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2013/07/24 NEC、スマホ撤退へ 国内スマホ、5陣営に

今日は、NECのスマホ撤退の記事からです。

 

【記事要約】


・NECが中国レノボ・グループと交渉していた携帯電話事業の統合を見送る見通し。赤字の同事業をレノボ主導で立て直す考えだったが、出資比率などで条件が折り合わなかった。

・NECは独力での事業構造の維持は困難と判断、スマートフォン事業から撤退する。国内メーカーでスマホを手掛けるのはソニーなど5グループになる。米アップルのiPhoneなど海外勢による国内市場への攻勢は続いており、守勢に立つ国内メーカーが受ける再編圧力はなお強い

・他社の手薄な従来型の携帯電話に特化し、携帯事業の大幅縮小で収益の改善を急ぐ。高齢者向けなどの根強い需要を取り込む戦略だが、将来的に従来型全体では市場縮小が避けられない。

NECはかつて国内シェア27%超の最大手だったが、現在は5%程度で8位と低迷している。会社のNECカシオモバイルコミュニケーションズで携帯事業を手掛けており、約600億円の債務超過となっている。同社にはカシオ計算機と日立製作所も出資、NECが事業責任を持つ。

・今夏商戦からNTTドコモが「ツートップ戦略」を開始し、NECカシオの販売台数はさらに落ち込んでいた。折り畳み型など従来型携帯でヒット商品を抱えていたこともあり、スマホへの経営資源の集中が進まず、スマホ発売が11年にずれ込んだ。

・NECとレノボは過去にパソコン事業を統合した経緯がある。携帯でも事業運営を委ねたいNECがレノボの過半出資を望んだが、合意を得られなかった。

<日本経済新聞 2013年7月24日より


 

かつて、NECといえば、ドコモNシリーズの折り畳み型携帯電話で一世を風靡しましたね。2001年頃には、NECのNシリーズとパナソニックのPシリーズで国内人気を二分しましたが、エレクトロニクス産業のスピードは凄まじいもので、10年足らずでかつての国内首位を誇ったNECは撤退に追い込まれてしまいました。

 

現在の国内スマホ市場は、「NECカシオ」「ソニー」「富士通」「シャープ」「パナソニック」「京セラ」の6グループでしたが、「NECカシオ」が抜けると5グループになります。

国内携帯メーカー内では2008年から2010年くらいに一度大きな再編は起きており、2010年に「NEC」「カシオ」「日立」の携帯事業が統合し「NECカシオ」に、2010年には「富士通」と「東芝」の携帯事業が統合し「富士通モバイルコミュニケーション」に、2008年に三洋電機の携帯事業を京セラが買収、三菱電機は2008年に携帯事業からの撤退、2001年にソニーはエリクソンと合弁し「ソニー・エリクソ」として展開していましたが、2012年エリクソンとの合弁を解消にソニー単独路線にシフトしています(同記事より)。

 

ただ下記の比較表のとおり米アップルのiPhoneや韓国サムスン電子のギャラクシーなどの海外メーカーの勢いを見ると今後国内勢はさらに再編を余議さなくされる可能性は十分にあると思われます。

 

<国内携帯電話出荷台数シェア(日経より)> 

2001年度 2012年度 
1位  NEC(27.7%) 米アップル(25.5%) 
2位 パナソニック(19.7%) 富士通(14.4%) 
3位  シャープ(10.0%) シャープ(14.0%)
4位  三菱電機(9.0%) ソニー(9.8%)
5位  三洋電機(7.2%) 韓国サムスン電子(7.2%)

 

最後にNECの最近5年間のセグメント別業績状況を確認し近年のNECの事業構造の変化について確認してみます。

 

【セグメント内容(NEC有価証券報告書より)】

報告セグメント セグメント内容
ITサービス事業 当事業においては、主に官公庁や企業向けに、システム・インテグレーション(システム構築、コンサルティング)、サポート(保守)、アウトソーシングおよびクラウドサービス(データセンター、IT運用管理)などの提供を行っています。
プラットフォーム事業 当事業においては、PCサーバ、UNIXサーバ、メインフレーム、スーパーコンピュータ、ストレージ、ATM、IPテレフォニーシステム、WAN・無線アクセス装置、LAN製品、ソフトウェア(統合運用管理、アプリケーションサーバ、セキュリティ、基本ソフトウェア(OS)、データベース)などの製造および販売を行っています。

ITソリューション事業

(セグメント変更後の新セグメント)

