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2012/11/07 パナソニック 今期7650億円の赤字

今日は、パナソニックの業績下方修正のニュースからです。

 

【記事要約】 


・パナソニックは31日、2013年3月期の連結最終損益の見通しを500億円の黒字から7650億円の赤字に引き下げると発表。携帯電話や電池などの事業縮小に伴う損失が膨らむ。7721億円の赤字だった前期に続く大幅赤字

・製造業の通期の最終赤字額としては、2009年3月期の日立製作所(7873億円)や、前期のパナソニックに続く規模

・価格が下落した世界で売上高を追求すると収益をより悪化させるとの認識を示した上で収益優先に転換し、価値観を変えたいとの考え。収益立て直しへ13年4月に白物家電や自動車・産業用機器など4カンパニーに組織を再編する。採算重視の姿勢を一段と強めて事業分野を絞り込み、15年度に全事業部門で営業利益率を5%以上に引き上げる方針。不振だったスマートフォンなどの携帯電話事業で、今春に再参入した欧州から12年度内に撤退することも正式表明。苦戦する民生用リチウムイオン電池や太陽電池でも拠点を再編。

・今期の営業利益は1400億円の黒字を確保、一方、携帯電話やリチウムイオン電池、太陽電池の事業縮小で、のれんの減損など構造改革費を4400億円計上繰延税金資産も4125億円取り崩す。これらが計8000億円を超す減益要因。

・背景にあるのは、M&A戦略の狂い。電池事業をテコにした成長戦略を描き、8000億円を投じて三洋電機を買収したが、事業環境が大きく変わり、結果的に前期と合わせて総額5000億円の減損損失の計上を迫られた。携帯電話事業ではスマホの展開で遅れ、かつてシェア首位を誇った国内市場でも米アップルのスマホなどに大きく水をあけられている。今年再参入した欧州市場でも販売は振るわず。パソコンや携帯電話に組み込む民生用リチウムイオン電池事業は価格と需要の両面で厳しさを増す。国内では昨年の地上デジタル放送移行時の需要増の反動で、テレビやブルーレイ・ディスク録画機の販売が急減。中国市場でも白物家電が伸び悩む。

(2012年11月1日付日本経済新聞朝刊1面ひょり)


 

パナソニックの大幅な下方修正のニュースでした。

 

シャープが、2013年3月期の最終赤字(予想)が4500億円(前期は3760億円の赤字)へ拡大し、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象や状況が存在しているというGC注記を行うなど、製造業特にデジタル製品をメインとする企業は負のスパイラルに陥り大苦戦している模様です。ちなみに、ソニーは最終損益(予想)は200億円の黒字と従来予想を据え置いています。

 

パナソニックは今回の下方修正により、前期の7721億円の赤字と合わせ、累計1兆5000億もの赤字を出すことになることが予想されるわけです。

 

さっそく、下方修正の内容を見てみます。

 

■ パナソニックの今期業績の下方修正のプレスリリース:

http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/2012/10/jn121031-4/jn121031-4.pdf

 

<パナソニックの2013年3月期(通期)の連結業績予想数値の修正結果> 

売上高 営業利益 当期純利益(支配株主)
前回予想(A) 8兆1000億円 2600億円 500億円
修正後予想(B) 7兆3000億円 1400億円 △ 7650億円
増減額(B−A) △8000億円 △1200億円 △ 8150億円
前期通期(実績) 7兆8462億円 437億円 △7721億円

 

当初は500億円の最終黒字を見込んでいましたが、今回業績予想の修正により7650億円の最終赤字へ下方修正しました。

主な内容は以下のとおりです。

 

@ 事業構造改革費用 3,555億円 の追加計上(第2Q)

ソーラー、民生用リチウムイオン電池および携帯電話事業に関するのれんの減損損失2378億円無形資産の減損損失876億円を含む事業改革費用3,555億円を計上。減損の原因は、ソーラー、民生用リチウムイオン電池事業は、製品価格の継続的な下落を受けて今後の販売・投資政策を見直したことによるもの、携帯電話事業については国内市場のシェア低下、海外展開、投資政策を見直したことによるもの。

