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IAS第40号「投資不動産」(1/3)

(平成23年1月31日現在)

1.目的

IAS第40号「投資不動産」の目的は、投資不動産の会計処理及び関連する開示要求を定めることであります。(IAS40.1)

2.範囲

IAS40号は、投資不動産の認識、測定及び開示に適用しなければなりません(IAS40.2)。

 

【適用が除外される項目】

ただし、下記の項目には適用されません(IAS40.3,4)。

 ● 農業活動に関連する生物資産(IAS第41号「農業」参照)

 ● 鉱業権及び、石油、天然ガス及びこれらに類似する再生不可能な天然資源

 ● 次の事項を含むIAS第17号「リース」の対象となっているもの

ファイナンス・リース
投資不動産から稼得されるリース収益の認識(IAS第18号「収益」も参照)
オペレーティング・リースとして会計処理されるリースの下で保有される不動産賃借権の借手の財務諸表における測定
ファイナンス ・リースにおける正味リース投資額の貸手の財務諸表における測定
セール・アンド・リースバック取引の会計処理
ファイナンス・リース及びオペレーティング・リースに関する開示

 

なお、ファイナンス・リースとして会計処理されるリースの下で保有される投資不動産賃借権の借手の財務諸表における測定、及びオペレーティング・リースにより借手に提供される投資不動産の貸手の財務諸表における測定には本基準であるIAS第40号が適用されます。

3.投資不動産の定義

投資不動産(investment property)」とは、賃貸収益若しくは資本増価又はその両方を目的として、所有者又はファイナンス・リースの借手が保有する土地若しくは建物又は建物の一部又はそれら両方の不動産をいいます(IAS40.5)。

 

ただし次の目的のものは除きます。

物品の製造若しくは販売又はサービスの提供、又は経営管理目的のための使用

(このような不動産を「自己使用不動産(owner-occupied property)」といいます)

通常の営業過程における販売

  

不動産が、投資不動産に該当するか否かの決定には判断が必要になります。

投資不動産の定義及び関連する指針に従い、企業は首尾一貫した判断が下せるように投資不動産に該当するか否かのの判断基準を設定しなければなりません。なお、分類が困難な場合においてこれらの判断規準を開示することが求められています。(IAS40.14)

 

投資不動産は、賃貸収益若しくは資本増価又はその両方を得るために保有されます。それゆえ、投資不動産は、企業によって保有されるその他の資産とはかなりの程度独立したキャッシュ・フローを生み出すのが通常です。

一方、物品の製造若しくは販売又はサービスの提供(あるいは経営管理目的のための不動産の使用)は、単に不動産だけでなく、製造又は販売過程において用いられる他の資産に帰属するキャッシュ・フローをも生み出します。

このようなキャッシュ・フローの特徴は、投資不動産と自己使用不動産とを区別する特質の一つとなります。

なお、自己使用不動産に該当する場合は、IAS第16号「有形固定資産」が適用されます。(IAS40.7)

 

具体的に投資不動産に該当する不動産の例と、投資不動産に該当しない不動産の例としては下記のものが挙げられます。

 

【投資不動産に該当する不動産の例(IAS40.8)】

通常の営業過程において短期間に販売されるものではなく、長期的な資本増価のために保有される土地
将来の用途を現在未定のまま保有する土地(企業がそれを自己使用不動産として使用するかあるいは通常の営業過程における短期間の販売に使用するか決定していない場合、土地は資本増価のため保有するとみなす)
企業が所有(又はファイナンス・リースにより企業が保有)し、1つ以上のオペレーティング・リースによりリースされている建物
現在は借手がないが、1つないしは複数のオペレーティング・リースによりリースするために保有されている建物
投資不動産としての将来の利用のために建設中又は開発中である不動産

 

【投資不動産に該当しない不動産の例(IAS40.9)】

通常の営業過程における販売のため保有している、又はそのような販売を目的として建設中又は開発中の不動産(IAS第2号「棚卸資産」参照)で、例えば取得後短期間で処分する計画によって、又は開発し再販売する目的で取得されている不動産
第三者のために建設中又は開発中の不動産(IAS第11号「工事契約」参照)
自己使用不動産で、特に自己使用不動産として将来使用するために保有する不動産、将来開発しその後自己使用不動産として使用するため保有する不動産、従業員が占有する(従業員が市場レートで賃借料を支払うか否かは関係ない)不動産及び処分予定の自己使用不動産等
ファイナンス・リースにより他の企業にリースされる不動産

 

<オペレーティング・リースによる不動産賃借権>


オペレーティング・リースの下で借手が保有する不動産賃借権は、不動産が投資不動産の他の定義を満たし、当該資産について公正価値モデルを使用する場合、投資不動産として分類し、会計処理することができます。

ただし、この方法を選択した場合、投資不動産として分類されるすべての不動産について公正価値モデルを用いて会計処理しなければなりません。(IAS40.6)

 

<複数の用途で使用されている不動産>


不動産の中には、賃貸収益又は資本増価のために保有される部分とともに、物品の製造若しくは販売又はサービスの提供に使用されるため、又は経営管理目的用に保有される部分で構成されるものがあります。

