株式会社インターナレッジ・パートナーズ IKP税理士法人

IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」(表示 1/3)

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(平成22年12月31日現在)

4.キャッシュ・フロー計算書の表示

キャッシュ・フロー計算書は、営業活動(operating activities)投資活動(investing activities)及び財務活動(financing activities)の諸活動に区分して、期中のキャッシュ・フローを報告しなければなりません(IAS7.10)。

 

企業は、その事業にとって最も適当な方法で、営業、投資及び財務の諸活動によるキャッシュ・フローを表示します。活動別に分類することにより、これらの活動が当該企業の財政状態並びに現金及び現金同等物の金額に与える影響を利用者が評価することを可能にする情報が提供されるとともに、これらの活動間の関係を評価するためにも利用できます。(IAS7.11)

 

なお、単一の取引が別々の区分のキャッシュ・フローに含まれることもあります。例えば、借入金の返済が、利息と元本の両方を含む場合には、利息部分が営業活動に分類され、元本部分が財務活動に分類される場合もあります。(IAS7.12)

 

<営業活動によるキャッシュ・フロー>


営業活動によって生じるキャッシュ・フローの金額は、当該企業の営業活動が、外部の資金調達手段に頼ることなく、借入金を返済し、企業の事業規模を維持し、配当金を支払い、さらに新規投資を行うために、どの程度十分なキャッシュ・フローを生成したかを示す主要な指標です(IAS7.13)。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、主として、企業の主たる収益獲得活動から生じます。そのため、一般的には、純損益の決定につながる取引及びその他の事象の結果として生じるものが対象となります。

営業活動によるキャッシュ・フローの例としては、次のものが挙げられます。(IAS7.14)

 

(a) ロイヤルティ、報酬、手数料及びその他の収益による収入
(b)

財貨の販売及び役務の提供による収入

(c) 財貨及び役務の仕入先に対する支出
(d) 従業員に対する、又は従業員のための支出
(e) 保険会社の保険料収入並びに保険金、年金及びその他の保険契約上の給付金の支払
(f) 財務又は投資活動に個別に識別できる場合を除く、法人所得税の支払又は還付
(g) 売買目的保有の契約からの収入及び支出

 

有形固定資産項目の売却取引に関するキャッシュ・フローは、通常は投資活動によるキャッシュ・フローですが、他者への賃貸のために保有し、その後売却目的で保有する資産を製作又は取得する(IAS16.68A)ための現金支払は、営業活動によるキャッシュ・フローになります。

 

有価証券や貸出債権を売買目的で保有する場合、再販売目的で取得される棚卸資産と同様に考えることができるため、売買目的の有価証券の購入と売却から生じるキャッシュ・フローは、営業活動として分類されます。同様に、金融機関による貸出しは、企業の主たる収益獲得活動に関連しているので、通常は営業活動として分類されます(IAS7.15) 。

 

<投資活動によるキャッシュ・フロー>


投資活動によって生じるキャッシュ・フローの区分は、将来の収益及びキャッシュ・フローの生成を意図して、どの程度の支出が資源に投入されたかを表す指標です。財政状態計算書において資産が認識されることとなる支出のみが、投資活動に分類される要件を満たします。

投資活動によって生じるキャッシュ・フローの例としては、次のものが挙げられます。(IAS7.16)

 

(a)

有形固定資産、無形資産及びその他の長期資産を取得するための支出

(資産計上された開発費及び自家建設による有形固定資産に関連する支出が含まれる)

(b) 有形固定資産、無形資産及びその他の長期資産の売却による収入
(c)

他の企業の持分又は債券及びジョイント・ベンチャーに対する持分を取得するための支出

(現金同等物とみなされる金融商品又は売買目的保有の金融商品に関する支出を除く)

(d)

他の企業の持分又は負債証券及びジョイント・ベンチャーに対する持分の売却から生じる収入

(現金同等物とみなされる金融商品及び売買目的保有の金融商品に関する収入を除く)

(e) 他者に対してなされた貸出し(金融機関による貸出しを除く)の実行による支出
(f) 他者に対してなされた貸出し(金融機関による貸出しを除く)の返済による収入
(g)

先物契約、先渡契約、オプション契約及びスワップ契約による支出

(ただし、その契約が売買目的で保有される場合、又はその支出が財務活動として分類される場合を除く)

(h)

先物契約、先渡契約、オプション契約及びスワップ契約による収入

(ただし、その契約が売買目的で保有される場合、又はその収入が財務活動として分類される場合を除く。また、契約が識別可能なポジションのヘッジ手段として会計処理される場合には、当該契約のキャッシュ・フローは、ヘッジ対象であるポジションのキャッシュ・フローと同じ区分に分類する)

 

<財務活動によるキャッシュ・フロー>


財務活動によって生じるキャッシュ・フローの区分は、企業に対する資本提供者による将来のキャッシュ・フローに対する請求権を予測する上で有用な指標となります。

財務活動によって生じるキャッシュ・フローの例としては、次のものが挙げられます。(IAS7.17)

 

(a) 株式又はその他の持分証券の発行による収入
(b) 企業自身の株式を買い戻し、あるいは償還するための、所有者への支出
(c) 社債、借入金、手形借入、抵当権付借入及びその他の短期又は長期の借入による収入
(d) 借入金の返済による支出
(e) ファイナンス・リースに関する負債残高を減少させる借手の支出

 

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