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2013/12/25 平成26年度税制改正大綱【後編】

 今日は、前回に続き、平成26年度税制改正の解説です。

 原文は、以下のところにアップしておきます。

 

■ 平成25年12月12日 自由民主党・公明党公表『平成26年度税制改正大綱』

3.法人課税

(1)復興特別法人税の1年前倒し廃止 p74〜

【改正案】

 復興特別法人税の課税期間を1年間前倒しして終了することとする。
 なお、復興特別法人税の課税期間終了後、法人が各事業年度において利子及び配当等に課される復興特別所得税の額は、各事業年度において利子及び配当等に課される所得税の額と合わせて、各事業年度の法人税の額から控除する。この場合に、復興特別所得税の額で法人税の額から控除しきれなかった金額があるときは、その金額を還付する。

 

【解説】

 復興特別法人税の課税期間が1年間前倒しして終了することになりました。また、これに合わせて、まだ続く、復興特別所得税については、通常の法人でも徴収される所得税と併せて、法人税から控除することができることになります。

 

(2)交際費等の損金不算入制度の改正 p76〜

【改正案】

 交際費等の損金不算入制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
@ 交際費等の額のうち、飲食のために支出する費用の額の50%を損金の額に算入することとする。
(注)飲食のために支出する費用には、専らその法人の役員、従業員等に対する接待等のために支出する費用(いわゆる社内接待費)を含まない。
A 中小法人に係る損金算入の特例について、上記@との選択適用とした上、その適用期限を2年延長する。

 

【解説】

 今まで大企業に認めてこなかった交際費の損金算入を一部認めたものです。これに合わせて、中小企業には、中小企業に認められている今までの損金算入制度との選択適用を認めたものです。

 ここで注意が必要なのは、飲食交際費に限定されている点と社内交際費は認められないという点です。

 

 

(3)国家戦略特別区域法に関連する税制 p77〜

 税制だけの話ではありませんが、安倍政権の肝いりである国家戦略特別区域法の関連して、税制上でも優遇措置が設けられています。

 一般企業ではあまり関係ない話ではありますが、規制緩和の序盤戦としては、大いに注目していきたいところですね。

 

 

(4)地方法人課税の偏在是正 p79〜

【改正案】

 

 法人住民税法人税割の税率を次のとおりとし、平成26年10月1日以後に開始する事業年度から適用する。

 

現  行 改 正 案
[標準税率] [制限税率] [標準税率] [制限税率]
都道府県民税法人税割 5.0% 6.0% 3.2% 4.2%
市町村民税法人税割 12.3% 14.7% 9.7% 12.1%

 

 

 合わせて、地方法人税(仮称)(国税)を創設し、国(税務署)に対して申告及び納付をする。申告書の提出期限は、法人税の申告書の提出期限と同一とする。

 地方法人税額は、各課税事業年度の基準法人税額(課税標準)に4.4%の税率を乗じて計算した金額とする。

 

 また、地方法人特別税の税率は次のとおりとし、平成26年10月1日以後に開始する事業年度から適用する。

 

現行 改正案
@付加価値割額、資本割額及び所得割額の合算額によって法人事業税を課税される法人の所得割額に対する税率 148% 67.4%
A所得割額によって法人事業税を課税される法人の所得割額に対する税率 81% 43.2%
B収入割額によって法人事業税を課税される法人の収入割額に対する税率 81% 43.2%

 

  法人事業税(所得割及び収入割に限る。)の標準税率も次のとおりとし、平成26年10月1日以後に開始する事業年度から適用する。

 

@ 資本金の額又は出資金の額(以下「資本金」という。)1億円超の普通法人の所得割の標準税率

現行 改正案
年400万円以下の所得 1.5% 2.2%
年400万円超年800万円以下の所得 2.2% 3.2%
年800万円超の所得 2.9% 4.3%

 

 A 資本金1億円以下の普通法人等の所得割の標準税率

 

現行 改正案
年400万円以下の所得 2.7% 3.4%
年400万円超年800万円以下の所得 4.0% 5.1%
年800万円超の所得 5.3% 6.7%

  

B 特別法人の所得割の標準税率

現行 改正案
年400万円以下の所得 2.7% 3.4%
年400万円超の所得 3.6% 4.6%
特定の協同組合等の年10億円超の所得 4.3% 5.5%

  

C 収入金額課税法人の収入割の標準税率

現行 改正案
電気供給業、ガス供給業及び保険業を行う法人の収入金額に対する税率 0.7% 0.9%

 

 なお、3以上の都道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人のうち、資本金1000万円以上であるものの所得割に係る税率については、軽減税率の適用はない。

 

【解説】

 賛否両論ありますが、地方税の偏在是正として、地方法人課税が大きく改正されます。

 簡単にいえば、今まで地方税として徴収していた一部を「地方法人税」という名称で国税化し、それを原資に地方交付税で地方に再分配する方法を採用するようです。地域へのバラマキとの声もありますが、消費税が増税されることに伴い、地域間での税収力の格差は広がる一方です。消費税は、国税の4分の1が地方税とされており、現行では消費税率5%なので、4%が国税で1%が地方税になります。これが税率8%になると6.4%が国税で、1.6%が地方税となり、住民が多い地方はより多くの消費が見込まれるでしょうから、消費税による税収は高まる一方で、格差のある地方ではそれほど税収が上がらない、、という不平等が生じる可能性があるのです。

