のパナソニックと合わせて、テレビ事業、特に液晶事業へ経営資源を集中してきたシャープが大きな危機を迎えています。

 

■ 2012/08/07 鴻海(ホンハイ)、シャープへ出資、見直し

 

 Bizblogの記事にはしておりませんが、現在、シャープは米・クアルコムから100億円の出資を受け、中小型液晶「IGZO」で再起を図っていますが、4000億円弱の資本減少の中で、100億円程度の出資ではまだ十分とは言えず、鴻海との交渉がどうなっていくのか注目していかなければなりません。

 

□エルピーダ・メモリの破産

 日本で唯一のDRAM製造の半導体企業であったエルピーダが会社更生法を適用することになりました。

 

■ 2012/03/01 エルピーダ 銀行、3月末決着譲らず

 

 再生には、米・マイクロンエレクトリニクスが3000億円程度でスポンサーとなり再建を図っています。

 

□ルネサスエレクトロニクスの再建

 エルピーダ・メモリと合わせて経営課題となっていたルネサスエレクトロニクスが、産業革新機構を中心にマイコン需要メーカーの共同出資により再建が図られることになりました。

 

■ 2012/09/26 ルネサス、官民で買収

 

 米大手ファンドのKKRによって買収される可能性が高かった中で、マイコン需要メーカーによる異例の救済出資によって再建が図られるという状況になりました。

 エルピーダと合わせて、日本を代表するの半導体メーカー2社の整理が行われたという意味で、2012年は大きな節目とも言えます。

 

□日立と三菱重工の電力事業の統合

 一方で、インフラ系の日立製作所と三菱重工では、電力事業を統合し、世界のインフラ整備の受託へ大きく踏み出すことになりました。

 

■ 2012/12/05 三菱重工業・日立製作所 電力新会社 発表

 

 新興国の発展で世界的なインフラ需要は旺盛になっています。一方で、米・GEや独・シーメンスなど世界の競合企業と厳しい受注争いが想定されます。このため、インフラ系のIT構築に強い日立と発電機などの重電に強い三菱重工のそれぞれの強みを生かした電力事業の新会社には今後の注目ですね。

◆小売界隈の2012年の動き

 小売業では、実店舗にまつわる記事が12件、ネット通販系の記事が6件となりました。

 

□世界の小売最大手のウォールマート・通販最大手のAmazon

 今年のBizBlogでは、世界の最大手企業をいくつか分析しました。その中でも、小売最大手のウォールマートとネット通販Amazonの2つについても分析しました。

 

■ 2012/08/17 米小売り、値引きで消耗戦 ウォルマート独走

■ 2012/06/07 ヤマダ、割安タブレットで誘導(AMAZON.COMの分析)

 

 ウォールマートは売上が約35兆円で、圧巻の規模であることがわかりました。一方で、Amazonは事業自体は革新的で非常に面白い展開をしているものの、財務状況はそれほど高い利益率を誇るわけでもないことを確認しました。

 

□ゾゾタウンの誤算

 通販サイト・ZOZOTOWNを展開するスタートトゥディは、高い利益率と高い成長率を背景に勢いがあったものの、単価引き上げの波が押し寄せており、何かしらの対策が必要であることが経営課題として浮き彫りになってきました。

 

■ 2012/06/15 ゾゾタウンの誤算、値崩れの波・衣料品にも

 

□家電量販店の再編

 2012年はテレビ事業の不振によって、上記の電機会社の不振につながったように、家電量販店も大きな再編の波がきました。

 

■ 2012/06/07 ヤマダ、割安タブレットで誘導(AMAZON.COMの分析)

■ 2012/05/11 ビック、コジマを買収 家電量販2位に

 

 先ほど、Amazonでも見た記事ですが、ヤマダ電機は実店舗での売上減少の対策として、割安タブレットでネット販売の誘導を図る戦略を採用することになりました。一方で、ビックカメラはコジマを買収し、規模の経済による生き残りを図ることになりました。

 どちらにしろ、内需低迷による国内売上減少は明らかであり、これに対応するため実店舗運営だけでなくネット販売戦略も高めていく必要がありますね。

 

□小売のPB拡大

 イオンやセブン&アイを中心として、実店舗の小売全般の2012年の動きは、プライベートブランド(PB)商品の拡大加速と海外展開と言えるでしょう。

 

■ 2012/03/23 DCM、営業益最高に

■ 2012/03/22 ドラッグストア アジアを開拓

■ 2012/02/23 イオン、PB全6000品刷新 少量化や健康志向対応

■ 2012/02/07 イオン、肥沃なアジアに野心

 
 PB商品の投入比率が業績にインパクトを与えるようになってきています。アパレルでは、ファーストリテイリングやしまむらといったSPA型の企業が台頭していますが、スーパーのような小売業態でもこの動きに近い感じへと進んでいくのでしょうか。PB商品の開発は、利益が出る一方で在庫管理、開発リスクが増大するので、今までと違ったリスク管理をどのように行っていけるのかが課題になるのだと思います。
 一方で、国内需要の減少の中でどの業態であっても海外展開は必須でしょう。このため、アジアを中心に海外展開をどのように行っていくかが経営手腕が問われるところですね。

◆その他注目の2012年の動き

 BizBlogで多く取り上げたその他の動きとして多かったのは、モバイル端末系の話題やそれに合わせた通信業関連の記事ですね。

 

