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2012/10/10 格安便、日航と共同運航 国内LCC利便性を競う

今日は、本日の日経朝刊11面の日航の記事からです。

 

【記事要約】 


・今年7月に国内線を就航した格安航空会社(LCC)のジェット・スタージャパンは大株主である日本航空との共同運航に乗り出す

・ジェットスターには日航の販路を使った集客強化、日航には成田空港を拠点とするジェットスター便との連携で顧客の国際線乗り換えの利便性を高められる利点がある。

・日航や全日空はこれまで料金やサービスの違いから原則LCCとすみ分ける姿勢をとってきた。今回の共同運航は双方に効果が期待できる部分については手を結ぶ新たな協力モデルになる

・豪カンタス航空傘下のLCC、ジェットスターグループのCEOは1つの路線の航空券を両者で販売する共同運航のメリットについて、「LCCにとっては新しく、強固な販売網が活用できる」と強調。例えば、ジェットスタージャパンの9月の搭乗率は76.7%と座席には余裕がある。豊富な日本人顧客を持つ日航の販売ルートを利用し、搭乗率を引き上げにつなげる狙いがある。また、ジェットスタージャパンは成田を主力拠点としており、日航の国際線の顧客が成田で乗り換え、共同運航便を利用するケースが想定される。

今年発足した国内格安航空会社(LCC)3社の競争が、近距離国際線への路線拡充やハブ拠点を増やすなど「安さ」以外の利便性の面にも広がってきた。エアアジア・ジャパンは10日、成田−仁川・釜山線を発表予定。ピーチ・アビエーションは、関空−台北線が就航する。ジェットスター・ジャパンも年内に国際線の参入路線を固め追随する構え。成田空港を拠点に事業をスタートしたエアアジア・ジャパンは中部国際空港に、関空を拠点にするピーチは沖縄にもハブ拠点を置くことで利用者の囲い込みを急ぐ。 

(日本経済新聞2012年10月10日11面) 


 

ビズブロでも頻繁に取り上げているLCC市場の動向ですが、日本航空が共同運航に乗り出すという記事でした。

航空業界といえば、「日本航空再上場」「格安航空会社(LCC)元年」という大きなイベントが今年ありましたね。

 

そこで、本日は過去のビズブロを踏まえ、2大イベントを簡単に整理してみます。

■ 日本航空再上場

 

日航の再上場ですが、初値は公開価格を0.52%上回る3,810円というまずまずのスタートでした。また、初値の時価総額は約6900億円と株式市場ではフェイスブックに次ぐ今年2番目の大型上場となったようです。

なお、詳細な日航のIPOステータスは、下記の当社のIPOデータベースの内容をご覧下さい。

 

日本航空株式会社 IPOステータス

 

まずは、日航が破綻時と比較してどれだけ収益力・財務力が改善されたのか、日本航空の破綻前の平成21年3月期の財務情報と再上場直前の平成24年3月期の財務情報を簡単に比較すると以下のとおりです。

参考まで全日空の状況を記載しておきます。 

 

@ 全体比較 

日本航空

JAL

全日本空輸

ANA

会計期間(通期) 2009.3(破綻前)

2012.3(再上場直前)

2012.3 

営業収入

1,951,158百万円

1,204,813 百万円

1,411,504百万円

営業利益

△50,884百万円

204,922 百万円

97,022百万円 

営業利益率

17.00%

6.87%

当期利益

△63,194百万円

186,616 百万円

28,178百万円

資産総額

1,750,679百万円

1,087,627 百万円

2,002,570百万円

有利子負債

801,529百万円

208,400 百万円

963,657百万円

自己資本

 174,656百万円

388,524 百万円

549,014百万円

D/E

(デット・エクイティ・レシオ)

4.58 

0.53

1.75

営業活動によるCF

31,755百万円

256,673 百万円

214,406百万円

現金および現金同等物

 161,751百万円

158,995 百万円

265,834百万円

減価償却費

118,043百万円

81,222 百万円

119,268百万円

支払利息

17,536百万円

10,900 百万円

19,578百万円

その他

総資産のうち航空機: 723,590百万円

連結子会社:120社

使用航空機(リースを含む):279機 

総資産のうち航空機:369,502百万円

連結子会社:60社

使用航空機(リースを含む):215機 

総資産のうち航空機:751,108百万円

連結子会社:62社

使用航空機(リースを含む):226機 

※ 自己資本は株主資本+評価換算差額等をベースに算出

A セグメント別収益比較

 

<国際旅客収入>

日本航空

JAL

全日本空輸

ANA

会計期間(通期)

2009.3(破綻前)

2012.3(再上場直前)

2012.3  

旅客収入(百万円)

