HOME > ナレッジ情報 > ファンド・SPC > 有限責任事業組合(総論、法務)

有限責任事業組合(総論、法務)

1.有限責任事業組合における総論

 有限責任事業組合(Limited Liability Partnership、以下「LLP」といいます。)は、「有限責任事業組合契約に関する法律」(以下、「LLP法」といいます。)により組成される組合型ビークルで、その最大の特徴は組合員の全員が有限責任組合員であるという点です。民法上の任意組合は全員が無限責任組合員、LPSは業務執行組合員が無限責任でそれ以外の組合員は有限責任組合員、そしてLLPは業務執行組合員も含めて全員が有限責任組合員となります。

 会計・税務的な視点では、組合型ファンドである点から、基本的に民法上の任意組合、LPSと変わりなく、いわゆる“パススルー税制”が適用され、ファンド自体に課税されることなく、組合員に直接課税されることになります。

 

2.有限責任事業組合における法務

 LLPは、LLP法に従って運営される組合型ファンドで、「共同事業」の色合いが濃いものとなっています。民法上の任意組合やLPSは、業務執行組合員を選定し、基本的に業務執行組合員がファンド運営を行い、それ以外の組合員は投資的組合員として資金提供とそのリターンを得ることを目的としているのが基本です。

 しかし、LLPでは、組合員同士が基本的に共同して事業を展開することを念頭としており、「共同事業要件」というのが他の組合型ファンドに比べて厳しく求められます。

 LLPの業務執行を決定するには、総組合員の同意によることが原則です(LLP法12条1項本文)。ただし、重要な財産の処分及び譲受け、多額の借財に関する事項の決定以外の事項については、組合契約書において総組合員の同意を要しない旨を定めることができます(同条同項但書)。

 また、組合員は組合の決定に基づき、組合の業務を執行する権利を有し、義務を負い(LLP法13条1項)、業務執行の一部を委任することはできますが、全部を委任することは認められていません(同条2項)。このため、民法上の任意組合やLPSのような業務執行組合員を定め、いわゆる「丸投げ」というのは認められないのです。

 こうした「共同事業性」を有していれば、ファンドの範囲に制限は基本的になく、LPSのような限定的な事業に絞られることはありません。ただ、公認会計士業務や弁護士業務といった、職業専門家が行う事業を行うことは認められていません。(LLP法7条1項1号)。また、宝くじや馬券等の購入といった、組合債権者に不当な損害を与える恐れのある事業も行うことができません(同条同項2号)。

 

3.有限責任組合における登記制度

 LLPについては、LPSと同様に登記の必要があります(LLP法57条)。

 

1 第四条第三項第一号(組合の事業)、第二号(組合の名称)及び第四号から第六号(組合員の氏名又は名称及び住所、組合契約の効力の発生する年月日、組合の存続期間)までに掲げる事項
2 組合の事務所の所在場所
3 組合員が法人であるときは、当該組合員の職務を行うべき者の氏名及び住所
4 組合契約書において第三十七条第一号から第五号までに掲げる事由以外の解散の事由を定めたときは、その事由

 

 上記のとおり、LLPでは、「組合員の氏名又は名称及び住所」が公示されることになりますので組合員の秘匿性はありません。LLPは組合員全員が業務に参加することが求められているため、組合員の秘匿性については考慮する必要がないと考えられています。公示性については、民法上の任意組合、LPSと比較して一番高いものと考えられます。

前へ  次へ

 


 

 

 

このページの先頭へ戻る