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2012/08/03 ドラクエ新作発売 オンライン機能で収益安定を狙う

現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。

今日は、本日の日経朝刊11面のドラクエの新作発売の記事からです。

 

【記事要約】


・スクウェア・エニックスは、2日、人気家庭用ゲームソフト「ドラゴンクエスト」の最新作を発売した。

他のプレイヤーとインターネット経由で一緒に遊べるシリーズ初のオンライン機能を採用。売り切り型のパッケージソフトの販売が落ち込むなか、中長期で利用料を得られるオンラインゲームで収益を拡大する

・ドラクエはシリーズ累計で5900万本以上を販売した人気ゲーム。今回の最新作「ドラゴンクエスト10 目覚めし五つの種族 オンライン」は任天堂の「Wii」向けソフト。

パッケージ代金6980円(通常版)に加えて、30~90日間で1000~2900円のオンライン利用料金が必要になる。他のプレイヤーとチームを組んでゲームを進めることができるほか、情報やアイテムの交換もできる。

・同社は10週に1度大規模なバージョンアップを実施、10年ぐらいは配信サービスを続けるとしており、長く遊んでもらう工夫を取り入れた。

・ただし、月額利用料がかさむとプレイヤーの負担になる可能性があるため、平日夕方など主に子供が利用する時間帯は1日2時間を限度に無料公開するなど、利用料を払わなくても一定の範囲内で遊べる設計にし、幅広い顧客の獲得を目指す。


 

ドラクエもオンラインゲームの時代になりました。 

今日は、ドラクエ発売を機会に、スクエアエニックスHDについて簡単に企業分析してみます。

スクエアエニックスHDは、2003年4月1日に、株式会社エニックスと株式会社スクウェアの合併により誕生したグループです。ドラゴンクエスト(いわゆるドラクエ)のエニックスと、ファイナルファンタジー(いわゆるFF)のスクウェアの合併ということで当時話題になりましたね。

 

そんなスクエアエニックスの財務データベースおよび合併後の業績推移は以下のとおりです。

 

スクエアエニックスHD_財務DB(通期).pdf

スクエアエニックスHD_財務DB(四半期).pdf

 

売上高や利益は、かなり上下していますが、人気タイトルであるドラゴンクエストシリーズとファイナルファンタジーシリーズの新作発売時期と相関していることがわかります。

 

特に、2010年3月期は、「ファイナルファンタジーXIII(PS3用ソフトとして日本で発売、翌年北米とヨーロッパでもPS3とXbox 360で発売)」「ドラゴンクエストIX 星空の守り人 (ニンテンドーDS、2009年7月11日)」が牽引し、過去最高益を更新しています。また、ファイナルファンタジーXIIIは日米欧でバランスよく売れており、グローバル化へ大きく前進しました。

 

ただし、2011年に一転し、ここ2期は不調に終わっています。

原因の1つが2010年9月に投入したファイナルファンタジーXIVが振るわなかったためです。

2010年度のアニュアルレポートでも『成功を疑わなかった「ファイナルファンタジーXIV」でも大きくつまずきました』と記載されています。

 

スクエアエニックスの基本戦略のポイントは、「グローバル化」「ネットワーク化」「自社IP(知的財産;Intellectual Property)」。

 

基本戦略とマッチするかたちで、「ファイナルファンタジーXIV」は、FF11以来2作目のオンラインゲームMMORPGとして、2010年9月30日(Windows版)に投入されましたが、結果うまくいきませんでした。ちなみに、「MMORPG」とは、Massively Multiplayer Online Role-Playing Gameの略で、「大規模多人数同時参加型オンラインRPG」をいいます。

なお、収益構造としては、多角化していますが、ゲーム事業および国内事業の比率がまだまだ高いため、2013年3月期の業績を占うにあたり、今回の新作ドラゴンクエストの売れ行きが非常に重要となってくると思われます。

 

<セグメント内容> 

● デジタルエンタテインメント事業

家庭用ゲーム機(携帯ゲーム機を含む)、PC、携帯電話(スマートフォンを含む)等に双方向のデジタルコンテンツを提供

● アミューズメント事業

アミューズメント施設の運営、アミューズメント施設向けのアミューズメント機器の販売、レンタルを行う

● 出版事業

コミック単行本、ゲームガイドブック、定期刊行誌等の出版を行う

●ライツ・プロパティ等事業

二次的著作物の企画・政策・販売・ライセンス許諾等を行う

 

2010年度の同社のアニュアルレポートによると、ゲーム産業におけるプラットフォームごとの市場規模は下記のとおり推移しているとのこと。

 

家庭用ゲーム機でのソフト市場が横ばいの中、さらなる成長を求めるためには、従来の家庭用ゲーム機のソフトとして売り切りではなく、ネットワーク化、課金機能の追加、グローバル展開などさまざまな工夫が必要となります。

特にスマートフォンの普及により、プラットフォーム自体が大きくかわってきいているため、ネットワーク化やグローバル化は必須の要素になってくるでしょう。

 

今回のドラクエのオンライン機能はそんな、次のゲーム市場の構造変化の兆しを反映しているといえますね。 

 

(出典:スクエアエニックスの2010年3月期アニュアルレポートより)

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