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負債及び企業自身の資本性金融商品への適用に関する前提

(平成23年5月16日現在)

3−4.負債及び企業自身の資本性金融商品の評価に関する前提事項

 負債もしくは企業自身の資本性金融商品(例えば、事業結合の対価として発行された資本持分)の公正価値測定額は、測定日において市場参加者に移転されることを仮定しています。負債及び企業自身の資本性金融商品は、測定日において残高があり、測定日に、決済されたり、解約されたり、消滅したりすることがないという前提にたっています(IFRS13.34)。

 契約上又はその他の法的制限が移転を防止するため、負債もしくは企業自身の資本性金融商品の移転についての価格情報を提供する観察可能な市場がない場合であっても、資産として他の第三者によって保有される場合、そのような項目のための観察可能な市場がある可能性があります(例えば、社債又は企業の株式に対するコール・オプション)(IFRS13.35)。

 

 

(A) 資産として他の当事者が保有している負債又は資本性商品


 同一の又は類似する負債又は企業自身の資本性金融商品の移転に関する相場価格が入手可能ではなく、同一の商品が資産としてもう一方の当事者によって保有されている場合、企業は、測定日に資産として同一の商品を保有している市場参加者の観点から当該負債又は資本性金融商品の公正価値を測定します(IFRS13.37)。このような場合、企業は次のように負債又は資本性金融商品の公正価値を測定しなければなりません(IFRS13.38)。

 

 [資産として他の当事者が保有している負債又は資本性商品の測定方法]

  • 入手可能であれば、資産としてもう一方の当事者によって保有されている同一商品に関する活発な市場の公表価格を利用すること。
  • 活発な市場における公表価格が入手可能でなければ、資産としてもう一方の当事者によって保有される同一商品に関する活発ではない市場における、公表価格のような、その他の観察可能なインプットを利用すること。
  • 上記の観察可能な価格がともに入手可能でなければ、インカム・アプローチやマーケット・アプローチといった評価技法を利用すること。

 

 負債又は企業自身の資本性金融商品の公正価値測定に適用することができない資産に固有の要因がある場合に限って、企業は、公表価格を調整します。企業は、当該資産の価格が資産を売却することを禁止する制限の効果が影響していないことを、保証しなければなりません。資産の公表価格が調整されるべきことを示す一定の要因は、次の事項を含んでいます(IFRS13.39)。

 

 [公表価格を調整すべき資産固有の要因の例]

  • 発行者の信用品質といった特定の特徴で、類似した資産の公正価値の測定で反映させたが当該資産のそれとは異なる場合。
  • 債務者の支払額(つまり負債)と第三者の信用補完をパッケージした結合価格が利用される場合(評価対象は負債であるため、第三者の信用補完部分は控除しなければならない)。

 

 なお、負債又は企業自身の資本性金融商品の評価であっても、公正価値測定の目的に合わせて、関連する観察可能なインプットを最大限活用し、観察不能なインプットの利用を最小限に抑えなければなりません(IFRS13.36)

 

(B) 資産としてもう一方の当事者が保有していない負債及び資本性金融商品


 同一又は類似の負債又は企業自身の資本性金融商品の移転に関する公表価格が入手可能ではなく、同一の商品が資産としてもう一方の当事者に保有されていない場合、企業は、負債を保有するもしくは資本に対する請求権を発行している市場参加者の観点から、評価技法を用いて、負債又は資本性金融商品の公正価値を測定しなければなりません(IFRS13.40)。

 この場合、現在価値技法を適用するならば、企業は次のような事項を考慮しなければなりません(IFRS13.41)。

  • 市場参加者が義務を引き受けるために要求する補償を含めて、義務を履行することで市場参加者に生じると予想される将来キャッシュ・アウトフロー(第B31項から第B33項参照)。
  • 市場参加者が、例えば、同じ信用特徴を持っているとった、同じ契約条件を伴う負債又は資本性金融商品を発行するための主要な(又は最も有利な)市場において同一商品をプライシングする際に利用する前提を利用して、同一の負債又は資本性金融商品を締結もしくは発行した場合に受取る金額。

 

3−5.負債の公正価値を測定する際の留意事項

(A) 不履行リスク(non-perfomance risk)


 負債の公正価値は不履行リスクの影響を反映します。不履行リスクは、企業自身の信用リスク(IFRS第7号で定義)を含みますが、これらに限定されているわけではありません。不履行リスクは、負債の移転前後と同じであることを仮定しています(IFRS13.42)。 負債の公正価値を測定する場合、企業はその信用リスク(信用状態)及び義務が履行されるか又は履行されないかといった可能性に影響を及ぼすその他の要因の影響を考慮しなければなりません。この影響は、負債が現金(金融負債)を引き渡す義務なのか、もしくは商品又はサービスを引き渡す債務(非金融負債)なのか、また、負債に関連した信用補完条項といった、負債の特徴に応じて異なります(IFRS13.43)。

 負債の公正価値は、会計単位を基礎として不履行リスクの効果を反映します。分離不能な第三者の信用補完(ただし、会計上は負債から分離される)付きで発行された負債の発行体は、負債の公正価値測定において信用補完の効果(例えば、負債の第三者保証)を含めません。信用補完が負債から分離されて会計処理される場合、発行体は、負債の公正価値を測定するときに、発行体自身の信用状態を考慮し、第三者保証者の信用状態は考慮しません(IFRS13.44)。

 

 

(B) 負債又は企業自身の資本性金融商品の移転を防止する制限


 負債又は企業自身の資本性金融商品の公正価値を測定する場合、企業は、商品の移転を防止する制限の存在に関連した、区別されるインプット(separate input)又は他のインプットへの調整を含めてはなりません。負債又は企業自身の金融商品の移転を防止する制限の影響は、明示的又は暗示的に公正価値測定のそれ以外のインプットに含められているからです(IFRS13.45)。

 例えば、取引日において、債権者及び債務者の両方が、当該債務にその移転を防止する制限がを含まれている十分な知識を持っていて、負債に関する取引価格を受け入れた場合です。取引価格に含められている制限の結果として、区別されるインプット又は存在するインプットへの調整は、取引日において、移転の制限の影響を反映する必要はない。同様に、区別されるインプット又は存在するインプットへの調整は、事後測定日において、移転の制限の影響を反映することを要求されません(IFRS13.46)。

 

 

(C) 要求払(demand feature)の特徴を持つ金融負債


 要求払いの特徴を持つ金融負債の公正価値(例えば、要求払い預金)は、当該金額の支払を要求できる最初の日から割り引いた、要求払いの金額以下にはなりません(IFRS13.47)。

 

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