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2012/07/31 サムスン電子、日本のHEMS市場参入 スマホで家電 遠隔操作

今日は、本日の日経朝刊9面のサムスン電子の記事からです。

 

【記事要約】


・韓国サムスン電子グループは、月内にも日本の家庭向けエネルギー管理システム(HEMS)市場に参入する。

・東京電力子会社のインターネット接続会社のファミリーネット・ジャパン(FNJ)と組み、スマートフォンからエアコンなどを遠隔操作できるシステムを共同開発。集合住宅向けに組み込み、市場を開拓する。

・同システムは家庭の電力使用量を閲覧するだけでなく家電の遠隔操作技術を盛り込んだのが特徴。主要機能をサムスンが担当し、FNJはインターネット経由でソフト機能を提供するクラウドコンピューティングサービスに組み込む。

・スマホ用の専用アプリを使い、メーカーを問わずエアコンの電源をつけたり消したりできる、外部から給油器を操作してお風呂にお湯を入れることもできる。

・日本では経済産業省が推奨する家電同士の標準通信規格があるが、同規格に対応したHRMSや家電製品は限られており、異なるメーカーの製品をまとめて遠隔操作できるシステムはほとんどないかったが、サムスンとFNJは家電の電源を遠隔操作できる機能をクラウドサービスに組み込むことで実現した。

・日本勢も年内に同規格に対応した製品を相次ぎ投入する見通しだが、サムスンはいち早く遠隔操作を実現して先行して市場を確保する考え。

・サムスンは家電の制御機能を持つHEMSを新たな成長の柱として育てたい考え日本に続き欧米市場もクラウド方式で開拓する


 

HEMS(家庭内エネルギー管理システム)は、ビズブロでもたびたび登場しているキーワードです。 

 

ここ最近、スマートシティ(環境配慮型都市)、スマートグリッド(次世代送電網)構想が叫ばれていますが、そのキーになるのが、実際に実現するための機器となる「スマートメーター(次世代電力計)」「HEMS(家庭内エネルギー管理システム)」などです。スマートメーターやHEMSなどを活用し家庭内のエネルギー消費を最適化する住宅をスマートハウスとよんだりもしますね。

 

忘れてしまった方や初めて聞いた方は下記記事を参考にして下さい。

 

<スマートシティ、スマートグリッド関連記事>

 2011/10/11 富士通 福島県にスマートシティ提案

 

<スマートメーターやHRMS、スマートハウス関連記事>

2012/01/23 東京電力、スマートメータ 1700万世帯に導入

2011/11/30 スマートハウス 住宅大手、開発を強化

 

 

特に、上記の「2011/11/30 スマートハウス 住宅大手、開発を強化」の記事では

 

・スマートシティ構想は、もとはエネルギーの最適化が目的ですが、それは電力を使用する機器(家電や電気自動車など)すべてをネットワークで繋げることに他ならない、つまり別の言い方をすれば家電や自動車の情報機器化が起きる可能性がある

・近い将来家電や電機自動車をスマートフォンやタブレット端末で情報融通や遠隔操作したりする時代がくる可能性がある

 

点を指摘しましたが、近い将来実現しそうですね。 

 

ただし、家電(将来的には自動車も?)のネットワーク化...これが実現するとなると家電などをコントロールする「HEMS」の技術は、かなり重要なものとなると考えれられます。

 

HEMSの企画次第で、家電や自動車の付加価値が大きくかわる可能性があるためです。 

アップルが、スマートフォン市場の開拓により携帯電話市場やパソコン市場、デジカメ市場、コンテンツ市場の業界構造を大きく変えたように、家電や自動車産業の構造を大きく変える可能性があるのではないかと筆者は思っています。

 

そこまでの狙いがあるのかどうか、わかりませんが、HEMSが家電やスマートグリット、スマートシティ構想のキーとなる成長分野であることは間違いありません。同記事でも「国内のHEMS市場は2020年度に260億円と10年度の70倍強に成長する」可能性があることのことです。

 

しかし、サムスン電子は、実に動きが早いですね。スマートグリット、スマートシティは日本が今後世界へ発信できる成長産業としても期待されている分野のため、日本企業も遅れをとらないことを願いたいですね。

最後に、日本の得意分野である電機やエレクトロニクス産業で世界を席巻するサムスン電子を簡単に分析をしてみたいと思います。

 

サムスン電子は、韓国のGDPの22%、株式時価総額は162兆ウォン(2011年12月現在)で韓国株式市場時価総額の25%韓国の輸出額の24%を占め、関係企業の資産を含めると430兆ウォン(約30兆5200億円)となり韓国の国富の3分の1に迫る、韓国最大の企業です(ウィキペディアより)。

