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2012/05/21 キヤノン 針路を探る

今日は、5月17日〜19日で連載された日経特集記事「キャノン 針路を探る」からです。

 

【記事要約】


・キヤノンが新たな成長へ模索を始めた。

・2012年12月期は売上高、純利益とも2桁増を見込む。円高や欧州景気の低迷にもかかわらずキヤノンが高収益を維持しているのは、ロボットによる自動化工場による。そして、今後は日本で自動化の最終形態ともいえる完全無人化に挑む。場所はデジカメの国内主力拠点である大分キヤノンと交換レンズを生産する宇都宮事務所。一部の機種を対象に梱包に至るまでの組み立て作業を無人化する計画だ。レンズは早ければ13年に、デジカメは15年が目標で、ロボットの改良などに着手する。軌道に乗れば世界各地の工場へ広げている方針だ。

・だだし、既存の事業でも韓国サムスン電子が攻勢をかける。ここ数年、サムスンが日本の電機が収益源としてきたカメラと事務機市場へ攻め込んできた。サムスンのデジカメの世界シェアは11%で4位、首位のキヤノンの半分だか、5月から小型で人気のデジタル一眼カメラ「ミラーレス」3機種を世界各地で発売。事務機でも新興国で低価格のA4判複合機の販売を伸ばす。そうした状況の中、御手洗会長兼CEOは社長を兼務する。

・2015年の売上高は5兆円、純利益は10%以上を目標に再び挑む。かつて2010年での達成を狙っていた数字である。2007年12月期に売上高は4兆4813億円、純利益率は11%と手が届きかけたが、2008年のリーマンショックで状況は一変。5兆年を見込みには第三の収益源の育成が避けられない。しかし、カメラ・事務機に次ぐ事業は育ってない

・京都大学との産学連携の一環で「先端医療機器開発・臨床研究センター 」を昨春開設。得意とする画像技術を医療診断に応用するなどして新たな医療機器を開発するため。総工費11億円7千万円のうち、5億円をキヤノンが寄付している。御手洗会長兼社長は医療事業をキヤノンの第三の柱の候補として位置付ける


 

日本の製造業が苦戦している中、営業利益率10%超という高い収益力をもつキヤノン。しかし、テレビ事業で巨額の赤字を計上したパナソニックやソニーを横目に危機感もあるようですね。

 

キヤノンといえば、カメラ事業とプリンタなどの事務機器に圧倒的な強さを誇ります。

 

キヤノン_年度財務情報.pdf(当社財務データベースより)

 

しかし、この既存の2事業にも環境の変化が起きているようです。過去のBizBlogとともに簡単に変化について見てます。

 

<カメラ事業について>

デジタル一眼カメラの分野で小型軽量な「ミラーレス」が登場、この影響でコンパクトデジタルカメラの価格が急落しています。コンパクトデジタルカメラがメインの富士フィルムなどでは赤字状態のようです。

キヤノンは一眼レフカメラに強いため、高い利益率を維持できていますが、今後はミラーレス一眼カメラが一眼レフカメラ市場へどの程度食い込むのか注目のところです。

また、デジタルカメラ市場では、サムソン電子が世界シェアで4位と徐々に市場シェアを拡大しています。とくにミラーレス一眼を独自開発するなど、今後の新規・成長分野であるミラーレス一眼カメラの分野に力を入れ、日本企業の牙城に挑戦していくようで、日本のテレビ事業と同じ轍を踏まないよう舵をきらなければなりません

 

2011/12/05 年末商戦、デジタル一眼など品切れ拡大 タイ洪水で

 

 

<事務機器について>

また、事務機器の分野では世界的な景気悪化により、 事務機器の専業に近いリコーなどでは最終赤字に転落しています。しかも、本日取り上げた記事によるとここでもサムスンの攻勢が強いようですね。

 

2012/02/01 リコー、初の最終赤字

 

特にリコーでは、売上高の実に70%以上をプリンタなどの画像ソリューション事業が占めており、新たな収益源の確保ができていなかった点が大きいように思います。

 

 

キヤノンも11年12月期の売上高のうち、事務機などオフィス向けが54%、カメラなど消費者向けが37%の2大事業が合計91%という高さ。記事でも指摘しているように第三の収益の柱の確立が急務のようです。

 

<キヤノン(2011年12月期)>

セグメント情報

オフィス

コンシューマ

産業機器その他※

調整 連結合計 
売上高(セグメント間取引を含む)  1,917,943 1,312,044 420,863 △93,417  3,557,433
営業利益 259,265 211,294 24,300 △116,788 378,071
営業利益率 13.51 16.10 5.22 10.62

 

※産業機器その他:

半導体露光装置、液晶露光装置、医療画像記録機器、眼科機器、磁器ヘッド、マイクロモーター、コンピューター、ハンディターミナル、ドキュメントスキャナー

 

その有力候補の一つの分野が「医療」ということです。これも以前のBizBlogでもふれています。

 

2012/03/16 キヤノン、業務用機器に中核技術応用

 

ただし、上記のとおりセグメント状況を見ると第三の収益の柱の育成はまだまだのようです。 

 

 

医療系のイメージング技術に強いメーカといえば富士フィルムとオリンパスでしょうか。

 

医療機器関連の属するセグメント情報は以下のとおり。 利益率の高さが目立ちますね。

 

<富士フィルム(2012年3月期)> 

セグメント情報

イメージング

ソリューション

インフォメーションソリューション※

ドキュメント

ソリューション

調整 連結合計 
売上高(セグメント間取引を含む)  323,456 889,642 995,073 △12,878  2,195,293
営業利益 △3,981  67,446 81,814 △32,331 112,948
営業利益率 7.58  8.22  −  5.14

 

※ インフォメーションソリューション:

メディカルシステム・ライフサイエンス機材、医薬品、グラフィックシステム機材、フラットパネルディスプレイ材料、記録メディア、光学デバイス、電子材料

 

<オリンパス(2012年3月期)> 

セグメント情報

医療

ライフ・産業

映像

情報通信

その他

調整 連結合計 

売上高(セグメント間取引を含む) 

349,404 92,448 128,645 229,399 49,052 △400 

848,548

営業利益 68,188 5,439 △10,760 5,277 △7,992 △24,634 35,518
営業利益率 19.5 5.88 8.22 4.18

 

※ 医療:

医療用内視鏡、外科内視鏡、内視鏡処置具等の製造販売

 

 

同記事によると

医療費の削減を迫られる先進国では医療行為の効率化が課題。キヤノンが持つイメージング(画像・映像)の技術を生かす機会はますます増えるとみる。キヤノンは10年にポーランドの眼科診断機器ベンチャーを11年には国内販売統括会社のキヤノンマーケティングジャパンが医療機器商社のエルクコーポレーションを買収。だが医療分野への進出では、富士フィルムHDが先行。2000年以降、医療関連のM&Aに3000億円超の資金を投じてきた。同分野の12年3月期の売上高は2920億円とキヤノンの10倍近い。

 

 

既存事業のサムスン攻勢の中、 既存事業を守りつつ、さらなる収益源を育て挙げられるのか、日本の電機産業の代表であるキヤノンの今後の展開に注目です。

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