 

A 繰延税金資産の取崩し費用 4,125億円 の追加計上(第2Q)

国内市場の薄型テレビを中心としてデジタルコンシューマー商品等の急激な販売下落による収益性の低下、厳しい経営環境を踏まえ、パナソニック3715億円、パナソニックモバイルコミュニケーションズ410億円総額4,125億円の繰延税金資産の取崩し費用(法人税等調整額)を計上したことによるもの。 

 

B 市況の悪化等による減収減益見込み

デジタルコンシューマー商品の市況悪化や新興国の景気減速の影響を受け、営業利益の1200億円下方修正。

 

ちなみに前期の最終赤字7721億円の原因も下記のとおり、子会社化した三洋電機の収益低下に伴う減損損失などメインです(以下アニュアルレポートより)。

 

前期の今期も将来収益悪化により、過去の投資額(工場などの設備投資やM&Aにかかるのれん等)について回収不能部分を前倒しで損失計上する減損損失と将来課税所得の減少による税金の会計上の前払部分の回収不能額を損失計上する繰延税金資産の取崩し費用がメインですので、ただちにキャッシュフローを悪化させるものではありません。

 

しかし、前期と当期(予想)を合わせ累積赤字は1兆5000億にものぼります。減損対象資産の投資資金として調達した社債などの返済負担でキャッシュフロー上のツケはいずれまわってくることが懸念されます。

そこで、業期予想修正で更新した収益状況も合わせ、パナソニックの財務状況を見てみます。

 

 

 

 

 

株主資本が急速に悪化。3年前は3兆円近くあった株主資本も前期末ではとうとう2兆円を割る水準にまで悪化しました。

今回の下方修正により、パナソニック債(特に長期のもの)の価格は、大きく下落しているようです。

 

こうした状況を踏まえコマーシャルペーパーや社債以外に機動的な資金調達手段を確保し、資金繰りの悪化を未然に防ぐため、三井住友銀行など取引金融機関4行と10月1日付で総額6000億円の融資枠(コミットメントライン)を設定する契約を結んだというニュースもありました(10月16日のロイター通信より)。 

こうした状況を打開するには収益を立て直ししかありません。

本日の日経記事によるとデジタル家電事業スリム化する一方、白物家電やエネルギーシステム関連事業などに経営資源を振り向け、規模追求から採算追及へのシフトするようです。

 

実際、過去3期のセグメント別収益状況を見てみると、デジタル製品である「AVCネットワークス」セグメントと太陽光発電やリチウムイオン電池関連の「エナジー」セグメントが大きく足を引っ張っていることがわかります。

 

セグメント名

内容
AVCネットワークス 薄型テレビ等の映像機器、ブルーレイディスクレコーダー・デジタルカメラ・パソコン等のAVCネットワーク機器、航空機内AVシステム、その他業務用AV機器 
アプライアンス 家事、調理、理美容、健康商品、空調機器、業務用冷熱機器等
システムコミュニケーションズ

システムネットワーク及びモバイル通信に関連する製品・サービス

エコソリューション ライティング、エナジーシステム、ハウジングシステム、エコシステム
オートモーティブシステムズ 車載マルチメディア関連機器、環境対応者関連機器、電装品等
デバイス 電子部品、半導体、光デバイス等
エナジー 太陽光発電システムやリチウムイオン電池等のエナジー関連商品
その他 ヘルスケア、マニュファクチャリングソリューションズ、パナホーム等

 ※ 平成24年1月1日にグループ体制を再編してたため8セグメントへ変更されている。

 

 

 

 

 

日立製作所や日産自動車など、巨額のリストラ損失を計上した企業は、その後業績のV字回復を達成してきました。

パナソニックが同じようにV字回復を達成することができるのか、、、今後の経営陣の手腕に注目です。

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