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IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」(2/4)

(平成23年1月31日現在)

4.会計方針の変更 −会計処理−

会計方針の変更が以下に該当する場合のみ、会計方針を変更しなければなりません。(IAS8.14)

 

@ IFRSによって要求されている場合(強制変更)
A 企業の財政状態、経営成績又はキャッシュフローに対し取引その他の事象又は状況が及ぼす影響について、信頼性があり、より目的適合性のある情報を提供する財務諸表となる場合(任意変更)

 

上記のような会計方針の変更要因がある場合、変更要因ごとに下記のとおり会計処理する必要があります。(IAS8.19)

 

【上記@の要因に関して】

具体的な経過措置を設けているIFRSを初めて適用することによる会計方針の変更の場合、それに従った会計処理をします

 

具体的な経過措置を設けていないIFRSを初めて適用することによる会計方針の変更の場合、当該変更を遡及適用します

 

【上記Aの要因に関して】

・会計方針を任意に変更する場合、当該変更を遡及適用します

 

なお、「遡及適用(retrospective application)」とは、新しい会計方針をその方針が過去から常に適用されていたかのように、取引その他の事象及び状況に適用することをいいます(IAS8.5)。

 

上記に従って遡及適用される場合には、企業は表示されている最も古い年度の資本項目のうち影響を受ける期首残高及び各過年度に開示されているその他の比較情報を、新しい会計方針がすでに適用されていたかのように修正することになります(IAS8.22)。

 

<遡及適用の制限> 

ただし、会計方針の変更の遡及適用は、各期間に対する影響または累積的影響を測定することが実務上不可能な場合は、遡及適用に対する制限が設けられています(IAS8.23)。

具体的には、表示されている1期以上の過年度に関する比較情報について、会計方針を変更する場合の期間特定の影響を測定することが実務上不可能である場合には、企業は、遡及適用が実行可能である最も古い期間(当期である場合もある)の資産や負債の期首残高に対し新しい会計方針を適用し、当該期間の資本項目のうち影響を受ける各構成要素の期首の残高に対しそれに対応する修正をしなければなりません(IAS8.24)。

また、当期の期首において、過年度のすべてについて新しい会計方針を適用することの累積的影響を測定することが実務上不可能な場合には、企業は、実務上可能な最も古い日付から将来に向かって新しい会計方針を適用するために比較可能情報を修正しなければなりません(IAS8.25)。

 

−実務上不可能(impracticable)− 

企業がある定めを適用するためにあらゆる合理的な努力を行っても、適用することができない場合、その定めの適用は実務上不可能となります。

具体的には特定の過年度について、次のいずれかである場合には、会計方針の変更の遡及適用を行うことにが実務上不可能といえます。(IAS8.5)

 

@ その遡及適用の影響を確定できない場合
A その遡及適用が、当該期間における経営者の意図が何であったかに関する仮定を必要とする場合
B その遡及適用が、金額の重要な見積りを必要とするが、それらの見積りに関する次のような情報を、他の情報と客観的に区別することが不可能である場合

(a) 当該金額を認識、測定又は開示すべき日に存在していた状況の証拠を提供し、かつ

(b) 過年度に関する財務諸表が発行に向けて承認された時に入手可能であった

 

<その他留意事項> 

なお、以下の場合は会計方針の変更には該当しません(IAS8.16)。

以前に発生していたいものと実質が異なる取引その他の事象又は状況について会計方針を適用する場合
以前に発生していなかったか又は重要性がなかった取引その他の事象又は状況について新しい会計方針を適用する場合

 

また、IAS第16号「有形固定資産」またはIAS第38号「無形資産」に従って資産の再評価をする方針を初めて適用する場合は、IAS第8号ではなくIAS第16号又はIAS第38号に従った再評価として扱うべき会計方針の変更になります(IAS8.17)。したがって、この場合は上記の会計方針の変更の取扱いは適用されません(IAS8.18)。

5.会計方針の変更 −開示−

IAS第8号では、会計方針の変更に関する開示項目を下記パターンごと定めています。

 

あるIFRSを初めて適用することによる会計方針の変更の場合(IAS8.28)

任意の会計方針の変更の場合(IAS8.29)

発行はされているが、まだ有効となっていない新しいIFRSを適用していない場合(IAS8.28)

 

<あるIFRSを初めて適用することによる会計方針の変更の場合>

下記事項のが開示が求められています。

 

@ 基準または解釈指針の名称
A 該当する場合には、会計方針の変更が経過措置に従って行われた場合
B 会計方針の変更の内容
C 該当する場合には、経過措置の概要
D 該当する場合には、将来の期間に影響を与えるかもしれない経過措置
E 当期および表示されている各過年度について、実務上可能な範囲で、次の事項に関する修正額

a. 影響を受ける財務諸表の各表示項目

b. IAS第33号「1株当たり利益」が適用される場合の基本的および希薄化後の1株当たり利益

F 実務上可能な範囲で、表示されている期間より前の期間に関する修正額
G

遡及適用が特定の過年度期間または表示されている期間より以前の期間について実務上不可能である場合には、当該状況に至った状況及び会計方針の変更がどのようにして、そしていつから適用されているか

 

なお、その後の期間の財務諸表でこれらの開示を繰り返す必要はありません。

 

<任意の会計方針の変更の場合>

下記事項のが開示が求められています。

 

@ 会計方針の変更の内容
A 新しい会計方針の適用が信頼性のある目的適合性の高い情報を提供するか、その理由
B 当期および表示されている各過年度について、実務上可能な範囲で、次の事項に関する修正額
a. 影響を受ける財務諸表の各表示項目

b. IAS第33号「1株当たり利益」が適用される場合の基本的および希薄化後の1株当たり利益

C 実務上可能な範囲で、表示されている期間より前の期間に関する修正額
D 遡及適用が特定の過年度期間または表示されている期間より以前の期間について実務上不可能である場合には、当該状況に至った状況及び会計方針の変更がどのようにして、そしていつから適用されているか

 

なお、その後の期間の財務諸表でこれらの開示を繰り返す必要はありません。

 

<発行はされているが、まだ有効となっていない新しいIFRSを適用していない場合>

将来の会計方針の変更の影響額を事前に把握するための開示項目であり、下記事項のが開示が求められています。

 

@ その事実
A 新しいIFRSの適用が適用初年度における企業の財務諸表に及ぼす影響額の評価に関連する既知のもしくは合理的な見積情報

 

上記開示を行うにあたり、下記事項の開示を検討しなけばなりません(IAS8.31)。

a. 新しいIFRSの名称
b. 近い将来に行われる会計方針の変更の内容
c. そのIFRSの適用が要求される日付
d. 企業が最初にそのIFRSを適用しようと計画している日付
e. 次のいずれか

・そのIFRSを最初に適用するときの財務諸表に及ぼすと予測される影響についての検討

・その影響が不明であるか、または合理的に見積もれない場合にはその旨の説明

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