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2012/09/12 マイクロソフト、反攻へ動く

今日は、9月6日(木)の日経朝刊6面の記事からです。

 

【記事要約】


・米アップルと米グルーグルの2強が凌ぎを削るスマートフォン用OSの世界で、米マイクロソフト(MS)が反転攻勢をかける。

・スマホ市場では、2強の対決が過熱気味。アップルとグーグルのOS「アンドロイド」を採用する韓国サムスン電子は、世界各地でスマホのデザインや技術を巡る特許訴訟を抱える。

・9月に入って、アップルがイベントを開くことが明らかに。アップルが発売しているiPhoneは、現行のiPhone4sのベースであるiPhone4からすると2年以上全面刷新していない。その間に、サムスンは最新機種を次々と投入、メーカー別の世界シェア(数量ベース)でトップに立った

・2強の陣営が争うなか、MSは蚊帳の外に置かれた。また、世界最大の携帯電話機メーカーだったノキアは独自OS「シンビアン」にこだわったこと、低価格帯を得意としたことがあだとなり、中国メーカーが急伸すると、シェアが急落。

MSとノキアは昨年2月に戦略提携し、ノキアは端末に搭載するOSを「シンビアン」から「ウィンドウズフォン」に変えると発表。MSの次世代OSを搭載した新型スマホをノキアが投入する。また、サムスン電子や台湾HTCなど「アンドロイド」陣営を牽引してきた有力メーカーも「ウィンドウズフォン8」への参入を表明

・三つどもえの戦いになるかが注目される。

(2012年9月6日日本経済新聞6面より)


 

まずは、過去のビスブロ記事も踏まえ、凌ぎを削るスマートフォン市場の最近の動向をまとめてみます。

 

スマートフォンのOSを提供するソフト会社と、端末メーカーとの関係を一覧にすると下記のとおりとなります。

 

アップル

グーグル マイクロソフト
スマートフォンOS iOS アンドロイド

ウインドウズフォン

主な搭載メーカー アップル

サムスン電子 (スマホ世界シェア首位)

ノキア(携帯電話では世界シェア首位)

サムスン電子や HTCも参入?

備考

スマートフォン市場のパイオニア

iPhoneで、ソフト・ハードの両方を自社で手掛ける。

サムスン電子の主力ブランドのギャラクシーのヒットや無償オープンOSでシェア拡大。

パソコンのOSでは、ガリバーだが、スマートフォン市場では負け組。

同じくスマホで出遅れたノキアと組み、起死回生をはかる。

 

アップルは、OSと端末すなわちソフトとハードを一体で提供し、iOSはアップル端末であるiPhone以外では現在提供されていません。アンドロイド・ウィンドウズフォンは、OSを端末メーカーへ提供する体制となっています(ただし、グーグルは、端末メーカーのモトローラ―を傘下におさめている)

アップルが切り開いたスマートフォン市場ですが、サムスン電子が、無償OSアンドロイドを使用し、アップルを追撃、現在では、数量ベースではスマホ市場の世界シェアでは首位となっています。

 

サムスンは、主に液晶パネルや薄型テレビ、半導体の分野で、成長を遂げてきましたが、世界的なパネル価格の下落などの要因で急速に業績が悪化し、さらに半導体事業も市況の影響を受けやすく追い打ちかけました。代わって、成長と柱となったのでスマートフォンです。世界的にモバイル市場で携帯電話からスマートフォンへシフトが進む中、ギャラクシーが世界的に大ヒット、アップルのiPhoneと肩を並べるまでのブランドに成長しました。

 

2012/07/31 サムスン電子、日本のHEMS市場参入 スマホで家電 遠隔操作

 

一方、マイクロソフトは、スマートフォン市場で出遅れ、現在は後発組です。スマートフォン市場は、タブレット市場を生み、スマートフォン・タブレット市場が、パソコン市場を侵食している状態です。ソフト分野でパソコン市場の成長を独占的に取り込み、右肩が上がりの成長を続けてきたマイクロソフトですが、スマートフォン市場とタブレット市場の成長の影響も受け、業績の成長は鈍化しました。また、シンプルかつ低価格戦略で携帯電話で世界首位を誇ったノキアも、直近で営業赤字に転落しています。

