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シリーズ<2> 会社設立手続の概要

1.はじめに

 本シリーズでは、会社設立手続の概要について解説していきます。シリーズ1で示した基本的な流れに沿って、類似商号調査、発起人会の組成、定款作成、出資の払込、設立登記の順に、それぞれ解説していきます。

 なお、本シリーズは、取締役非設置会社で、金銭出資を行う場合の会社を想定してます。取締役会設置会社を設立する場合や現物出資を行う場合には、若干手続きが異なりますので、注意が必要です。

2.会社名の決定と法務局での類似商号の調査

 まずは、会社の名前である商号を仮決定します。ここで「仮決定」と述べているのは、類似商号調査の実施後に「本決定」とする方がいいと考えられるからです。

 改正前商法では、同一市町村において、同一営業で同一商号の会社を登記することは認められませんでした。しかし、会社法では当該規制が廃止され、同一市町村において、同一営業で同一商号の会社を登記することも認められます。ただし、本店の所在地(つまり住所)が同一の場合には、同一の商号を登記することは認められません(商業登記法27条)。また、当然ですが、不正の目的をもって同一の商号(他の会社であると誤認されるおそれのある商号も含む。)を使用できません。(会社法8条1項)。なお、株式会社の場合、「○○株式会社」「株式会社○○」のように、必ず商号中に株式会社の文字を使用しなければなりません(会社法6条)。また、日本文字以外にローマ字やアラビア数字を使用することもできます。

 このように会社法上は類似商号の規制が廃止されました。しかし、実務的には同一営業に関して同一の商号を用いることは望ましくないため、類似商号の調査は行ったほうがよいと考えられます。類似商号の調査は各地の法務局で行います。具体的には、法務局に備置されている「閲覧申請書」に必要事項(調べようとしている商号・本店所在地・商号調査簿を閲覧する旨)を記載し、各自が商業調査簿というファイルを調べるかたちで行います。この調査は無料で行うことができます。

 調査の結果、類似商号がなければ、当初予定していた商号を実際に登記することができます。もし、類似商号に該当する場合は、設立登記の際に登記申請は却下されてしまい(商業登記法24条14号)、定款認証からやり直しになりますので、定款認証費用が無駄になってしまいます。

3.発起人会の開催

 設立時に発行株式を引き受けて、設立のために必要な事務を行う人を発起人といいます。まずは発起人が集まって、必要事項の決定を行います。ここでは、商号、会社目的(事業内容)、発行可能株式数、設立時に払い込む金銭の額など、会社設立に関して必要な基本的な事項について決定します。そして、これらの事項を記載した「発起人議事録」を作成し、発起人各自が署名又は記名押印します。ちなみに、署名とは本人が自筆で氏名を手書きすることをいい、記名押印とは自署以外の方法で氏名を記載し判を押すことをいいます(多くはワード・ソフトで議事録を作成しますので、その時に氏名も記載しておけば、押印だけで済みます)。

 先に示した類似商号の調査は必須ではありませんが、発起人議事録を作成した後に類似商号が発見された場合、発起人議事録を作成しなおすことになります。そのため、類似商号の調査は、発起人会に先立って実施しておくのがよいでしょう。

 発起人で構成される「発起人会」は、特に会社法上でその組成が求められているわけではありませんが、発起人全員で設立事項について決定していきますので、通常、組合契約(民法667条)を締結して、通常「発起人会」と呼ばれる組織を作るのが一般的です。

4.定款の作成と公証人の認証

(1)定款の作成


 発起人会で決定した事項を基本に、会社の憲法ともいえる定款を作成してきます。定款は発起人により作成され、全員が署名又は記名押印をする必要があります(会社法26条)。

定款には様々な情報が記載されますが、次の事項は必ず記載することが求められ(絶対的記載事項)、これらの記載が欠けている場合には定款全体が無効になります(会社法27条)。

 

≪定款の絶対的記載事項≫

  • 会社の事業目的
  • 商号
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額

 定款は、絶対的記載事項を記載しておけば法的には問題ありませんが、これ以外にも、一般的に、株式に関する事項、株主総会に関する事項、取締役及び代表取締役に関する事項、会社の計算に関する事項等が記載されます。定款への記載事項は、この内容を変更する場合に、定款変更手続きが必要となるため、法的効力が認められるという利点があります。

