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IFRSにおける金融商品の開示

(平成23年5月16日現在)

はじめに− 

 IFRSにおける金融商品の開示は、IFRS第7号「金融商品:開示」がベースとなります。2010年10月改訂IFRS第7号では、金融商品の認識の中止に関連した開示規定も導入され、開示要求が拡大しています。

 また、公正価値関連についての開示は、IFRS第13号「公正価値価値測定」で規定されており、金融商品に関する公正価値測定の開示についてもIFRS第13号の規定が適用されることになります。

 開示に関する事項は、多くの開示例を研究することで、どのような表現方法が適切なのか等を探ることも重要ですが、第一義にはIFRS基準がどのようなリスク開示を要求しているのか、規定から解釈していくことも重要です。本シリーズでは、2010年10月改訂IFRS第7号、IFRS第13号の規定を忠実に解説していきます。

 

 本シリーズは、以下のとおり解説していきます。  

1.IFRS第7号の開示の目的と開示水準
2.IFRS第7号における各種用語の定義
3.財政状態計算書における基本的開示事項
 3−1.金融資産と金融負債の分類
 3−2.公正価値オプションに関連した開示
 3−3.FVTOCI指定した資本性金融商品の開示
 3−4.分類変更に関する開示
 3−5.その他の開示事項(担保、貸倒引当金、複合金融商品、債務不履行)
4.包括利益計算書の開示事項
5.会計方針の開示事項
6.ヘッジ会計の開示事項
7.公正価値測定に関する開示事項
 7−1.公正価値測定の開示に関する基本事項
 7−2.公正価値測定における開示事項
 7−3.その他の開示事項
 7−4.金融商品に係る開示事項
8.金融商品のリスク開示
 8−1.金融商品から生じるリスクの開示の基本事項
 8−2.信用リスクの開示事項
 8−3.流動性リスクの開示事項
 8−4.市場リスクの開示事項
9.金融資産の譲渡に関する開示

1.IFRS第7号の開示の目的と開示水準

 IFRS第7号の目的は、利用者が次の事項を評価できるように財務諸表上の開示を提供することです(IFRS7.1)。

  • 企業の財政状態及び業績に対する金融商品の重要性
  • 企業が当期中及び報告期間の末日現在で晒されている、金融商品から生じるリスクの性質及び程度並びに企業の当該リスクの管理方法

 IFRS第7号の原則は、IAS第32号「金融商品:表示」及びIFRS第9号「金融商品」における金融資産及び金融負債の認識、測定及び表示の原則を補完する位置づけです(IFRS7.2)。

 

<開示水準> 


 IFRS第7号で金融商品の種類別の開示を求めている場合、企業は開示する情報の性質上適切で、当該金融商品の特徴を考慮に入れた種類に金融商品をグループ化しなければなりません。この種類については企業が判断することになっており、それゆえ、IFRS第9号に示されている金融商品の区分とは異なることになります(それらは、金融商品をどのように測定し、公正価値の変動をどこに認識すべきかを決定する)(IFRS7.6前段、B1)。

 ただし、金融商品の種類を決定するにあたり、企業は最低でも、以下の対応が必要となります(IFRS7.B2)。

・償却原価で測定される金融商品と公正価値で測定される金融商品の区分

・IFRS第7号の適用範囲外となる金融商品については別個の種類として扱う

 

 企業は、状況に照らして、IFRS第7号の定めを満たすためには、どの程度詳細に開示を行い、その定めの異なる側面についてそれぞれ、どの程度強調すべきか、そして異なる特徴を有する情報を結合することなく、全体像を表すのに情報をどの程度合算したらよいかを判断することになります。

 財務諸表の利用者にとってはそれほど役には立たない詳細を過度に開示している財務諸表、及び合算をしすぎたために重要な情報であっても曖昧なものになってしまう財務諸表にならないようにバランスを取らなければなりません。例えば、企業は重要な情報を大量の重大ではない詳細の中に含めて、その重要な情報を曖昧なものにしてはならないし、同様に、企業は、個々の取引間の重要な差異又は関連するリスク間の重要な差異が曖昧になってしまうほど、情報を合算し、開示を行ってはなりません(IFRS7.B3)。

 

 また、企業は、財政状態計算書上に表示される項目との調整ができるようにするために十分な情報を提供しなければなりません(IFRS7.6後段)。

 

2.IFRS第7号における各種用語の定義

 IFRS第7号では、各種用語について以下のとおり定義されています(IFRS7.AppendixA)。

用  語 定         義

信用リス

credit risk

金融商品の一方の当事者が債務を履行できなくなり、もう一方の当事者が財務的損失を被ることとなるリスク

為替リスク

currency risk

金融商品の公正価値又は将来キャッシュ・フローが外国為替レートの変化によって変動するリスク

金利リスク

interest rate risk

金融商品の公正価値又は将来キャッシュ・フローが市場金利の変動により変動するリスク

流動性リスク

liquidity risk

現金又は他の金融資産を引き渡すことにより決済される金融負債に関連する債務を履行するにあたり企業が困難に直面するリスク

借入金

loans payable

借入金は通常の条件による短期の買掛債務以外の金融負債である。

市場リスク

market risk

市場価格の変動により金融商品の公正価値又は将来キャッシュ・フローが変動するリスク。市場リスクには3種類のリスクが含まれる。為替リスク、金利リスク、その他の価格リスクである。

その他の価格リスク

other price risk

個々の金融商品又は発行体固有の要因により生じるものであろうと、あるいは市場で売買されているすべての類似の金融商品に影響を及ぼす要因により生じるものであろうと、市場価格の変動(金利リスク又は為替リスクにより生じる変動以外)により金融商品の公正価値又は将来キャッシュ・フローが変動するリスク

期日が経過した

past due

相手方が契約で定められた期日が到来した時点で支払を履行しない場合には、金融資産は期日が経過したものとなる。

 

 次の用語はIAS第32号第11項、IAS第39号第9項、IFRS第9号Appendix Aで定義されており、本基準では、IAS第32号、IAS第39号及びIFRS第9号で定義された意味で使用されている。

• 金融資産又は金融負債の償却原価(amortised cost of a financial asset or financial liability)

• 認識の中止(derecognition)

• デリバティブ(derivative)

• 実効金利法(effective interest method)

• 資本性金融商品(equity instrument)

• 公正価値(fair value)

• 金融資産(financial asset)

• 金融保証契約(financial guarantee contract)

• 金融商品(financial instrument)

• 金融負債(financial liability)

• 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債 (financial liability at fair value through profit or loss)

• 予定取引(forecast transaction)

• ヘッジ手段(hedging instrument)

• 売買目的保有(held for trading)

• 再分類日(reclassification date)

• 通常の方法による購入又は売却(regular way purchase or sale)

 

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