株式会社インターナレッジ・パートナーズ IKP税理士法人

IFRS第10号「連結財務諸表」(支配の定義)

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(平成23年12月31日現在)

3.支配(control)の定義

投資企業は、被投資企業との関係の性質にかかわらず、投資企業が被投資企業を支配しているかどうかを評価することにより、投資会社が親会社に該当するかどうか決定しなければなりません(IFRS10.5)。

 

下記のすべての要件を満たす場合、およびその場合のみ、投資企業は、被投資企業を支配しているといえます(IFRS10.6,7)。

 

<支配(control)の定義>


被投資企業に対するパワーを有している
被投資企業への関与から生じるリターンの変動性にさらされている、もしくは変動するリターンに対する権利を有している
投資企業のリターンに影響を与えるような被投資企業に対するパワーを使う能力を有している

 

また、投資企業が被投資企業を支配しているかどうかを評価する場合、投資企業はすべての関連性のある事実および状況を考慮しなければなりません(IFRS10.8)。

 

なお、2社以上の投資企業が、関連する活動を指示するために共同で行動しなければならない場合、当該投資企業は集団的に被投資企業を支配していることになります。そのような場合、投資企業は他の投資企業の協力なしで、被投資企業の活動について指示することができないため、投資企業は個々に被投資企業を支配していることにはなりません。

このような場合、IFRS第11号「ジョイント・アレンジメント」、IAS第28号「関連会社およびジョイント・ベンチャーに対する投資」、IFRS第9号「金融商品」に従い、当該投資企業に関する持分について会計処理することになります。(IFRS10.9)

 

4.パワー

投資企業は、関連する活動すなわち被投資企業から生じるリターンに重要な影響を与える活動について指示する現在の能力をもたらす既存の権利を有しているとき、その投資企業は被投資企業に対するパワーをもっていることになります(IFRS10.10)。

 

パワーは権利から発生します。

パワーの評価は単純の場合があります。例えば、株式のような持分金融商品によって付与された議決権から被投資企業に対するパワーを直接的かつ単独的に得ることができ、これらの持ち株の議決権を考慮することにより評価することができる場合です。

一方、例えばパワーが複数の契約上の取り決めに起因する場合、評価はより複雑になり、複数の要因を考慮することが要求される場合があります。(IFRS10.11)

 

関連する活動を指示する現在の能力を持っている投資企業は、たとえ、その指示する権利が未だ行使されていなくても、パワーを有していることになります。

したがって、投資企業が関連する活動を指示してきたという証拠は、投資企業がパワーを持っているかどうかの判定に役立つ可能性はありますが、投資企業が被投資企業に対するパワーを有しているかどうかの決定においては、決定的な証拠にはなりません。(IFRS10.12)

 

もし複数の投資企業各々が、異なった関連する活動を指示する一方的な能力を与える既存の権利を持っていれば、被投資企業から生じるリターンに最も重要な影響を与える活動を指示する、現在の能力をもっている投資企業が、被投資企業に対するパワーを持っていることになります。(IFRS10.13)

 

例えば別の企業が被投資企業に重要な影響力を有する場合のように、たとえ他の企業が被投資企業の関連する活動の指示に参加するための現在の能力を与える既存の権利を有している場合であっても、投資企業が被投資企業に対するパワーを有していることがあります。しかしながら、防御権だけを所有する投資企業は、被投資企業に対するパワーを有しておらず、従ってこの場合、被投資企業を支配しているとはいえません。(IFRS10.14)

 

なお、パワーの評価の目的上、実質的な権利および防御権でない権利のみを考慮しなければなりません(IFRS10.B10)。

5.変動するリターンに対するエクスポージャー

投資企業の被投資企業への関与から生じるリターンが、被投資企業の業績の結果を受けて変動する可能性がある場合、投資企業は、被投資企業への関与から生じるリターンの変動性にさらされているか、変動するリターンに対する権利を有していることになります。

投資企業のリターンは、常にプラスの場合、常にマイナスの場合、全体としてプラスになったり、マイナスになったりする場合があります。(IFRS10.15)

 

1社の投資企業だけが被投資企業を支配しているが、複数の会社が被投資企業のリターンを共有する場合があります。例えば、非支配持分の保有者は被投資企業の利益もしくは配当を共有することができます。(IFRS10.16)

6.リターンに影響を与えるパワーの使用能力

被投資企業に対してパワーを有し、被投資企業の関与から生じるリターンの変動性にさられている、もしくは変動するリターンに対する権利を有しているだけでなく、被投資企業の関与から生じる投資企業のリターンに影響を与えるようなパワーを使う能力を有する場合、投資企業は被投資企業を支配しています(IFRS10.17)。

 

したがって、意思決定権限を有している投資企業は、本人に該当するか、代理人に該当するかどうかを決定しなければなりません。IFRS第10号に従い、代理人となる投資企業は、委譲された意思決定権限を行使している場合、被投資企業を支配していることにはなりません。(IFRS10.18)

7.支配要件の継続的評価

上記3つの要素の1つでも変更があることを示す事実や状況がある場合、投資企業は、被投資企業を支配しているかどうかを再評価しなければなりません(IFRS10.8)。

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