株式会社インターナレッジ・パートナーズ IKP税理士法人

2012/07/12 ヤマダ、ベスト電器を買収

現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。

今日は、本日の日経朝刊のヤマダ電機がベスト電器を買収するというビックニュースからです。

 

【記事要約】


・家電量販最大手のヤマダ電機は11日、同業のベスト電器を買収する方針を固めた。

・ベストの第三者割当増資をヤマダが引き受け、発行済株式の過半数を持つ筆頭株主となる。株式の取得額は100億円超の見通し。

・ビックは現在ベストに15%出資して業務提携しているが、ヤマダのベスト買収で出資比率は低下。ビックとベストの業務提携は解消に向かう見通し。また、ヤマダの連結子会社となった後もベストは上場を維持する見通しで、ベスト電器の店名も変更せずに営業を続ける方針。

ヤマダは買収により、2兆円を上回る売上規模を確保

・テレビ販売の低迷で家電市場が急速に縮小する中、販売シェアを高めて勝ち残る姿勢を打ち出す。


 

家電量販店の業界再編の動きが活発になってきました。5月にビックのコジマ買収のニュースがありましたね。

 

2012/05/11 ビック、コジマを買収 家電量販2位に

 

一時は、家電エコポイント制度や地上デジタル放送への移行に伴うテレビ特需もあり、百貨店跡地などに次々に出店し、小売業界で勝ち組だった家電量販店ですが、国内のテレビメーカーの不振や特需の終息で業績が急速に悪化しています。

 

もともとビジネスモデルの優位性は、規模拡大によるメーカーとの取引条件の優位性や店舗望の連携による物流の効率性に依存し易いと思われます。

 

そのため、市場が縮小し低価格競争へのシフトが避けれられない環境下では、消耗戦に耐えられない企業ができて、企業再編が加速するのは避けられないといえます。

実際、国内の家電量販店9社の直近の業績・財務状況をみてみます。

 

(金額単位:百万円)

ヤマダ電器連合  ビックカメラ連合
ヤマダ電機 ベスト電器 ビックカメラ コジマ
証券番号 9831 8175 3048 7513
直近決算期 24年3月期 24年2月期 24年8月期(予想) 24年3月期

売上高

1,835,454

(△14.8%

261,705

(△23.2%)

530,000

(△13.4%)

370,380

(△17.6%

営業利益

88,978

(△27.5%)

2,535

(△63.0%)

9,000

(△54.8%)

3,660

(△68.8%)

経常利益

102,225

△25.8%

2,009

△65.7%

11,000

(△50.7%)

4,200

△64.1%

当期純利益

58,235

(△17.7%)

589

(△44.2%)

7,000

(△22.7%)

508

(△74.8%)

経常利益率 5.56% 0.76% 2.07% 1.13%
自己資本比率 55.4% 35.3% 32.9% 31.2%

店舗数

(FCを除く)

707店

222店 34店 206店
補足 業界最大手 九州が中心 駅前大型出店型 北関東が地盤

 

エディオン ケーズHD ヨドバシカメラ ノジマ 上新電機
証券番号 2730 8282 非上場 7419 8173
直近決算期 24年3月期 24年3月期

23年3月期

(24年3月期は不明)

24年3月期 8173

売上高

759,025

△15.8%

726,015

(△5.8%

700,500

9.4%

211,051

△1.1%

410,174

△5.8%)

営業利益

9,286

(△64.7%)

34,086

(△16.7%)

不明

743

(△83.4%)

12,239

(1.9%)

経常利益

16,384

△52.4%

42,123

△14.7%

61,000

3,262

△55.1%

12,111

1.1%

当期純利益

3,697

(△77.2%)

23,754

(1.5%)

不明

2,119

(△42.8%)

6,245

(1.5%)

経常利益率 2.15% 5.80% 8.70% 1.54% 2.95%
自己資本比率 39.5% 42.6%

不明

34.0% 35.4%

店舗数

(FCを除く)

353店 383店 21店 141店 198店

補足

西日本に強い 

業界2位(単独ベース)

全国区

業界3位(単独ベース)

駅前大型出店型 神奈川が地盤 関西が中心

※ ビックカメラは平成24年8月期予想数値(自己資本比率は24年8月期第3Q)

※ カッコ内は前期比増減率 

 

買収されたベスト電機とコジマの共通点は、売上規模が見劣りし経常利益・利益率が急速な悪化している点といえます。

これを他社に当てはめると現状では「ノジマ」が次に再編対象となる可能性が高いかもしれません。

エディオンも急速に業績が悪化していますが、売上規模では国内2位に位置しており買収される側になるのは考えにくいといえます。

 

また、家電量販店業界全体見てみると売上規模については、現在、ヤマダ連合が2兆円ビックカメラ連合が9000億円エディオン・ケーズHD・ヨドバシカメラの3社各社が7000億円と、規模がダントツのヤマダを除くとあとは同程度規模の量販店がかなり分散している業界構造が見えてきます。

 

経験則上競争の激しい市場は大手3社に収斂する場合が多いといわれますが、9社各社の合計売上高は6兆弱ですので、この法則が当てはまった場合、1グループ当たりの売上規模は2兆円程度になることが想定されます。

 

そのため、この法則に基づくと、ヤマダは今回の買収により2兆円規模に達しているため、首位ヤマダに対抗するために最終的にはそれ以外の大手のビックカメラ連合、エディオン、ケーズHD、ヨドバシカメラは2グループ程度に再編される可能性があるのではないかと考えることができますね。

 

特に、単独ベースで2位のエディオンは1位のヤマダ電機や3位のケーズHDと比較して、著しく業績の悪化がしているため、規模拡大による効率化に躍起になっているかもしれません。

 

また、ビックカメラとヨドバシカメラは同じ駅前大型出店型のため、統合メリットを考えると、両者が同じグループに再編されるとは考えにくいです。

 

ヤマダ電機は海外進出にも積極的ですし、また、PBのタブレット端末を発売するなど、今後は業界再編のみならず家電量販店のビジネスモデルの転換も進んでいくのかもしれません。

 

今回のPBのタブレット端末はインターネット通販の拡大目的のようですが、アパレルやスーパーなどの他の小売業の動向をみると低格競争の行きつくところはSPA型(製造小売り)やPB(プライベートブランド)競争の可能性もあるではないかと筆者は思っています(この場合、ヤマダ電機企画の格安家電などが想定されます)。

 

2012/06/07 ヤマダ、割安タブレットで誘導(AMAZON.COMの分析)

 

家電量販店の業界の行く末に注目です。

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