また、世界の主要商品・サービスの50品目中、実に7品目(スマートフォン、薄型テレビ、半導体など)で世界シェアで首位を占めています(2012年7月29日日本経済新聞の2011年の「主要商品・サービスシェア調査」より)。ちなみに、日本企業全体で世界シェアで首位の品目は9品目(国別で日本は米国についで2位)ですから、その圧倒的強さがわかります。

 

財務情報はというと、 売上高が11兆という規模の大きさもさることながら(ちなみに日立製作所で売上高は9兆6千億円程度、パナソニックで7兆8千億円程度、ソニーは6兆5千億円程度)、営業利益1兆円というその利益力は目を見張るものがあります。

ROEも10%超ですので、利益規模、利益効率、で文句のつけようがありません。

 

サムスン電子(韓)

直近期(通期) 2011.12
適用会計基準 K-IFRS

Revenue/売上高

165,001,771 million Won

11,550,123 百万円

Operating income/営業利益

16,249,717 million Won

1,137,480 百万円

売上高営業利益率

9.84%

Net income/当期利益 ※

13,359,192 million Won

935,143 百万円

Comprehensive income/包括利益 ※

12,801,542 million Won

896,107 百万円

Total assets/資産総額

155,631,254 million Won

(10,894,187 百万円)

Stockholders' equity/株主資本 ※

97,599,765 million Won

( 6,831,983 百万円)

Equity Ratio/自己資本比率 ※

65.44%

ROE/株主資本利益率 ※

13.68%

Cash flows from operating activities

/営業活動によるキャッシュフロー

22,917,901 million Won

(1,604,253 百万円)

Cash flows from investing activities

/投資活動によるキャッシュフロー

21,112,564 million Won

(1,477,879 百万円)

Cash flows from financing activities

/財務活動によるキャッシュフロー

3,109,729 million Won

(217,681 百万円)

Cash and cash equivalents

/現金・現金同等物

14,691,761 million Won

(1,028,423 百万円)

※ 日本円ベースは0.07円/ウォンで簡便的に換算している。日本円換算数値はあくまで参考値。

※ 当期利益、包括利益、株主資本は支配株主帰属分

※ 自己資本比率、株主資本利益率は期末残高ベースで簡便的に算出している。

さらに、グループ全体およびセグメントごとの業績推移を見てみます。

 

売上高、営業利益全体でみると順調そうに見えますが、2011年には収益構造が大きく変わっています

下記セグメント別業績をご覧ください。

 

サムスン電子は、大きく分けて、「情報通信」、「半導体」、「液晶ディスプレイ(LCD)」、「デジタルメディア」という四つの事業分野を持っています。

 

それまでの稼ぎ頭の一角であった「液晶ディスプレイ(LCD)」やテレビなどの「デジタルメディア」が、世界的なパネル価格の下落などの要因で急速に業績が悪化し、さらに半導体事業も市況の影響を受けやすく追い打ちかけました。

 

代わって、稼ぎ頭となったのが、情報通信事業です。世界的にモバイル市場で携帯電話からスマートフォンへシフトが進む中、ギャラクシーが世界的に大ヒット、アップルのiPhoneと肩を並べるまでのブランドに成長しました。

 

<セグメント内容>

Tele Communication…携帯電話端末、基地局、コンピューター、デジタル・オーディオ、 映像や音楽のコンテンツとサービスなど

Semiconductor…メモリーやシステムLSIなど

LCD…薄膜トランジスター駆動液晶ディスプレイ(TFTLCD) のパネル事業

Didital Media…テレビ、モニター、プリンターなど白物家電

 

ちなみに地域別売上高も見てみます。実に世界各地バランス良く売上を上げていることがわかります。世界的に浸透しているメーカーにまで成長している証左ですね。

繰り返しになりますが、スマートハウスが普及すると、キーとなるのがデジタル機器(デジタル家電など)をコントロールする「HEMS」と操作端末となる可能性のある「スマートフォン」や「タブレット端末」と思われます。

 

多くの製品・サービスが”アナログ”から”デジタル化”へシフトしましたが、デジタル化の次のステージはデジタル化した製品・サービスを繋げる”ネットワーク化”のような気がします(専門分野ではないのであくまで筆者の直感です)。

 

テレビ産業では、デジタル化の流れの中モジュール化が進み、水平分業体制へのシフトが遅れた日本勢は大きく世界的シェアを失いました。

 

来るネットワーク化の時代で、日本勢の巻き返しに期待したいと思います。

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