株式会社インターナレッジ・パートナーズ IKP税理士法人

2012/08/30 カゴメ、トマト担保に借り入れ

現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。

今日は、本日の日経朝刊13面のカゴメの記事からです。

 

【記事要約】


・カゴメはジュースやソースの原料として使用するトマトを担保に借り入れを実施する。

・設備や在庫などを担保に資金を借り入れる「動産担保融資」を活用し、9月下旬にも三菱UFJ信託から10億円を借り入れる。

・資金調達をの手段を多様化させるほか、海外子会社などに利用を促して本体からの貸付を圧縮する狙いがある。

・カゴメは今回の借入で担保の評価の方法や借入の手続きなどのノウハウを蓄積する。今回の融資期間は1年。

・金利はトマトの担保価値を元に設定するため、カゴメが自らの信用力を背景に銀行から借りる場合よりやや高くなる。

・カゴメが国内外で手掛けるトマトの加工では、トマトが旬の時期に1年分を収穫し、ペースト状にして冷蔵庫などで保管する。ペーストは他の食品メーカーなどでも需要があり、担保価値があると判断されたもよう。

・収穫期に資金需要が集中するため、運転資金の借り入れが不可欠。ただ小規模な子会社は信用力が相対的に低く、カゴメ本体からの貸付に頼っているところも多い。

・今後、欧州債務危機の影響で体力の弱った欧米の銀行が融資を減らす可能性もあることから、動産担保融資の活用で資金調達先を広げる狙いもある。


 

動産担保融資(ABL)」とは、主として売掛債権と棚卸資産を担保にした融資手法です。不動産担保や個人保証に過度に依存しない融資手法として重要性とその推進の必要性が認められ、経済産業省や金融庁も普及に踏めてインフラを整備していますね。

 

一般的には、不動産を持たない中小企業や農家など個人事業主が利用する場合が多いため、カゴメのような大企業が利用するのは珍しいです。

今日はカゴメの業績を簡単に見てみます。

 

主な業績指標の推移をグラフ化すると以下のとおりです。

 

売上高は安定的に推移しています。横ばいともいえますが。

一方、利益面ではリーマンショックから端を発した世界的金融危機がおこった2009年3月期に落ち込みましたが、順調に回復しています。

特に、以下のセグメント情報を見ればわかりますが、国内事業のである飲料事業が好調のためです。キャンペーンや健康志向よる流れによるものです。

 

ただし、海外事業の連結売上高に占める比率は、9%程度と国内市場で稼ぐ収益構造であることがわかります。

 

 

<セグメント内容>

飲料…野菜飲料、フルーツ飲料、乳酸菌などが

食品…調味料、調味食品

ギフト…主として飲料のギフト

生鮮野菜…各菜園での生鮮トマトの生産とその販売

メディア通販…自社通販による通販専用の飲料やサプリメント

業務用…主として外食産業や食品メーカーにおける調味料、素材、飲料など

海外事業…米国、欧州、アジア、豪州

以前、調味料を中心とした食品業界について取り上げましたが、味の素、キッコーマンが海外展開が進んでいますが、キューピーは意外に進んでいない点を指摘しました。

もともとキューピーも海外発祥のマヨネーズが主力事業で、カゴメが得意するトマトも海外で多く使用される食材です。

海外市場へ進出という意味では、従来からグローバルな食材よりも、日本独自のものの方が、より競争相手も少なく、付加価値がつきやすいからかもしれませんね。

 

2011/11/18 味の素 南米全域に販売網 日本の調味料 海外進出加速

 

ただし、 国内での成長には限界があります。

まだまだ海外で利益は出ていませんが、海外比率をどれだけ高められるかがカゴメの今後の課題といえますね。

 

今回の記事の動産担保融資の話題に戻すと..

当社のお客様もそうですが、不動産を持たない中小企業(ベンチャー企業も含む)では、やはりオーナーの個人保証を付けたり自宅を担保に入れたりと、運転資金の調達でもリスク負担は実に重たいものがあります。

動産担保を大企業が使うことによって、動産担保が普及し、インフラが整備され、中小企業がもっと資金調達しやすい環境への一助となってほしいものです。

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