これらの部分を個別に売却すること(又はファイナンス・リースにより個別にリースすること)が可能な場合、企業は当該部分を個別に会計処理しなければなりません。

一方、当該部分を個別に売却できないと思われる場合は、物品の製造若しくは販売、サービスの提供、又は経営管理目的で保有される部分の重要性が低い場合に限り、当該不動産を投資不動産として処理します。(IAS40.10)

 

<サービスの提供がなされる不動産>


企業は、自己が保有する不動産の占有者に対し付随的なサービスを提供する場合があります。当該サービスが取引全体の中で重要性が低い場合には、当該不動産を投資不動産として取り扱います。例えば、オフィスビルの所有者がそのビルを占有している借手に対して保安やメンテナンスのサービスを提供する場合は、投資不動産となりますが、ホテルを所有し運営する場合、客に対するサービスは取引全体の中で重要となるため、所有者が運営するホテルは、投資不動産ではなく自己使用不動産になります。(IAS40.11、12)

 

<グループ内でリースしている不動産>


ある企業が、その親会社又は他の子会社にリースし、占有されている不動産を所有しているケースがあります。当該不動産は、企業集団の観点からは自己使用不動産となるので、連結財務諸表においては投資不動産に該当しませんが、それを所有する個別企業の観点からは、それが当該不動産の定義を満たす場合には、貸手の個別財務諸表上は当該不動産は投資不動産となります。(IAS40.15)

4.認識

投資不動産は、次の条件を満たす場合に資産として認識しなければなりません(IAS40.16)。

 

@ 投資不動産に帰属する将来の経済的便益が、企業にもたらされる可能性が高く、かつ、
A 投資不動産の取得原価が信頼性をもって測定できる

 

当該認識原則の下では、企業は投資不動産の帳簿価額に、当該不動産の日常的な維持管理業務に係る費用を資産としては認識してはいけません(IAS40.18)。

 

<取替の場合>


投資不動産の一部が取替えによって取得される場合があります(例えば、内部の壁面が当初の壁面から取り替えられる場合など)。

認識原則の下では、企業は、認識要件が満たされる場合には、発生時点で既存の投資不動産の取替えによって取得された部分の費用を投資不動産の帳簿価額に計上するとともに、取り替えられた部分の帳簿価額の認識は、本基準の認識の中止に関する定めに従って認識を中止します(IAS40.19)。

5.認識時点での測定

投資不動産は、当初はその取得原価で測定しなければなりません。また、取引費用は当初の測定に含めなければなりません。(IAS40.20)

 

購入した投資不動産の取得原価は、その購入代価及びすべての直接付随費用から構成されます。

直接的付随支出には、例えば、法的サービスのための専門家報酬や不動産取得税及びその他の取引費用などが含まれます。(IAS40.21)

 

一方、次の項目は取得原価に含めてはいけません(IAS40.23,24)。

 

【取得原価に含めてはいけない費用】

操業開始費用(それらの費用が、その不動産を経営者が意図する方法にて稼働ができるようにするために必要となる状態にするために必要な場合はその限りではない)
投資不動産が計画した稼動水準に到達する以前に生じる営業損失
不動産の建設又は開発中に発生した異常な金額の原料、労務費又はその他の資源の浪費
投資不動産に関する支払が繰り延べられる場合、取得原価は現金価格相当額であるため、当該金額と支払総額との差額は、与信期間にわたる利息費用として認識されます。

 

<不動産賃借権の場合>


リースの下で保有され投資不動産として分類される不動産賃借権の初期原価は、IAS第17号のファイナンス・リースについての定めに従い、不動産の公正価値又は最低支払リース料の現在価値のどちらか低い方で認識しなければなりません。そして、同等の金額を負債として認識しなければなりません。(IAS40.25)また、リースに対して支払われた、いかなるプレミアムも、最低支払リース料の一部として取り扱い、資産の取得原価に含めなければなりません。

リースの下で保有される不動産賃借権が投資不動産として分類される場合には、公正価値で会計処理される項目は、当該賃借権であり原不動産ではありません。したがって、公正価値モデルを採用する場合は、不動産賃借権の公正価値の算定に関する指針(「7.公正価値モデル」参照)を適用しなければなりません。当該指針は、当初の認識目的の取得原価として、その価値が使用される場合の公正価値の決定にも適用されます。(IAS40.26)

なお、市場レートで締結されているリース契約では、すべての想定される支払リース料(認識された負債にかかわる支払を含む)を控除した取得時のリース不動産の賃借権の公正価値はゼロとなります。したがって、公正価値モデルを採用することによりリース資産を公正価値に再測定することで、公正価値が異なる時点で測定される場合は別として、初期の認識において利得又は損失が生じることはありません。(IAS40.41)

 

<交換取引の場合>

1ないし複数の投資不動産が、非貨幣性資産又は資産.又は貨幣性資産と非貨幣性資産の組合せとの交換により取得されることがあります。交換取引により取得した投資不動産の取得原価は、交換取引が経済的実質を有しないか又は受領される資産及び引き渡される資産の公正価値がどちらも信頼性をもって測定できない場合以外は公正価値で測定されます(引き渡された資産の認識を即座に中止することができなくても、この方法で測定します)。一方、取得した資産が公正価値で測定されない場合には、その取得原価は引き渡した資産の帳簿価額で測定すします。(IAS40.27)

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