■ 2012/10/31 KDDIと住商がJCOM共同買収、CATV上位2社を統合へ

■ 2012/10/03 ソフトバンク、イーモバイルを約1800億円で買収

■ 2012/06/13 アップル・グーグル、地図で激突

■ 2012/06/08 Windows8タブレット対応 パソコン陣営が反撃へ

 

 スマホをはじめ、モバイル端末が身近になった2012年、各社の熾烈な争いが本格化してきました。モバイルで先行するアップルとAndoroid陣営を着々と構築しているグーグルとの対決の裏で、パソコン陣営で1歩出遅れたWindows-OSのマイクロソフトがWindows8でタブレット対応を展開する動きが見られました。

 一方、国内通信業では、ソフトバンクがイーモバイル買収に続いて、Bizblogでは取り上げてませんが、米・スプリント買収による規模拡大を鮮明にしています。

 KDDIでは、CATVのJCOMを住友商事と共同買収し、独自の通信・情報業を展開する動きを見せています。また、固定・携帯の両方の通信行を展開するKDDIならではのセット割引などで攻勢をかけています。

 その中で、NTTドコモは、3大キャリアの中で唯一iPhoneを取り扱っておらず、契約数の減少が鮮明になってきています。常にiPhoneの導入が噂として流れていますね。 

 

◆株価と安倍ノミクス 

 最後に、2012年の日経平均をみてみましょう。

【リソース】Yahoo!ファイナンスのチャートより

 

 日経平均のスタートは8400円台から始まりましたが、今日現在は10,230円まで回復しました。ここ最近は、「安倍ノミクス」と呼ばれる円安⇒株高の流れで回復している節があり、金融主導の株価回復と言えるでしょうか。

 

 先の衆議院選挙では自民党が大勝し、政権与党に返り咲きました。第2次安倍内閣(今日26日に首相になりましたね)では、デフレ脱却を最優先し、安全保障といった保守色の強い政策は次の参議院選挙まで先送られるとの見方が大半です。

 インフレターゲット論は、筆者が大学生時代(十数年前)に金融政策として導入すべきか否かが非常に活発に議論されていた記憶があります。ただ、その頃の日本は未曽有の不良債権処理に追われ、金融政策の大半は不良債権処理、金融機関の整理・統廃合が中心とされました。その中で、ゼロ金利政策から量的緩和政策とさらに踏み込んだ金融政策が展開されました。

 現在は、さらにリスク資産の買取などが行われ、より踏み込んだ金融政策が展開されています。

 

 日本経済はバブル崩壊後のデフレに見舞われる一方で、リーマンショック、ユーロショックの中で世界の中央銀行が大胆な金融政策を打ち出すことで相対的に日本円は強くなり、円高が誘発されることになりました。この円高によって輸出産業は大きな打撃を受ける一方で、安い製品、部品等の輸入が可能になり、国内ではますます価格下落が進み、深刻なデフレ状況が続いています。

 一方で、円高に支えられる形で、日本の国債金利は低下の一途をたどり、10年物の国債利和まりで0.7%をきる、一種の「国債バブル」が起きました。

 

 安倍政権では、こうした中で、デフレ脱却を達成し、消費税増税の経済環境を整えることを目指しています。そのためには、赤字国債の追加発行による大型の補正予算を組み、財政政策も出動させるようです。

 金融政策でも、日銀法の改正をちらつかせながら、日銀にインフレターゲットの積極導入(2%)とFRBと同様に雇用指標へのコミットを促しています。日銀の独立性が問題視されていますが、安倍政権としては財政政策と金融政策の両輪によってデフレを脱却しようとする強い意思を示そうとしているのだと思います。

 

 筆者は、根っからのビジネスパーソンであるため、政策的な部分は所与のものとして考えているので、政策的な部分の賛否について論じるつもりは全くありません(もちろん個人的な意見はありますが不特定多数の皆様に対して意見を言うつもりもありませんし、BizBlog自体もそれを目的としてません)。

 ただ、いわゆる「金融相場」による株価上昇は、あまり良い傾向とは言えないでしょう。日本では輸出企業が多いことから、円安⇒株高は喜ばれる傾向にありますが、原発再稼働問題などのエネルギー問題を抱える日本にとって円安はエネルギー高につながる可能性があり、企業の海外流出の拍車をかけ雇用が伸びず「スタグフレーション」が起きてしまう可能性を否定できません。金融相場ではなく、しっかりとしたファンダメンタルによる株価上昇を期待したいところですね。

 

 2013年は、政権も交代し、いろいろな意味で転換期となりそうですね。今後もBizBlogではミクロの世界から、様々な角度で日本経済、世界経済を考えていきたいと思います。

 筆者個人としては、エネルギー問題で、原発再稼働問題もさることながら、シェールガス革命に沸くアメリカとの関係も2013年の注目点になるのかな、と注目しています。これによって、日本の総合商社はどう動き、石油メジャーや中東アジア諸国がどう動くのか、世界情勢が塗り替えられる可能性があると思っています。

 

 

◆お知らせ◆

 今年も1年間、ご愛読ありがとうございました。

 9月から諸々の理由から毎日更新から週1回の更新へと更新頻度が減りましたが、アクセス数は逆に増加の一途をたどっております。来年も引き続き、週1回更新で続けて参りますので、ご支援のほど宜しくお願いします。

 

 なお、次回は、来年1月9日(水)からスタートします。

 

 それでは、皆様、良いお年を!!

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