当事業においては、主に官公庁や企業向けに、システム・インテグレーション(システム構築、コンサルティング)、サポート(保守)、アウトソーシング(データセンター、IT運用管理)およびクラウドサービスなどの提供、ならびにPCサーバ、UNIXサーバ、メインフレーム、スーパーコンピュータ、ストレージ、ATM、IPテレフォニーシステム、WAN・無線アクセス装置、LAN製品、ソフトウェア(統合運用管理、アプリケーションサーバ、セキュリティ、基本ソフトウェア(OS)、データベース)などの製造および販売を行っています。
キャリアネットワーク事業 当事業においては、通信事業者向けネットワークインフラ(基幹ネットワークシステム、アクセスネットワークシステム)、通信事業者向けサービス・マネジメント(ネットワーク運用支援システム(OSS)、事業支援システム(BSS)、ネットワーク制御基盤、サービス提供基盤)の製造および販売を行っています。
社会インフラ事業 当事業においては、放送映像システム(デジタルTV送信機)、制御システム(郵便・物流自動化システム)、交通・公共システム(列車無線システム)、消防・防災システム(消防指令台システム)、航空宇宙・防衛システム(航空管制システム、非冷却赤外線センサ)の製造および販売を行っています。
パーソナル・ソリューション事業 当事業においては、携帯電話機、スマートフォン、パソコン、タブレット端末、モバイルルータ、無線ルータの製造および販売ならびにインターネット・サービス「BIGLOBE」、ディスプレイソリューション(モニタ、プロジェクタ、デジタルサイネージ向けパブリックディスプレイ)の提供を行っています。
その他事業 報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、リチウムイオン二次電池、電子部品、液晶ディスプレイ用パネル、照明器具の製造および販売を行う事業を含んでいます。

 

※平成24年4月1日付けで実施した組織再編に伴い、報告セグメントを従来の「ITサービス」、「プラットフォーム」、「キャリアネットワーク」、「社会インフラ」、「パーソナルソリューション」の5区分から、「ITソリューション」、「キャリアネットワーク」、「社会インフラ」、「パーソナルソリューション」の4区分に変更している。この変更は、より柔軟な事業遂行の実現による強いクラウドサービスの創出、クラウド基盤確立の加速を目指して、「ITサービス」および「プラットフォーム」を「ITソリューション」として統合するとともに、エネルギー事業を統括する垂直統合体制の確立に伴い、「キャリアネットワーク」からの一部事業移管も含めエネルギー事業を「その他」に集約したもの(有価証券報告書より)。

 

ここ5年間で「B to C」ビジネスから「B to B」ビジネスへのシフト、とりわけ企業向けシステム構築・クラウドなどITサービス、社会インフラ事業の強化が読み取れますね。携帯電話やスマートフォン事業などを含むパーソナルソリューション事業は、ここ5年間は低迷し直近で約37億円のセグメント赤字となっています。こうした状況の中、海外メーカーが急速に国内市場を侵食し、さらにドコモのツートップ戦略の影響もあってか、自主再建は不可能を判断したのでしょう。

 

・2009年〜2010年には世界的な景気後退に伴い不採算事業(半導体などのエレクトロデバイス事業や海外のモバイル・パーソナルソリューション事業)を中心に2万人の人員削減

・2010年にルネサステクノロジーとNECエレクトロエレクトロニクスの統合(現在、ルネサスエレクトロニクス)

・2011年7月にパソコン事業を分離、レノボ・グループへ統合(合弁会社の過半数超はレノボ・グループが出資)

 

など近年NECは不採算事業の整理に追われていましたが、ここに今回のスマートフォン事業の撤退も加わることになるわけです。

ただネガティブなイベントの多いNECですが、HPとの提携など、企業向けITサービスの強化のための動きも顕著にでてきました。今後の戦略に期待したいところです。

 


NECは米ヒューレット・パッカード(HP)と提携し、ビッグデータ解析や企業の情報システムなどに利用する高性能コンピューターを共同開発する。生産面でも協業し開発期間の短縮や生産コストの低減を徹底することで米IBMやデルなど大手との開発競争の激化に備える。HP・NEC連合の攻勢で合従連衡の動きが進みそうだ。 共同開発するのはパソコンの技術をベースにした「PCサーバー」。パソコンのように様々な応用ソフトに対応できる特徴を持つ。NECとHPは障害が起きても停止しにくい機能を搭載した高機能機種を開発し、2014年中にも両社のブランドで発売する。(途中省略)米調査会社のIDCによると12年の世界のサーバーの市場規模は前年比1.9%減の512億ドル(約5兆1200億円)。ネット経由で情報を自由にやり取りするクラウドサービスの普及により、企業の基幹システムなどに使われる高機能サーバーの売れ行きが鈍っているためだ。その分、用途が広く比較的安価なPCサーバーの利用範囲が広がっており、同分野の競争が激化している。ビッグデータ解析などでも利用が広がる見通しだ。

<日本経済新聞 2013年7月22日 一部抜粋


 

最近家のパソコンを買いに家電量販店に行くと、米国や中国、台湾メーカーのコーナーが大半を占め(もしくは前面に出ており)、国内メーカーのコーナーは片隅に追いやられている光景に衝撃と受けました。

携帯電話やスマートフォンなどのモバイル端末においても、数年で同じようにな状況になるかもしれません。

 

携帯・スマートフォンの国内メーカーは生き残れることができるのか今後の業界の動向に注目です。

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