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2011/10/28 任天堂 初の最終赤字の見通し


任天堂は27日、2012年3月期の連結最終損益が200億円の赤字(前期は776億円の黒字)になるとの見通しを発表した。従来予想は200億円の黒字。携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の販売が伸び悩み、ソフトも低迷、円高も収益を圧迫する。1981年に連結業績の開示を始めて以来、最終赤字は初めて。携帯電話機を通じた無料ゲームが普及するなかで、収益環境が一段と厳しくなっている。

(日本経済新聞2011年10月28日より)


 

業績悪化の主な要因はというと、

@ ゲーム機を牽引するような有力ソフトを投入できず

A 最近新しく投入した「3DS」の低迷

B スマートフォンやSNSを通じたゲームの利用の拡大

C 円高による為替差損の拡大

のようです。

 

任天堂の財務情報を見てみると、2009年の最高益を境に急速に業績が低迷していることがわかります。

 

任天堂_個社財務情報.pdf (当社財務DBより)

 

@Aに関してさらにゲーム機の販売状況について分析してみます。

ゲーム機の販売実績と業績状況の状況をグラフ化してみると下記のとおり。

 

2009年には過去最高益を更新していましたが、

・不振だったゲームキューブからWiiによる据置型ゲーム機市場の巻き返し

・ゲームボーイアドバンスからニンテンドーDSへの新型機種へのシフトの成功

が要因だったことがわかります。

しかし、過去のゲーム機の販売台数から見てもWiiとニンテンドーDSの大ヒットの凄さがわかりますね(海外売上拡大などの要因が大きいですが)。

 

また、ゲーム機ハードは5年程度のサイクルを繰り返してることもわかります。

製品ライフサイクル理論に基づくと、製品は「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」のサイクルを経ます。

そして、衰退期にいかに魅力的な後継機種を投入できるかがカギになってきます。逆に競合他社からするとその衰退期にどれだけスイッチさせることができるのかがカギになってきます。

 

こうしてWiiとニンテンドーDSを製品ライフサイクル理論で考えると

Wii…2007年が導入期、2008-209年が成長期、2010年-2011年が成熟期

ニンテンドーDS…2005年-2006年が導入期、2007-2008年が成長期、2009年-2010年が成熟期、2011円-衰退期

といったところでしょうか。

 

ニンテンドーDSもWiiもすでに成熟期・衰退期に突入していますから、2011年には「ニンテンドー3DS」を導入、2012年にはWiiの後継機種である「Wii U(ウィ-ユー)」の投入を予定しています。

 

ちなみに、任天堂が過去から発売したゲーム機の累積販売量はどうか集計比較してみました。 

据え置き型ですとWiiが、携帯型だとニンテンドーDSが圧倒的な販売量です。

しかし、これは海外販売の寄与が多いので国内市場で見てみると

● ファミリーコンピューター(ファミコン)…1,935万台

● Wii…1,191万台

● ゲームボーイ…3,247万台

● ニンテンドーDS…3,292万台 

と国内市場が主だったファミコンとゲームボーイのすごさもわかります。 

 

WiiやニンテンドーDSでは、遊びの手軽さや体感型ゲームという新ジャンルの確立により女性や親世代などの未開拓層の開拓が成功の要因だったと言われます。

しかし、ゲーム市場はスマートフォンやSNSなどの台頭により、業界構造に変化が起きています。ゲーム機ハードという点ではスマートフォンが圧倒的に浸透していますし、もともと任天堂が開拓した顧客層である女性や親世代はゲームへの執着も低いので、当該層への依存が逆に任天堂のリスクになることすら考えられます。さらなる独自性を追求し勝負するのか、それとも、スマートフォンやSNSではニーズを充足できないゲームマニア層へシフトしスマートフォンやSNSとの差別化を図るのか、任天堂もソーシャルゲームに進出するのか・・・難しい舵取りですね。

 

ゲーム業界のリーディングカンパニーである任天堂が、今後業界構造の変化にどのように適合していくか注目です。

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