 

マイクロソフトやHPなどイパソコン陣営の苦戦状況については、下記のブログを参考にしてください。

 

2012/06/08 Windows8タブレット対応 パソコン陣営が反撃へ

■ 2012/08/24 米IT名門多角化苦戦 HP、のれんの減損重く

 

また、携帯電話のノキアの営業赤字転落のニュースは、下記のブログを参考にしてください。

 

2012/08/16 スマホ苦戦組、大型リストラ ノキア、巻き返しは不透明

 

スマートフォン・タブレット市場の存在感が強まってきたのは事実ですが、そうはいってもマイクロソフトは、PCのOS分野では未だ独占状態ままです。あとで述べるマイクロソフト業績をご覧いただければわかりますが、業績自体は、成長が鈍化したといえ営業利益は1兆円超のレベルですし、そうはいってもビジネス需要はあるためパソコン市場は手堅い市場です。そこまで、スマートフォン市場にこだわらなくてもような気がします。しかし、スマートフォンOSは、今後、自動車や家電などのあらゆるコモディティが情報端末化される際のコアソフトとなる可能性があります。あくまで筆者の予想ですが、そういった今後の成長分野を考え、やはりスマートフォン市場でも勝ちにいかなければらないのかもしれません。この点も、過去のブログでふれているので参考にしてください。

 

2012/06/13 アップル・グーグル、地図で激突

最後に、マイクロソフトの2012年6月決算の数値が発表されたため、スマートフォン市場にからむ主要企業のステータスを更新しておきます。

 

アップル(米)

グーグル(米)

サムスン電子(韓)

直近期(通期) 2011.9 2011.12 2011.12
適用会計基準 SEC SEC K-IFRS

Revenue/売上高

108,249 million $

8,551,671 百万円

37,905 million $

2,994,495 百万円

165,001,771 million Won

11,550,123 百万円

Operating income/営業利益

33,790 million $

2,669,410 百万円

11,742 million $

927,618 百万円

16,249,717 million Won

1,137,480 百万円

売上高営業利益率

31.21%

30.97%

9.84%

Net income/当期利益 ※

25,922 million $

2,047,838 百万円

9,737 million $

769,223 百万円

13,359,192 million Won

935,143 百万円

Comprehensive income/包括利益 ※

26,411 million $

(2,086,469 百万円

9,875 million $

(780,125 百万円

12,801,542 million Won

896,107 百万円

Total assets/資産総額

116,371 million $

(9,193,309 百万円)

72,574 million $

(5,733,346 百万円)

155,631,254 million Won

(10,894,187 百万円)

Stockholders' equity/株主資本 ※

76,615 million $

( 6,052,585 百万円)

58,145 million $

( 4,593,455 百万円)

97,599,765 million Won

( 6,831,983 百万円)

Equity Ratio/自己資本比率 ※

65.83%

80.11%

65.44%

ROE/株主資本利益率 ※

33.83%

16.74%

13.68%

Cash flows from operating activities

/営業活動によるキャッシュフロー

37,529 million $

(2,964,791 百万円)

14,565 million $

(1,150,635 百万円)

22,917,901 million Won

(1,604,253 百万円)

Cash flows from investing activities

/投資活動によるキャッシュフロー

△40,419 million $

△3,193,101 百万円

△19,041 million $

△1,504,239 百万円

△21,112,564 million Won

△1,477,879 百万円

Cash flows from financing activities

/財務活動によるキャッシュフロー

1,444 million $

(114,076 百万円)

807 million $

(71,653 百万円)

3,109,729 million Won

(217,681 百万円)

Cash and cash equivalents

/現金・現金同等物

9,815 million $

(775,385 百万円)

9,983 million $

(788,657 百万円)

14,691,761 million Won

(1,028,423 百万円)

