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2013/04/24 川崎重工業・三井造船 統合交渉

今日は、川崎重工業と三井造船が経営統合か?というニュースからです。

 

【一部抜粋】


・川崎重工業と三井造船が経営統合に向けた交渉に入ることが21日、明らかになった。実現すれば、単純合算で連結売上高が2兆円規模と同分野で三菱重工業に次ぐ巨大企業が誕生する。造船・重機では1960年の合併で石川島播磨重工業(現IHI)が発足して以来、ほぼ半世紀ぶりの大型再編となる。造船やプラントなど幅広い分野で技術を結集し、世界競争を勝ち抜く狙いだ。

・日本の造船・重機業界は大手6社体制が長く続いてきた。極端な円高が修正され、企業の景況感が改善、攻めの経営戦略を打ち出す土壌が整いつつある。名門企業の再編の動きは国内の産業界で競争力向上を目指す合従連衡を加速させそうだ。

・統合により、世界的な需要拡大が見込めるエネルギー関連のプラント事業などで攻勢をかけられる。三井造船は油田・ガス田などの洋上開発に強みを持ち、川重は海外での事業展開で実績がある。洋上開発設備の世界市場は年6兆円規模。20年には11兆円弱に膨らむとの試算もある。

・造船事業では規模の拡大で調達費を抑制する一方、低燃費の次世代船などの開発力を強化できる。両社の造船部門の売上高を単純合算すれば4000億円弱。国内では最大手の今治造船や、同2位でIHI子会社などが合併して誕生したジャパンマリンユナイテッドと並ぶ事業規模となる。

・世界市場(建造量ベース)では韓国と中国の大手が強く、川重と三井造船合計でも3%弱のシェアとされる。三井造船は13年3月期の連結最終損益が11年ぶりに赤字となったもよう。14年以降には国内造船所の稼働率が一段と低下する見通し

・造船・重機の大手6社は1950年代から造船会社として成長し総合重機メーカーとなった。各社ともに独立意識が強く、これまで大型再編がほとんど起きなかった。

(2013年4月17日付の日本経済新聞朝刊13面より)


 

重機産業については、以前に三菱重工業について取り上げました。

三菱重工業は、電力関連などのエネルギー関連の重機に強く、また、国産大型ロケット「H2A」や国内旅客機「MRJ」などの航空・宇宙産業についても力を入れていく近年の動きについて取り上げました。

 

特に最近では、日経一面で、日立との経営統合に向けた動き?の報道がなされたのは記憶に新しいですね。ただ、あくまで報道止まりでその後動きはありません。

 

2012/12/05 三菱重工業・日立製作所 電力新会社 発表

2012/05/25 国産旅客機MRJ 15年就航へ背水

2012/05/17 H2A 海外衛星初搭載 宇宙ビジネスの勝算は 

 

川崎重工業と三井造船は、ビズブロでも初めて取り上げる企業のため、まずは業績を簡単に見てみます。

 

 

 

【セグメント内容】

船舶海洋事業

船舶等の製造・販売

車両事業

鉄道車両、除雪機械等の製造・販売

航空宇宙事業

航空機等の製造・販売

ガスタービン・機械事業

ジェットエンジン、産業用ガスタービン、原動機等の製造・販売

プラント・環境事業

 

産業機械、ボイラ、環境装置、鋼構造物、破砕機等の製造・販売

モーターサイクル

&エンジン事業

 

二輪車、四輪バギー社(ATV)、多用途四輪車、パーソナルウォータークラフト(「ジェットスキー」)、汎用ガソリンエンジン等の製造・販売

精密機械事業

 

油圧機器、産業用ロボット等の製造・販売

 

川崎重工業は、三菱重工業に次ぐ、IHIと並ぶ総合重機メーカーですので、かなり多角化しています。

強みは、新興国で急成長している油圧機器などの精密機械事業と、プラント関連の重機、鉄道車両、中型のガスタービン事業といったところでしょうか。一方、重機メーカーの原点とも言える船舶事業は、低調ですね。

一方、三井造船はどうかというと、利益の半分を造船が、もう半分を船用エンジンで稼ぐ、かなり船舶関連の依存が高い事業ポートフォリオを言えます。

 

 

【セグメント内容】

船舶

ばら積み貨物運搬船、鉱石運搬船、原油輸送船、石油製品輸送船、LNG運搬船、LPG運搬船、冷凍運搬船、コンテナ船、自動車運搬船、貨物船、艦艇、巡視船、調査船、練習船、漁業取締船、各種漁船、各種作業船、客船、高速旅客船、水中展望船、石油掘削装置、石油生産プラットフォーム、浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備、防衛関連機器・施設、艦船搭載システム、水中無人探査機、水中テレビロボット

鉄構建設

橋梁、貯槽・特殊構造物、非居住鉄骨建築物、浮体構造物、浮桟橋、浮消波堤、沿岸施設、土木・建築工事、コンテナクレーン、産業用クレーン、コンテナターミナルマネージメントシステム

機械

舶用・陸用ディーゼル機関、舶用機器、舶用・産業用ボイラ、ガスタービン、ガスエンジン、蒸気タービン、送風機、圧縮機、コージェネレーション設備、プロセス機器、パワーシステム、誘導加熱装置、制御システム、半導体関連部材、液晶関連装置

プラント

石油化学プラント、石油精製プラント、無機化学・肥料プラント、エンプラ・ファインプラント、ごみ処理プラント、水処理プラント、排ガス処理プラント、資源リサイクルプラント

 

 

もともと日本の重機業界は、造船業で培った技術を生かし多角化してきた経緯あります。

三菱重工業や川崎重工業、IHIなどは造船業で培った技術を生かし多角化して今日の総合重機メーカーとなっています。一方、三井造船は、この造船専用といえる戦略を選んだといえ、今回の統合は、造船業界が直面する「2014年以降問題」が大きく影響しているといえます。

 

造船業界の2014円以降問題とは、リーマンショック前に発注された大量の新船がこの2〜3年で続々と竣工した結果、世界的な船舶過剰状態になったため新規受注が急減し、これに中国・韓国との競争激化も相まって、このまま新規受注が乏しいと受注残高が底を付き、2014年以降は造船会社で仕事がなくなる可能性がある業界問題をいいます。

 

<参考:東洋経済オンライン>

http://toyokeizai.net/articles/-/11972?page=2

 

実際、三井造船の船舶事業の新規受注高と受注残高の推移を見てみると、受注残高が減少し、2014年以降問題の深刻さが読み取れます。

 

この2014年以降問題に対し、昨日23日の日経でも、『日本の造船大手が勝ち残るには、世界的に導入が予定される船舶の燃費規制を追い風に「エコシップ」などの高付加価値船を強化すると同時に、技術力を生かして成長分野を開拓するしかない。』と述べられていますが、今後の生き残りをかけるためには、経営統合によるスケールメリットのみならず、統合による技術のシナジー効果をどれだけ発揮できるかにかかっていると思われます。

 

船舶業界は、他にも国内最大手の今治造船や広島のルネイシホールディングスがあります。両者とも非上場会社ですが、今後2014年以降問題により、日本の重工業の原点である造船業を軸として、重工業業界で再編がおこる可能性がありますね。

今後の造船業界に注目です。

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