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IAS第1号「財務諸表の表示」(4/5)

(平成22年7月31日現在)

8.包括利益計算書

<包括利益計算書の方式>

企業は以下の方式のいずれかにより、期間に認識された収益および費用のすべての項目を表示しなければなりません(IAS1.81)

 

1計算書方式 単一の包括利益計算書に純利益とその他包括利益の両方を表示する方法)
2計算書方式 純損益まで表示する計算書(分離した損益計算書)と純損益から開始しその他の包括利益の内訳項目を表示する計算書(包括利益計算書)の2つの計算書を用いる方法)

 <包括利益計算書に表示すべき情報>

少なくとも当期に係る次の金額を表す科目を記載しなければなりません。 

 

@ 収益
A 償却原価で測定される金融資産の認識の中止により生じる利得及び損失
B 金融費用
C 持分法で会計処理されている関連会社及びジョイント・ベンチャーの純損益に対する持分
D 金融資産が公正価値で測定されるように分類変更された場合に、従前の帳簿価額と分類変更日(IFRS第9号で定義)時点の公正価値との間の差額から生じる利得又は損失
E 税金費用
F 下記合計額

・非継続事業の税引後損益

・非継続事業を構成する資産又は処分グループについて、売却費用又は処分費用を差し引いた公正価値での測定によって認識された利得または損失の税引後金額

G 純損益
H 性質により分類されたその他の包括利益の各内訳項目(Iの金額を除く)
I 持分法で会計処理されている関連会社及びジョイント・ベンチャーのその他の包括利益の持分
J 包括利益合計

 

また、当期損益の内訳として包括利益計算書に次の項目を開示しなければなりません。(IAS1.83)

(a) 当期純損益の下記の帰属内訳
・非支配持分

・親会社の所有者

(b) 当期包括利益の下記の帰属内訳
・非支配持分

・親会社の所有者

 

2計算書方式を採用している場合は、上記の@〜Gまでと(a)の開示項目を、分離した損益計算書で表示することになります。(IAS1.84)

また、財政状態計算書と同様に、企業の財務業績の理解に関連性がある場合には、企業は追加的な表示項目見出しおよび小計を包括利益計算書および分離した損益計算書(2計算方式を採用している場合)に表示しなければなりません。(IAS1.85)

さらに、企業は財務業績の構成要素を説明するのに必要な場合には、包括利益計算書および分離した損益計算書(2計算方式を採用している場合)で表示項目を追加し、科目表記と項目の順序も修正します(この場合、収益及び費用の項目の重要性、性質、機能などの要因を考慮します)。(IAS1.86)

 

<特別損益>

企業は、いかなる収益項目または費用項目も、包括利益計算書または注記において特別(異常)損益項目として表示してはいけません(IAS1.87)。

 

<当期純利益>

企業は、ある期間に認識される収益および費用のすべての構成要素を、IFRSが別途要求または許容している場合を除いて、純損益に含めなければなりません。(IAS1.88)

 

<当期のその他の包括利益>

その他の包括利益とは、他のIFRSが要求または許容するところにより純損益に認識されない収益及び費用(組替調整額を含む)をいいます。(IAS1.7)

 

その他の包括利益の内訳項目には、次のようなものが含まれます。

・再評価剰余金の変更(IAS第16号「有形固定資産」及びIAS債38号「無形資産」参照)

・IAS第19号「従業員給付」に従って認識された確定給付制度の数理計算上の差異

・在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替差額(IAS第21号「外国為替レート変動の影響」参照)

・IFRS第9号に従ってその他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融商品への投資による利得又は損失

・キャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ手段にかかる利得及び損失の有効部分

 

企業は、組替調整額(定義は後述)を含むその他の包括利益の各内訳項目に関連する法人所得税の額を、包括利益計算書の本体または注記のいずれかにおいて表示しなければなりません。(IAS1.90)

当該表示方法は、下記いずれかにより表示します。

・関連する税効果考慮後の純額

・税効果考慮前の金額とし、内訳項目に関連する法人所得税の合計額を単一金額で示す

 

また、その他の包括利益の各内訳項目に関連する組替調整額(当期または過年度においてその他の包括利益で認識され、当期において純損益に組み替えられた金額をいう)も開示しなければなりません。(IAS1.92)

組替調整額は、包括利益計算書の本体または注記により表示します。注記に組替調整額を表示している企業は、関連する組替調整を行った後のその他の包括利益の内訳項目を表示します。例えば、在外営業活動体の処分やヘッジ対象となった予定取引が純損益に影響を与える時に組替調整が必要になります。(IAS1.94,95)

 

<包括利益計算書または注記のいずれかに表示すべき情報>

ー収益または費用の別掲表示ー

収益または費用の構成要素が重要な場合には、企業はその内容および金額を個別に開示しなければなりません。(IAS1.97)

 

例えば、個別に開示しなければならない状況には次のようなものがあります。

・棚卸資産の正味実現可能価額への評価減、有形固定資産の回収可能価額への評価減および当該評価減の戻入れ

・企業の活動のリストラクチャリング及びリストラクチャリング費用の引当金の戻入れ

・有形固定資産項目の処分

・投資の処分

・非継続事業

・訴訟の解決

・引当金のその他の戻入れ

 

ー費用の費目別または機能別内訳表示ー 

また、信頼度の高い、より目的適合的な情報を提供することになるように、費用の性質(費目別)または企業内における機能(機能別)に基づく分類を用いて、純損益に認識された費用の内訳を表示しなければなりません。これは、費用の頻度や利得・損失の潜在可能性および予測可能性の異なる財務業績の構成要素を強調できるようにするためです。(IAS1.99,101)

 

費用の性質(費目別)に着目した分析様式は、「費用性質法」と呼ばれ、純損益に含まれる費用をその性質に従って集計する方法(例えば、減価償却費、材料仕入高、運送費、従業員給付、広告費など)で、機能的分類により配分する必要がないため、容易といえます。(IAS1.102)

 

【費用性質法により分類した場合の様式例】

収益   ×× 
その他の収益 ××
原材料及び消耗品消費高 ××
従業員給付費用 ××
減価償却費及び償却費 ××
その他の費用 ××
 費用合計   (××)
税引前利益    ××

 

企業内の機能(機能別)に着目した分析様式は、「費用機能法」又は「売上原価法」と呼ばれ、費用をその機能に従って、例えば売上原価の一部として、また、販売費及び一般管理費に分類します。この方法では、少なくとも企業は売上原価をその他の費用項目とは別個に表示します。(IAS1.103)

 

【費用機能法(売上原価法)により分類した場合の様式例】

収益   ×× 
売上原価      (××)
売上総利益   ××
その他の収益   ××
販売費    (××)
管理費      (××)
その他の費用    (××)
税引前利益     ××

  

ただし、費用を機能別に分類している企業は、減価償却費、償却費、従業員給付費用などの費用の内容に関して追加情報を開示しなければなりません。(IAS1.104)

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