 

マイクロソフト(米)

ノキア(フィンランド)

直近期(通期) 2012.6 2011.12
適用会計基準 SEC IFRS

Revenue/売上高

73,723 million $

5,824,117 百万円

38,659 million €

3,749,923 百万円

Operating income/営業利益

21,763 million $

1,719,277 百万円

△1,073 million €

104,081 百万円

売上高営業利益率

29.51%

Net income/当期利益 ※

16,978 million $

1,341,262 百万円

△1,164 million €

△112,908 百万円

Comprehensive income/包括利益 ※

16,537 million $

(1,306,423 百万円

△1,083 million €

(△105,051 百万円

Total assets/資産総額

121,271 million $

(9,580,409 百万円)

36,205 million €

(3,511,885 百万円)

Stockholders' equity/株主資本 ※

66,363 million $

(5,242,677 百万円)

11,873 million €

( 1,151,681 百万円)

Equity Ratio/自己資本比率 ※

54.72%

38.43%

ROE/株主資本利益率 ※

25.58%

Cash flows from operating activities

/営業活動によるキャッシュフロー

31,626 million $

(2,498,454 百万円)

1,137 million €

(110,289 百万円)

Cash flows from investing activities

/投資活動によるキャッシュフロー

△24,786 million $

△1,958,094 百万円

1,499 million €

145,403 百万円

Cash flows from financing activities

/財務活動によるキャッシュフロー

△9,408 million $

(△743,232 百万円)

△1,099 million €

(△106,603 百万円)

Cash and cash equivalents

/現金・現金同等物

6,938 million $

(548,102 百万円)

9,236 million €

(895,892 百万円)

※ 日本円ベースは97円/ユーロ、79円/ドル、0.07円/ウォンで簡便的に換算している。日本円換算数値はあくまで参考値。

※ 当期利益、包括利益、株主資本は支配株主帰属分

※ 自己資本比率、株主資本利益率は期末残高ベースで簡便的に算出している。

 

ノキアが営業赤字に転落していますが、どの企業も利益水準が1兆円クラスです。日本で、過去1兆円クラスを経験したことある企業はトヨタくらいでしょうか。投資CFの水準も、スケールが大きいですね。日本の企業だと、直近でソニーが882,886百万円、パナソニックが303,002百万円、日立製作所が195,584百万円ですから規模の大きさには驚きです。

また、2012年6月期の決算数値に更新したマイクロソフトのセグメント別の業績推移をグラフ化すると以下のとおりです。

 

上記青色部分がウィンドウズ事業ですが、やはりウィンドウズ関連事業の成長の鈍化は明らかです。

 

以前のブログでも述べましたが、、、 

筆者は、モバイルパソコン(Think Pad)、スマートフォン(iPhone4S)、タブレット(iPad2)の3つを使うモバイル端末のヘビーユーザーです。ただし、仕事の都合上、Excel、PowerPoint、Access、Wordなどが避けられないため、仕事ではモバイルパソコンを中心です。

クラウド経由でスマートフォン、タブレットと予定表、写真、データを同期し、ビューアーとして活用していますが、ExcelなどのMicrosoft Officeとの互換性には弱いので、あくまでビューアーで仕事上ではあまり生かし切れていない気がします(Kenote、PagesやNumbersなどMicrosoft Officeに相当するソフトはありますがイマイチ使い勝手が馴染みません。両者の自動同期もできないため)。

 

一消費者として、一ビジネスマンとして、モバイルパソコン、スマートフォン、タブレットの3端末で、クラウド環境下でエクセルやワードを使いこなせたら便利だなと前から思っていましたから、マイクソフト陣営もビジネスマン市場でかなり商機があるのではないかと思っています。そうはいっても仕事の大半はマイクロソフトのOfficeが使われているでしょうから。

 

 

ソフト市場のガリバーであるマイクロソフトが、いよいよ本格的にスマートフォン市場、タブレット市場へ攻勢をかけます。今後の展開に注目ですね。

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