HOME > Biz Blog > 2013年12月号 > 2013/12/11 ネット販売 店舗を侵食 ヤマダ電機、安値の「正解」模索

2013/12/11 ネット販売 店舗を侵食 ヤマダ電機、安値の「正解」模索

今日は、先週の日経新聞のヤマダ電機の記事からです。

 

【記事要約】


・家電量販店のヤマダ電機が2013年4〜9月期に23億円の営業赤字(前年同期は213億の黒字)に転落

・家電販売市場の低迷、インターネット通販の台頭と業界を取り巻く環境は確かに厳しい。しかし、同業大手が黒字を確保するなか、最大手のヤマダはなぜ赤字に陥ったのか。原因は家電販売市場の将来を見据え、値付けの最適解を探った試行錯誤によるもの。

・今夏以降、家電量販大手の販売動向は上向きつつある。ただ、水準は低く、先行きの厳しさも変わりない。メーカーが新製品を大量投入し、多額の販促奨励金を付けて量販店に卸すという取引はなくなり、新製品を安く売って客を集める従来のビジネスモデルは崩れた

・消費者を量販店とネットが取り合う構図は鮮明になっている。ネット対策として、ヤマダは5月、価格比較サイトに自社のネット通販価格を公表。アマゾンジャパンなどのネット販売業者や同業大手のネット価格に対し常に最安値を掲げる方針を打ち出した。

・ヤマダは客が求めずとも最低価格にあわせるため、当初は利益を大きく削ることになった。 実店舗の値付けもネット価格に対応させるべく、値下げ幅やポイント付与の方法を決める権限を本部から店長に移した。ただし値引き交渉のノウハウを持たない現場は混乱し、想定以上の安値販売が相次いだ。 乱する現場にさらに地域別、商品別に細かく値下げ幅などを設定する仕組みも試験導入。ネットや競合店に負けないための様々な価格を試すなか、一時的には利益確保に目をつぶることもあったとみられる。

・一連の試行錯誤で4〜9月期は営業赤字に転落したヤマダだが、山田社長によると、「10月、11月と単月で黒字」だという。

・何が改善したのか。 ひとつはネットでも最安値にこだわる姿勢がメーカーへのけん制になったこと。一方、店長への値付けの権限委譲は撤回。代わりに全国を24地区に分け、地区ごとに置く担当者が競合店やネットの動向に、現場が吸い上げる消費者の反応を加味して値付けをする仕組みに替えている。 店頭ではここ数カ月間、台数限定の特売品の販売もやめた。集客のために赤字覚悟で売り出す特売品は、中小のネット業者が買い占めて転売、ネット上の価格全体を引き下げる一因となっていたからだ。

・決して安くはない授業料を払って、ネットからの侵食をひとまず食い止めた形のヤマダ。ただ店舗や販売員を持たず、コスト面で有利なネット専業大手は、量販店と同様の即日配送などで消費者の支持を得てさらに規模を拡大する。ヤマダの対応力が問われるのはこれからだ。

<日本経済新聞 2013年12月4日 朝刊2面より


 

家電量販店のビジネスモデルの転換については、一昨年取り上げました。

  

2011/12/02 縮む家電量販 収益モデルの転換急務

 

そこでは、ネット販売の拡大による店舗販売の縮小の懸念について取り上げましたが、今回の記事読むと想像以上のスピードでそのリスクが顕在化してきたようですね。

 

このような小売店の店頭で家電や衣料・雑貨などの実物を試してから、インターネットの通販サイトなどでより安い価格の商品を探して購入する消費者行動は、「ショールーミング」と言われていますが、スマートフォンの普及がその傾向に拍車をかけています。特にスマートフォンがいち早く広がった米国では2010年ごろから本格化し、大手小売店からネット通販に消費者が流れる大きな要因の1つとなったようです。(日本経済新聞 2013年12月8日 今日の言葉より)。

実際、業界最大手のヤマダ電機の業績推移をみると、今回記事でいうの一時的な勉強料を差し引いても、業績の縮小と悪化は一目瞭然ですね。

 

 

池袋駅東口にあった三越池袋店の閉鎖と、その跡地の2010年10月のヤマダ電機「日本総本店」の開業は、地盤沈下に苦しむ、かつての小売の王様である百貨店と対照的に家電量販店の全盛期を象徴する出来事でしたね。

この時期は、家電エコポイント制度や地上デジタル放送への移行に伴うテレビ特需もあり、百貨店跡地などに次々に出店し、小売業界で勝ち組だった家電量販店ですが、その後国内のテレビメーカーの不振や特需の終息で業績が急速に悪化していきます。

これをトリガーとしてヤマダ電機のベスト電器、ビックカメラのコジマ買収など業界再編が起きましたが、ここへきてネット販売の存在感が急速に高まり、業界不振の波は業界再編だけでは解決できなそうにありません。

 

ネットとの対抗措置のとりつつ、ヤマダ電機は、低価格オリジナルタブレットを販売したり、来春から低価格の住宅を販売する(12月6日付日本経済新聞(朝刊))という動きもあり、試行錯誤は続いています。

なお、ショールーミングによる店舗販売の侵食は、家電量販店に留まりません。小売業界全体を揺るがす地殻変動のようです。

この点、先日の日経でも興味深い記事がありました。

 

【記事要約】


・買い物をする場が実店舗からインターネット上に広く移りつつある。

・書籍と家電製品は2013年度に販売総額に占めるネット経由の割合が1割を超える見通し。いつでもどこでも買えるスマートフォンの普及がネット販売を押し上げているためだ。その結果、音楽ソフト、旅行、書店などの閉店が相次ぐ

・ネット販売比率が市場全体の1割を占めると実店舗の淘汰が進む傾向がみられる。例えば06年に達した音楽ソフト。日本レコード商業組合は08年までの3年で加盟店が3割減った。ネット比率が2割の旅行販売では、最大手のJTBが3年で100店以上閉めた。 書店も閉店数が拡大している。民間調査では全国の書店数は5月時点で1万4241店。1年で455店減り、閉鎖数はその前の1年の2割増しだ。 ネット上では中古市場が広がり、古書店も減る。最大手のブックオフコーポレーションは15年春までに過去最大の約20店を閉める。

・ネット消費はさらに広がる。スマホは携帯電話の保有者全体に占める割合が17年度末には7割(現在は4割)に高まる見通し。野村総合研究所は18年度にネット消費額(コンテンツ含む)が22兆円と13年度比8割増えると予測している。

<日本経済新聞12月8日(日)朝刊>


また、ネットによる実店舗の駆逐は、日本だけでないようです。

 

「欧州で存在感を増す米アマゾン・ドット・コムが、各地で労働組合や既存書店の反発に遭っている。クリスマス商戦を控えたドイツでは労組が賃上げを求めストライキを実施。フランス下院ではオンライン書店の無料配送を禁じる法案が可決された。欧州でも消費者の支持で伸びてきたアマゾンだが、成長ゆえの反発に直面している。(日本経済新聞12月10日(朝刊)一部抜粋)」など世界のビジネスモデルに影響を与えていることがわかります。

 

ネット販売の攻勢の一方、最近では、O2O(Online to Offline)などの言葉があるように、ネット(オンライン)と実店舗などのオフラインとを連携させるマーケティングも注目を浴びています。

 

セブン&アイが、ネット強化に本格的に乗り出すなど、スマートフォンの普及で小売業界の取り巻く環境は激変しています。

 

2013/12/04 カタログ通販のニッセン、セブン&アイが買収

 

業界変動により、今後どんなサービス、どんなアイデアが出てくるのか楽しみです。

前へ  次へ

このページの先頭へ戻る