株式会社インターナレッジ・パートナーズ IKP税理士法人

2012/06/06 クボタがコメ輸出 今秋香港へ初年度200万トン

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今日は、日経一面のクボタの記事からです。

 

【記事要約】


・農機メーカーのクボタが国内有力産地を組んでコメ輸出を始める。

・まずは新潟県産の販売を今秋に香港で開始。産地や輸出先を順次広げて3年後には現在の日本の総輸出量の4分の1にあたる年500トンの販売を目指す。品質の高い国産米は海外で需要が伸びるとみており日本の農業が攻めに転じるのを支援する

・クボタが地元農家から集荷。鮮度を保つため香港子会社の冷蔵倉庫で玄米のまま保管し、受注後に精米・出荷する。

・主に日本料理店などの外食店に販売するが、現地での日本食人気をにらんで、富裕層などにもインターネットで売り込む。

・クボタは農機販売を通じて国内産地と密接な関係を築いており、コメ輸出でも連携を働きかける。

・これまでは国内市場を念頭に農家に農機の使い方や栽培方法を提案してきたが、今後は海外の顧客がどんなコメを求めているか把握し、農家と共同で海外で売れるコメ作りに取り込む


 

TPP(環太平洋貿易経済連携協定)の参加により日本の農業が壊滅するのではないかという懸念が叫ばれる中、農機メーカーのクボタがコメ輸出へ参入するという注目の記事ですね。

最近では、さらに大手スーパー西友が中国産のコメを販売するなど、コメ農家を取り巻く環境は厳しくなる一方です。

 

TPPの農業問題は、筆者の個人的な見解ですが、いかに輸入品から守るかが中心で、日本の農業をいかに世界競争に勝てるようにするのか、世界に輸出していけるようにするのかが、議論されていないわけではないと思いますが、同水準で議論されていないように思います。

(農業問題には精通していないので、あくまで素人目線です。)

 

こうした中、クボタのような海外展開にもノウハウがある上場企業が日本のコメ農業を支援するというのは実に良い流れなのかもしれません。

 

特に全国のコメ生産量約850万トンのうち、約半数の出荷や販売を管理しているのはJAグループですが、 今後もこのような一般企業が次々と参入してくると日本の農業にいい影響を与えそうですね。

最後にクボタの業績を見てみます。

 

<当社財務データベース> 

 

クボタ_通期.pdf(2012年3月期の決算短信情報は含んでいない)

 

<クボタ 業績推移(通期)> 

 

 

<クボタ セグメント別業績推移(通期)> 

 

 【セグメント内容】

「機械事業」…主として農業機械及び農業関連商品、エンジン、建設機械の製造・販売等

「水・環境システム事業」…主としてパイプ等の水利設備等関連製品、各種環境プラントの製造・販売等

「社会インフラ事業」…主として素形材、鋼管、自動販売機、電装機器、空調機器の製造・販売等

「その他事業」…主として各種工事の設計・施工、各種サービスの提供、住宅機材の製造・販売等を行っております。

 

<クボタ 海外売上高状況(12年3月期)> 

 

 

クボタは、営業利益の実に9割近くを機械事業が稼いでいます。

 

機械事業の中心は農業機械でしょうから、日本の農業の衰退はクボタにとっても死活問題でしょう。

 

そのためか、クボタは水環境システム事業や社会インフラ事業など多角化が進んでいるとともに、海外売上高も50%近くにものぼります。

 

そうはいっても、国内売上高50%で営業利益の90%を農業機械を中心とする機械事業が稼いでいる現状から、日本の農業の成長を世界へ発信する、インセンティブがあると考えられます。

 

海外展開で蓄えたノウハウをもとに、クボタが日本のコメ農業の海外進出のための原動力になるのか、今後の展開が気になります。

最近は、飲食店や食料品などの日本の食文化の海外進出が盛んですから、日本の農業の海外進出にも期待したいと思います。

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