703,522

385,289

320,066

有償旅客数(人)

11,704,043

6,844,772

 5,883,224

有償旅客キロ(千人・キロ)

52,186,351

30,313,789

 25,351,766

有償座席キロ(千席・キロ)

79,576,012

43,036,984

34,406,341

有償座席利用率(%) 65.6 70.4 73.7

 

<国内旅客収入>

日本航空

JAL

全日本空輸

ANA

会計期間(通期)

2009.3(破綻前)

2012.3(再上場直前)

2012.3  

旅客収入(百万円)

666,547

481,111

651,556

有償旅客数(人)

41,154,433

28,965,514

39,020,283

有償旅客キロ(千人・キロ)

31,300,401

22,264,394

34,589,837

有償座席キロ(千席・キロ)

49,167,920

35,523,214

56,756,415

有償座席利用率(%) 63.7 62.7 60.9

 

【用語説明】

旅客キロ (Revenue Passenger-Kilometers)

: 各有償旅客が搭乗し、飛行した距離の 合計。有償旅客数×輸送距離(キロ)。

 

座席キロ (Available Seat-Kilometers)

:航空業界において旅客輸送容量を示す。 総座席数×輸送距離(キロ)。

 

座席利用率(Load Factor)

:総座席数に対し有償旅客の搭乗度合を 示した数値で、座席の販売状況を計る 指標。旅客キロ÷座席キロ。無償旅客 数を含めない点で搭乗率とは異なる。

 

 

日航の規模の縮小アセット・固定費の圧縮と、採算主義の徹底ぶりがよくわかります。 

特に、国際旅客線の収入や客数の減少規模を見ると国際線の不採算路線の整理の規模の大きさには凄まじいものがあります。

 

ちなみに上記の全日空のD/Eは、公募増資前ですので、公募増資によりさらに改善されていると思います。

■ 2012/07/04 全日空、2100億円の公募増資 アジアの空 攻防激しく

 

足元では業績回復が鮮明なJALですが、燃料費の高騰やLCCの台頭など課題は山積みです。

特に日本ではLCC元年とういうべき段階ですので、今後国内航空大手2社のLCC戦略の差がどう業績に影響していくるのか未知数です。

相次ぐリストラにより一時的な高収益体質へ脱皮したもの、今後、高収益モデルとできるのか、世界的に存在感を増すLCCとどう住み分けしていくのか、もしくはその成長どう取り込むのか、まだまだ課題は山積しています。

 

それでは、今後の収益力の行方に大きく影響を及ぼしそうなLCC市場について簡単に整理してみます。 

■ 格安航空会社(LCC)

 

国内LCC3社のステータスを整理します。

 

<本日の日経記事をベースに一部筆者が加工>

ジェットスター・ジャパン ピーチ・アビエーション エアアジア・ジャパン
主な株主

豪カンタス航空グループ:33.3%

日本航空:33.3%

三菱商事:16.7%

東京センチュリーリース:16.7%

全日空:38.67%

産業革新機構:28%

First Eastern Aviation Holdings Limited (香港投資会社):33.3%

全日空:67%

エアアジア(マレーシア):33.3%

運航開始時期 2012年7月 2012年3月 2012年8月
拠点航空 成田、関西空港 関西空港 成田空港
主な路線

関空−沖縄

関空−札幌

関空−札幌

関空−香港

成田−札幌

成田−福岡

今後の計画 来月初めにも国際線 今月16日台北線、沖縄にもハブ拠点 仁川・釜山線を就航予定、中部国際空港に拠点

 

 

全日空は、ピーチ・アビエーションに3分の1強投資し、さらにエアアジアジャパンには、過半数超を出資し、経営の主導権は全日空が握ります。 

一方、日本航空は、ジェットスタージャパンに出資しているものの、経営の主導権はカンタスグループが握ります

 

LCCの成長を経営権を握ることにより直に取り込む全日空と、LCCとはあくまで一線を画す日航の戦略の違いが読み取れます。

以前のビズブロでも、日航がLCC市場の成長をどう取り込むのか注目であると触れましたが、今日の日経の記事で、少し明らかにになりました。日航は共同運航による利便性向上など、既存ラインとのシナジー効果を生むことによりLCC市場の成長を取り込もうとしている戦略が読み取れます。

 

国内LCCの競争が、近距離国際線への拡充やハブ拠点を増やすなど、今後は安さ以外の利便性の面にも広がってきたと日経も指摘しています。

 

LCCへの経営への関与で直に成長を取り込むのANAと、既存サービスとのシナジーを発揮することにより成長を取り込むJAL...今後LCC元年を乗り越え、さらに競争が激しくなる航空業界に注目ですね。

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