HOME > ナレッジ情報 > ファンド・SPC > 特定目的会社(総論、法務)

特定目的会社(総論、法務)

1.特定目的会社(総論)

 特定目的会社(以下、「TMK」といいます。)は、「資産の流動化に関する法律」(以下、「資産流動化法」といいます。)に基づいて設立される会社です。「会社」とあるように、TMKは組合型ファンドと異なりファンド自体が法人格を有し、それが権利・義務の主体となります。TMKは、特定の資産の取得とその資産からもたらされるキャッシュを投資家に分配することを予め計画して設立される、まさに「流動化」を目的とした会社です。

 TMKの設立自体は、一般の会社と同様の準則主義が採用されているため煩雑さはありません。しかし、資産の流動化にかかる業務は、業務開始届出を内閣総理大臣(実際には、各地方財務局)に行う必要があり(資産流動化法4条1項)、その添付書類としての流動化計画の作成といった準備が必要となるため、TMKをファンドとして利用する場合にはハードルが高いものとなります。一般的には証券会社や弁護士等によって書類が整えられ、ある程度の資産規模がないと、TMKが利用されることはありません。

 TMKの税務上の特徴としては、いわゆる“ペイスルー税制”が採用されており、パススルー税制と同じ効果をTMKでも利用できるように制度設計されている点です。しかし、ペイスルー税制を採用するためには、いくつかの要件が必要となり、実務上、配当要件によってスキーム維持が困難となるケースが散見されます。

2.特定目的会社における法務(設立関連)

 TMKは資産流動化法に基づいて設立される会社であり、設立には準則主義が採用されています。株式会社の設立と同様、発起人が定款を作成し(資産流動化法16条1項)、公証人役場で認証を受け(16条6項)、発起人が特定出資の全額を履行し(19条1項)、設立登記が行われると会社は成立します(23条)。

 しかし、資産の流動化に係る業務は業務開始届出書を内閣総理大臣に提出する必要があり、届出書に記載すべき事項は以下のとおりです(資産流動化法施行令2条、資産流動化法施行規則5条・6条)。

 

1 商号
2 営業所の名称及び所在地
3 取締役及び監査役の氏名及び住所並びに営業所の業務を統括する者及びある種類の事項の委任を受けた使用人があるときは、その者の氏名及び住所
4 会計参与設置会社であるときは、その旨並びに会計参与の氏名又は名称及び住所
5 資産流動化計画についてすべての特定社員の承認があった年月日
6 主要な特定社員の氏名又は名称及び住所
7 取締役及び監査役が他の法人の常務に従事し、又は営業を営んでいるときは、当該取締役及び監査役の氏名並びに当該他の法人の名称及び業務の種類又は当該事業の種類

 

 なお、業務開始届出書に添付する資料には、資産流動化計画が求められており、業務開始届出に際して流動化計画書を作成しておく必要があります。資産流動化計画に記載すべき主な事項は以下のとおりです。

 

1 計画期間及び計画期間に関する事項(資産流動化法施行規則12条)
2 優先出資証券に関する発行及び消却に関する事項(資産流動化法施行規則13条)
3 特定社債等に係る発行及び償還に関する事項(資産流動化法施行規則14条)
4 特定短期社債に係る発行及び償還に関する事項(資産流動化法施行規則15条)
5 特定約束手形に係る発行及び償還に関する事項(資産流動化法施行規則16条)
6 特定目的借入れに係る借入れ及び弁済に関する事項(資産流動化法施行規則17条)
7 特定資産に関する事項(資産流動化法施行規則18条)
8 特定資産の管理及び処分に関する事項(資産流動化法施行規則19条)
9 特定目的借入れ以外の資金の借入れに関する事項(資産流動化法施行規則20条)
10 その他資産流動化計画記載事項(資産流動化法施行規則21条)

 

 これらの事項は、詳細な内容の記述が必要で、資産流動化法施行規則において規定されています。

3.特定目的会社における法務(機関設計)

 TMKは、社員総会、1名以上の取締役、1名以上の監査役を設置しなければなりません(資産流動化法67条1項1号、2号)。また、資産対応証券として特定社債のみを発行する特定目的会社であって、資産流動化計画に定められた特定社債の発行総額と特定目的借入れの総額との合計額が200億円以上の場合には、会計監査人も設置する必要があります(同条同項3号)。

 取締役は、特定目的会社の業務を決定・執行し、会社を代表します(資産流動化法78条、79条)。ただし、代表取締役を定めるときは、代表取締役が会社を代表します(資産流動化法79条1項但書)。監査役は取締役の職務の執行を監督します(資産流動化法87条1項)。

 しかし、TMKはビークルとしての性質を法的に担保するために、原則として、特定資産の管理及び処分に係る業務は信託会社等へ信託する必要があります(資産流動化法200条1項)。これにより、取締役が特定資産に関する業務執行を直接的に行うことはなく、信託会社等の選定に関する意思決定を行い、信託会社等の監督等を行うにすぎません。また、特定資産が不動産、指名債権などの一部については、信託会社等への業務の信託は必要なく、当該資産の譲渡人又は当該資産の管理及び処分を適正に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有する者にその管理及び処分に係る業務を委託することができるとしています(同条3項)。これは、不動産の流動化案件で、オリジネータがTMKへ不動産を売却し、そのまま不動産をリース等で借り上げる場合や不動産会社が不動産を流動化した場合などで、わざわざ信託会社等を利用しなくても管理することが可能であると考えられるものを除外するための規定です。指名債権は、銀行等の金融機関における債権流動化案件を想定しているものと考えられます。

前へ  次へ

 


 

 

 

このページの先頭へ戻る