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IAS第38号「無形資産」(定義)

(平成22年12月31日現在)

3.無形資産の定義

無形資産(intangible asset)」とは、過去の事象の結果として企業が支配し、かつ、将来の経済的便益が当該企業に流入すると期待される資源である資産(asset)のうち、物理的実体のない識別可能な非貨幣性資産をいいます(IAS38.8)。

 

すなわち、無形資産の定義は主として下記3つの要件を満たすものとなります。

 

 @ 支配(control)

 A 将来の経済的便益(future economic benefits)

 B 識別可能性(identifiability)

 

具体的な例としては、コンピュータのソフトウェア、特許、著作権、映画フィルム、顧客名簿、モーゲージサービス権、漁業免許、輸入割当額(量)、独占販売権、顧客または仕入先との関係、顧客の忠実性、市場占有率および市場取引権などの、科学的または技術的知識、新工程または新システムの設計及び実施、免許、知的資産、市場知識および商標(ブランド名及び出版表題を含む)のような無形の資源が挙げられ、このうち識別可能性、資源に対する支配および将来の経済的便益の存在を満たすものが無形資産として本基準の適用範囲となります。

一方、上記要件を満たさない場合、それを取得するための支出や内部で創出するための支出は、その発生時点で費用として認識されることになります。ただし、当該項目を企業結合に伴い取得する場合には、関連支出は、取得日現在で認識されるのれんの一部を構成することになります。(IAS38.9,10)

 

 

<支配(control)>


企業は、対象となる資源から生じる将来の経済的便益を獲得する力を有し、かつそれらの便益を他社から利用することを制限できる場合に、資産を支配しているといえます。無形資産の場合、通常それから生じる将来の経済的便益を企業が支配できる能力は、通常、法廷において行使可能な法的権利に起因すると考えられます。しかし、他の方法で将来の経済的便益を支配できる可能性もあるため、必ずしも権利の法的強制力は支配のための必要条件にはなりません(IAS38.13)。

 

IAS第38号では、下記のとおり無形資産の具体的な例を挙げて、上記支配要件の充足の有無について述べています。

●市場の知識および技術的知識

市場の知識および技術的知識は、将来の経済的便益の源泉になることがありますが、例えば、それらの知識が著作権、取引制限契約のような法的権利により、または従業員の守秘義務により保護される場合、企業はそれらの便益を支配しているといえます(IAS38.14)。

 

●熟練した職員のチームや職員の技能向上のための訓練

熟練した職員のチームや職員の技能向上のための訓練から生じると期待される、将来の経済的便益に対する企業の支配力は、通常、無形資産の定義を満たすのには十分でないと考えられます。また、同様の理由から特殊な経営上または技術上の能力も無形資産の定義を満たすことは少ないと考えれます。ただし、その使用及びそれから予測される将来の経済的便益の入手が法的権利により保護されており、他の要件も満たしている場合は、無形資産の定義を充足しているといえます。(IAS38.15)

 

●顧客との関係や忠実性

顧客との関係を保全する法的権利や、顧客との関係や顧客の企業に対する忠実性を支配する他の方法がなければ、通常、企業は、顧客との関係や忠実性に対する将来の経済的便益に対する支配を有しているとはいえません。(IAS38.16)

 

 

<将来の経済的便益(future economic benefits)>


無形資産から生じる将来の経済的便益は、製品またはサービスの売上収益、費用削減または企業による資産の使用によってもたらされるその他の利益などが挙げられます(IAS38.17)。

 

 

<識別可能性(identifiability)>


次のいずれかの場合には識別可能である(identifiable)といえます(IAS38.12)。

 

分離可能である場合(すなわち、企業から分離または分割でき、かつ、企業にそうする意図があるかどうかに関係なく個別にまたは関連する契約や識別可能な資産・負債と一緒に、売却・譲渡・ライセンス・賃貸・交換ができる場合)
契約またはその他の法的権利から生じている場合(それらの権利が譲渡可能かどうか又は企業もしくは他の権利・義務から分離可能かどうかに関係なく)

 

無形資産の定義は、それをのれんと区別するため、無形資産が識別可能であることを要求しています。企業結合で認識されるのれんは、企業結合で取得した他の資産で個別に識別されず、独立して識別できない資産から生じる将来の経済的便益と表す資産であり、当該将来の経済的便益は、取得した識別可能な資産相互のシナジーもしくは個別には財務諸表での認識に適格でない資産から生じる可能性があるものです。(IAS38.11)

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