 なお、定款の書式や紙サイズは自由で、特に決まりはありません。縦書き、横書きの決まりもありません。定款を作成したら、ホッチキスや製本テープなどで纏めて、すべてのページに発起人全員の割印をします。また、公証役場での修正も考えられますので、定款の末尾に発起人全員の捨印をしておくことをお勧めします。

(2)公証役場での定款認証


 定款は3通(公証役場保管用、会社保存用、登記申請用)作成し、公証人の認証を受ける必要があります(会社法30条)。定款の認証は、その内容を明確にし、また不正行為や紛争を防止するために必要とされる手続きです。

 定款の認証は、設立しようとしている会社の本店所在地を管轄する法務局に所属する公証人に依頼します。公証人が在籍している役場を「公証役場」と言います。公証役場は全国にあります(公証役場の一覧表はこちら)。

 公証役場には、次のものを持参します。

 

持参するもの
注意すべき事項
定款 公証人役場保管用、会社保存用、登記申請用の3通。
印鑑証明 発行後3か月以内のもので、発起人全員分。
認証費用
  • 公証役場保管用の定款に添付する収入印紙4万円(電子定款であれば不要)

  • 公証人の認証手数料5万円

  • その他(謄本交付手数料など)
  • 委任状 発起人の代表者1人だけで行く場合や専門業者の代理人に頼む場合に必要。

     

     認証の際に記載漏れや間違いが発見された場合、その場で修正しますので、発起人全員が実印を持参して公証役場に行く、あるいは、定款の末尾に発起人全員の捨印をしておくとよいでしょう。

    5.出資の払込

     定款の作成と同時に、出資の払込を行っていきます。出資の払込のタイミングとしては、「株式の引受け後遅滞なく」と定められているだけで、具体的な期間は定められていません(会社法34条1項)。

     実際は、発起人会の開催で各発起人の株式引受数と払込金額が決定したら、直ちに払い込むか、もしくは、定款の認証を受けた後に払い込むことになります。

     定款認証前に払込を行う場合には、「設立時発行株式に関する発起人同意書」を作成し、各人の引受株式数と払込金額を確定させ、発起人全員の署名又は記名押印を行います。

     一方、定款認証後の払込を行う場合には、定款に各人の引受株式数と払込金額を記載します。この場合、定款で同意書は援用できますので、同意書の作成は必要ありません。

    6.設立登記と補正

    (1)登記申請


     定款の認証か完了したら、法務局で設立登記申請手続を行います。この手続きは本店の所在地を管轄する法務局で行う必要があり、管轄は法務局のホームページから調べることができます(法務局のホームページはこちら)。登記申請には、@設立登記申請書・認証済み定款を含む一連の書類、Aコンピュータ用登記別紙(OCR用紙)、B印鑑届書の3つの書類と、登録免許税のための印紙代が必要になります。

     

    持参すべきもの
    注意すべき事項
    一連の資料(まとめてホッチキス止め)
  • 設立登記申請書

  • 免許税納付用台紙

  • 定款

  • 証明書(払込があったことを証する書面)

  • 代表取締役の印鑑証明
  • OCR用紙 法務局がコンピュータ上でデータを管理するために使用するもの(法務局で入手)。ワープロ等で記載。
    印鑑届出書 会社の実印を押印して提出
    登記費用 登録免許税(最低15万円)

     

     なお、払込があったことを証する書面は、出資が行われた通帳のコピー(通帳の表紙と出資がなされたページ)を用意します(会社法69条参考)。改正前商法で定められていた払込金融機関による払込保管証明は不用となりました(改正前商法189条、会社法69条参考)。これにより、保管証明にかかっていた費用(約2万円)と時間(約2週間)が節約されることになりました。

     登録免許税は設立する会社の資本金の額によって決まります。原則として資本金の0.7%ですが、計算した金額が15万円未満の場合には、一律に15万円となります。このように、「1円で株式会社が設立できる」とはいっても、定款認証と設立登記で最低24万円程度の費用は必要となります。

    (2)補正


     窓口で登記申請を行ったら、あとは補正日を待つのみです。補正日とは補正の結果が出る日であり、通常申請から1週間以内の日に補正がある場合には電話連絡があります。もし補正日までに法務局から連絡がなければ、その時点で登記完了となります。

     補正が必要な場合には法務局から電話連絡があり、具体的な補正事項や必要書類(提出漏れ書類)を伝えてくれるので、必ずメモしておきましょう。持参する物は具体的に指示がありますが、念のため、実印を持参しておくことをお勧めします。

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