 もちろん、財政問題を抱える日本でいつまでも地方へのバラマキ的な財政政策に問題がないわけでもなく、抜本的な見直しは必要なのではないかと筆者個人も思うところはあります。

 

 

(5)雇用促進税制の2年延長 p90〜

 雇用促進税制が2年延長となりました。

4.消費課税

(1)車体課税の見直し p96〜

 車体課税として、自動車重量税(国税)、自動車取得税(地方税)、自動車税(地方税)軽自動車税(地方税)に対して税制改正が行われています。細かい税率などは税制大綱を確認して頂くとして、大枠について確認していきます。

 

@自動車重量税

 いわゆるエコカー減税について、当該新規検査後に受ける最初の継続検査等の際に納付すべき自動車重量税を免税。一方で、新車新規登録から13年を経過したもの(新車新規登録から18年を経過したものを除く。)に係る自動車重量税の税率については増税となります。

 

A自動車取得税

 自家用の自動車は、現行5%から3%へ減税、営業用の自動車及び軽自動車は現行3%から2%へ減税。いわゆるエコカー減税について、現行の軽減税率を75%から80%、50%軽減については60%に拡充。

 

B自動車税

 環境負荷の小さい自動車は減税、環境負荷の大きい自動車には重課する。

 

C軽自動車税

 軽自動車税は増税。

 

 

(2)簡易課税のみなし仕入率の見直し p101〜

【改正案】

 消費税の簡易課税制度のみなし仕入率について、次の見直しを行う。
@ 金融業及び保険業を第5種事業とし、そのみなし仕入率を50%(現行60%)とする。
A 不動産業を第6種事業とし、そのみなし仕入率を40%(現行50%)とする。
B その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間について適用する。

 

【解説】

 みなし仕入率について、益税の議論がたびたびされていましたので、その整理として、金融業、保険業、不動産業についてみなし仕入率が下げられました。結果として、税額が増加します。

 

 

(3)外国人旅行者の消費税免税 p101〜

【改正案】

 外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)について、次の見直しを行う。
@ 次の方法で販売することを前提に、免税販売の対象物品に消耗品(その旅行者に対して、同一店舗で1日に販売する50万円までの消耗品に限る。)を追加する。
イ その旅行者に対して、同一店舗で1日に販売する消耗品の額が5千円超であること
ロ 国土交通大臣及び経済産業大臣が財務大臣と協議して定める方法により包装すること
ハ 購入後30日以内に輸出することを、免税購入する旅行者が誓約すること
A その旅行者に対して、同一店舗で1日に販売する見直し前の免税対象物品(消耗品以外の物品)の額が100万円を超える場合には、輸出物品販売場を経営する事業者が保存しなければならない書類に、その旅行者の旅券等の写しを追加する。
B 購入記録票等の様式の弾力化及び手続きの簡素化を行う。
C その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成26年10月1日以後に行われる課税資産の譲渡等について適用する。

 

【解説】

 いわゆる免税店での拡充ですね。外国人旅行者の拡大を目指している日本政府としても税制面で優遇しようとの政策的な配慮ですね。

5.国際課税

(1)国際課税原則の見直し

 国際課税では、大きな改正が予定されています。今回の国際課税の変更は抜本的な考え方の変更で、大きな影響を与えるものと思われます。

ただし、詳細に解説するには分量が多いため、詳細は割愛し、大枠の部分のみピックアップします。

 

・総合主義から帰属主義への変更。

・結果として、PE帰属所得を従来の国内事業所得に代えて国内源泉所得の一つとして位置付ける。

・PE帰属所得の算定において、外国法人のPEと本店等との間の内部取引について、移転価格税制と同様、独立企業間価格に基づく損益を認識する。

・外国法人のPEのための外国税額控除制度を創設する。

・内国法人が国外にゆうするPEに帰せられる所得を国外源泉所得の一つとして定義し、内国法人の外国税額控除に関して国外PE帰属所得を算定する際には、上記の内部取引等を勘案。

・移転価格税制と同様、文書化が必要。

 

 上記のとおり、課税関係の変更、外国税額控除の計算の変更、文書化など実務的に影響が大きいものになります。国際税務に携わる実務家は平成26年度税制改正がどのように織り込まれていくかは注目していく必要があります(恐らく安定政権であるためそれほどの修正はないかもしれませんが、修正・加筆・削除などは十分に考えられます)。

 

 平成26年度税制改正において、p120〜「付記 国際課税原則の見直し(総合主義から帰属主義への変更)」が13ページわたって記載されています。

 

 なお、適用年度は平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税及び平成29年分以後の所得税についてから適用となっています。

 ざっくりですが、平成26年度税制改正大綱について確認していきました。

 平成25年度税制改正に比べればボリューム的にはそれほどではありませんが、個人課税増加と法人課税の負担減少というのは明確になってきていると言えますね。

 

 さて、今日は今年最後のBizBlogとなりました。

 皆様からのご支援のおかげで、今年も1年間続けることができました。あまり派手な内容ではないにも関わらず、そこそこのアクセス数を頂いており、とても喜んでおります。

 来年も可能な限り継続していきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 

 なお、BizBlogは来年の1月15日(水)からの再開を予定しております。

 

 それでは、メリークリスマス! & 良いお年を!!

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