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2011/10/21 大王製紙 巨額借入問題 前会長立件へ


大王製紙の井川意高(もとたか)前会長(47)が同社の了解を得ずに、子会社から100億円を超える借り入れをしていた問題で、大王製紙の6月30日の取締役会で、前会長への約23億5000万円の貸付金が記載された3月期の有価証券報告書が示されたにもかかわらず、この貸し付けについては説明がなかったことが、同社関係者の話で分かった。

前会長はその後も子会社から多額の借り入れを繰り返しており、融資が膨らむ結果につながったという。関係者によると、同報告書には、子会社2社から前会長への「短期貸付金」として計23億5000万円が記載されていたが、報告書に関する説明はごく短時間で終了し、貸付金については触れられなかった。取締役会の議長は前会長が務め、報告書は同日中に関東財務局に提出されたという。

報告書には、前会長の父親の高雄氏(74)が代表取締役を務める関連会社への約22億円の貸付金も記載されていたが、実際には、関連会社を迂回(うかい)して前会長に貸し付けられていたという。  

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111019-OYT1T00086.htm )

 

東京地検特捜部は16日、会社側に不当な損害を与えたとして会社法違反(特別背任)の疑いで、井川前会長の立件を視野に捜査に乗り出す方針を固めた。近く子会社関係者らの一斉聴取を始める。創業者一族による巨額借り入れ問題が、刑事事件に進展する可能性が高まった。

(産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111017/crm11101707490002-n1.htm


 

上記報道の平成23年3月期の有価証券報告書の関連当事者と取引欄を抜粋してみました。  

父親の高雄氏代表を務める関連会社とはエリエール商工のことでしょうか。

 

 

このような取引の開示は、関連当事者と会社間の取引は、不透明な取引・対等な立場でない取引となりがちで、会社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすことがあるため開示されるものです。「企業会計基準第11号 関連当事者の開示に関する会計基準(企業会計基準委員会)」では、「会社と関連当事者との取引は、会社と役員等の個人との取引を含め、対等な立場で行われているとは限らず、会社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすことがある。関連当事者の開示は、会社と関連当事者との取引や関連当事者の存在が財務諸表に与えている影響を財務諸表利用者が把握てきるように、適切な情報を提供するものでなければならない。」と明記されています。

 

そして、同基準で「関連当事者の開示は財務諸表の注記情報であることから、コーポレート・ガバナンスに関する側面は、副次的な位置付けとしている」とあるように、会社の全社統制やコーポレート・ガバナンスが有効に機能していれば、当該開示された取引に疑念を抱く役員等幹部からの内部牽制が期待されますので、大王製紙では従来から創業家の会社私物化に対して全社統制やコーポレート・ガバナンスが正常に機能していなかったことが容易に想像できます。

 

さらに、関連当事者との取引の開示は財務諸表の注記事項であるため、その開示は当然監査法人の会計監査の対象にもなります。 通常、会計監査においては関連当事者との取引は、上記基準が指摘するように「対等な立場で行われているとは限らず、会社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす」リスクが高いため(対個人取引であれば尚更)、契約書の有無などの形式的な証跡のみならず、その取引目的や企業のガバナンスや内部統制上のプロセスを踏まえた経済合理性まで監査人は詰めるのが通常だと思いますので、会計監査は不正調査目的ではないため限界があるにせよ監査上どのような手続や判断が行われたのかも気になるところです。 

 

そんな大王製紙の直近の財務情報とパルプ・紙業界主要5社の直近比較情報を見てみます。下記PDFをご覧下さい。

 

大王製紙_個社財務情報.pdf

パルプ・紙_比較財務情報.pdf

 

業界4位の大王製紙は完全な”じり貧”です。 ペーパレス・電子化の流れによる商業印刷養子を中心とした需要の低迷、輸入紙の増加など厳しい環境によるものだと推測されます。 しかも、利益率や自己資本比率など業界内比較を見てみても苦戦状態です。

 

大王製紙といえば信頼の「エリエール」ブランドがあります。最近は、除菌ウェットティシュータイプのエリエールや贅沢保湿タイプのエリエールなど消費者の嗜好に合わせた高付加価値タイプの商品を投入しています。

 

花粉症の時期に鼻が荒れにくいと筆者の妻が購入してくる我が家のティシューのお決まりはエリエールです。 

エリエールのファンの一人として今後の企業改革に期待したいと思います。

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