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2011/10/19 「モバゲー」のDeNA 横浜ベイスターズ 買収か!?


TBSホールディングスが参加のプロ野球・横浜ベイスターズを、ソーシャルゲームサイト「モバゲー」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)へ売却することで、両社が大筋合意した。売却には12球団で構成するオーナー会議での承認が必要で、売却の行方には流動的な面も残る。

TBSはグループで持つベイスターズ株約7割の大半を売却する。売却額は100億円前後の見込み。TBSは次回のオーナー会議への提案を目指す。各球団オーナーに対して打診を始めた。ベイスターズは成績の低迷で観客動員数や放映権料が減少。毎年20億円前後の赤字をTBSが補填していた。

(2011/10/19 日本経済新聞 より)


 

ただし、ディー・エヌ・エー(DeNA)は19日、プロ野球・横浜ベイスターズの買収について、「交渉中であることは事実」としつつも進捗状況については「現時点では何ら決定していない」とコメントしているようです。TBSホールディングスも同日、「現時点で開示すべき事実はない」とコメントしました。

 

楽天やソフトバンクが球団を経営するようになったとき(一時期ライブドアも名乗りを上げていましたが)、成長企業の主役がネット企業や通信企業などの情報産業へシフトしてきたのだと感じたのを覚えています。

そうした中、今回の「モバゲー」のディー・エヌ・エー(DeNA)が球団買収というニュースは、情報産業の中でもソーシャル・メディアやソーシャル・ゲームなどの「ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)」企業の勢いを象徴する出来事だと思います。(最終的に買収できるかどうかは執筆段階ではわかりませんが…)

 

日本の「ソーシャル・ネットワーク・サービス」を展開する主な企業である「ディー・エヌ・エー(東証1部)」「グリー(東証1部)」「ミクシィ(東証マザーズ)」が挙げられますが、今回は「ディー・エヌ・エー(東証1部)」に中心に見ていきます。参考までにその他の2社の個別財務情報と3社の比較財務情報も添付しておきます。

下記PDFをご覧ください。

 

ディー・エヌ・エー個別財務情報.pdf 

 

【参考】

グリー個別財務情報.pdf

ミクシィ個別財務情報.pdf

直近3社財務情報比較.pdf

(すべて当社財務DBより)

 

直近4期の財務情報を見ると、成長力・利益率の高さが際立ちます。 会員数も2011年3月末時点で2,714万人に達しています(有価証券報告書より)。国内人口1億3千万人と考えると単純計算で国内人口の約20%がモバゲー会員というのもすごいですね。

 

ここで今回の財務情報で注目したい1つが2011年3月期で総資産額が前期比2.3倍に(720億円増加)なっている点です。

 

主な増加要因は以下の2点です。

@ 手元キャッシュの増加(前期比約300億の増加)

A 企業買収によるのれんの増加(前期比約280億円増加)

 

<@について>

ディー・エヌ・エーなどのSNS企業は、減価償却費などの設備投資関連費用も少なく、利益=キャッシュフローにより近いビジネスモデルになっています。設備投資をし続けなければならない製造業と異なり利益を上げた分だけキャッシュが貯まるわけです。

 

<Aについて>

2011年3月期に米国ngmoco,LLCを325百万米ドル(約260億円)で買収および米国Gameview Studio,LLCを29百万米ドル(約23億円)で買収したことによるものです。(取得原価から考えてほとんどがのれんというのも驚愕ですが…)

両者ともスマートフォン向けソーシャルゲームアプリの開発と提供を事業内容とする会社で、平成20年に設立した米国子会社と合わせてグローバルなソーシャルプラットフォームの構築を目指した戦略の一環のようです。

 

実は、同じソーシャル・ゲームを展開する「グリー」も平成23年に米国子会社の設立と、米国のスマートフォン向けゲームプラットフォームを展開する会社を買収し、多額ののれんを計上しているという同じ経営行動をとっています

 

この近年急に加速した両者の海外戦略。。。。。狙いはプラットフォームの拡大にあります。

 

SNSはプラットフォームビジネスです。人をどれだけ、自分たちのプラットフォームに集めるかがビジネス上の重要なファクターの一つです。人さえ集まれば後は魅力的なアプリさえ提供すればお金を落としてくれる可能性が高まります。観光施設やアミューズメント施設と同じ発想ですね。

 

海外では、直近でユーザー数が8億人を超えたばかりの巨大なプラットフォームである「Facebook」がいます。米国のソーシャルゲームディベロッパーのZynga社が、Facebook上で提供しているソーシャル農業ゲーム「FarmVille」も大ヒットしたのは有名な話です。最近、Facebookの日本での存在感も増しており国内SNS企業は危機感をもっているでしょう。

 

また、日本のSNS企業にとってプラットフォーム拡大戦略のための、言語障壁の打開も一つの大きなポイントになります。日本語のプラットフォームではMAXでも1億3千万人程度のマーケットですから。そういった意味で、英語圏のFacebookは尚更有利ですから、言語障壁を取り払うべく国内SNS企業は海外現地の会社を買収した方が早いと判断したのでしょう。

SNS企業ではありませんが、ネット上の仮想商店というプラットフォームを展開する「楽天」も、プラットフォームの拡大における言語障壁の重要性に鑑み、社内公用語に英語を採用したのかもしれません。

 

このような点を鑑みると、今後はSNS企業は豊富なキャッシュをもとに、海外でのプラットフォーム拡大に向けたM&A戦略が加速していくのではないかと思っています。

 

19日の東京株式市場ではディー・エヌ・エー株が急落し、前日比8%近くも下げました。100億円前後とみられる買収負担を懸念する売りが膨らんでいるようです。

 

しかし、横浜ベイスターズの買収も単なる会社の知名度を向上という単純なものではなく、国内のソーシャルプラットフォーム拡大戦略の手段と考えていると思うと「ディー・エヌ・エー」のしたたかさを垣間見ることができます。

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