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2012/01/25 凸版印刷、海外売上高3割に

今日は、2012年1月25日付の日本経済新聞の”凸版印刷”の記事についてです。

 

【記事の要約】


・凸版印刷は海外売上高比率を2016年3月期に2011年3月期比16%増の30%に引き上げる。新興国向けを中心に、食品・医薬品向けパッケージの需要と取り込む。出版や広告印刷の不振を高機能パッケージなどで補い、成長につなげる方針。急成長する市場を取り込むため、国内外の企業との業務・資本提携も視野に入れる。

・2011年12月にアルミはく並みの高機能で密閉性を持つ新型の透明蒸着フィルムを発売。これを使った高機能パッケージを中国などのアジア地域や北米に売り込む。

・2012年3月期の連結営業利益を9%減の410億円と見込む。企業の広告宣伝費抑制を受け、広告印刷が振るわない。加えて、大型液晶テレビの在庫調整を受け、液晶用カラーフィルターの不振が利益を圧迫する。

・パッケージ分野以外にも太陽電池などのクリーンエネルギーなど新しい中核事業の育成に経営資源を投じることで収益の底上げを目指す


 

ペーパレス化や企業の広告費削減の流れの中、液晶テレビに使用する液晶フィルターなどのエレクトロニクス部材に収益源を求めてきた印刷大手

今度はテレビ不況などによりエレクトロニクス事業が不振となったため、次の成長分野の育成や海外展開を求める動きがあるようです。

 

まずは、印刷大手2社の凸版印刷と大日本印刷のビジネス構造を俯瞰してみます。

凸版印刷 大日本印刷

直近売上高(百万円)

1,556,457

1,589,373
直近営業利益(百万円) 45,008 67,818
直近営業利益率(%) 2.89 4.27
個社年度財務情報(当社財務DBより)

凸版印刷(年度).pdf

大日本印刷(年度).pdf 

個社四半期財務情報(当社財務DBより)

 凸版印刷(四半期).pdf

大日本印刷(四半期).pdf

比較年度財務情報(当社財務DBより)

印刷大手2社比較(年度).pdf

比較四半期財務情報(当社財務DBより)

印刷大手2社比較(四半期).pdf

セグメント情報 下記参照 下記参照
海外売上高等 下記参照 下記参照

(有価証券報告書、各社HP等より作成)

 ■ 凸版印刷

 

報告セグメント セグメント内容
情報・ネットワーク系事業 証券類全般、通帳、カード類、ビジネスフォーム、カタ ログ等広告宣伝印刷物、雑誌・書籍等出版印刷物 
生活環境系事業 軟包材、紙器等パッケージ類、太陽電池関連部材、化粧 シート・壁紙等建装材、インキ等の産業資材
エレクトロニクス系事業 フォトマスク、リードフレーム、液晶カラーフィルタ、反射防止フィルム、プリント配線板等の精密電子部品  

 

※「調整額」は、本社部門及び当基礎研究部門等にかかる費用などから構成される。

 

■ 大日本印刷

本邦に所在している有形固定資産の金額が、連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えているため、記載を省略している

 

報告セグメント セグメント内容
情報コミュニケーション部門 出版・商業印刷物及びビジネスフォーム類の製造・販売、教育・出版流通事業等を行っている 
生活・産業部門 包装資材、建築内外装資材、写真用資材、産業資材等の製造・販売を行っている
エレクトロニクス部門

電子精密部品等の製造・販売を行っている  

清涼飲料部門

炭酸飲料及び非炭酸飲料の製造・販売を行っている

 

印刷会社というと出版や広告などの印刷物のビジネスのイメージが強いですが、産業資材やエレクトロニクス部材など印刷物以外のセグメントの比重も相当大きいですね。ただし、今回の記事のとおり、連結売上高の実に9割近くを日本で稼いでおり、まだまだ内需産業のようです。

 

(なお、凸版印刷の資材、エレクトロニクス部材等のURLを参考までに以下添付しておきます)

建装材:http://www.toppan-cosmo.jp/

ディスプレイ関連(液晶用カラーフィルタ):http://electronics.toppan.co.jp/cf/index.html

半導体関連(半導体用フォトマスク):http://electronics.toppan.co.jp/pm/

 

また、売上規模やセグメント構成など似ている2社ですが、営業利益率では大日本印刷が凸版印刷の1.5倍と差がありますが、大日本印刷の「生活・産業部門」の利益率の高さが大きく貢献しているようです。

最後に本日の記事に登場した凸版印刷の業績についてもう少し細かく見てみます。

 

薄型テレビ、パソコンなどの販売が旺盛だったと思われる2005年、2006年はエレクトロニクス部門でかなりの利益を稼いでいた一方、リーマンショックや薄型テレビ、パソコン不況により、稼ぎ頭であったエレクトロニクス部門はここ3年程度で急速に悪化しています

 

こうした稼ぎ頭だったエレクトロニクス事業の鈍化、印刷事業のじり貧の中、今回の記事より、印刷大手の次の動きは以下の2点であると読みとることができます。

 

@ 新たな成長分野の育成

A 既存事業のマーケット自体を大きくする

 

@に関して、今回の記事でいうと新型の透明蒸着フィルム使った高機能パッケージの販売や、太陽電池やリチウムイオン電池関連の部材へのシフトの動きですね。

 

Aに関しては、新興市場など海外進出ですね。内需産業からの脱却です。

 

今回の記事のはこうした生き残りをかけた印刷業界の動きを如実に表していると言えるでしょう。

 

印刷大手2社の記事を書きながら、「モノの輸出入などを仲介するビジネスモデルから、資源やインフラその他幅広い分野での事業投資で稼ぐビジネスモデルへの転換に成功し、そして今度は資源メジャー化への向かう日本の総合商社」を思い出しました。

2012/01/10 三菱商事 資源メジャーに挑む を参照)

 

今後の印刷大手2社の生き残りをかけた部材へシフト、海外へシフトする動きに今後も注目していきたいと思います。

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