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IAS第36号「資産の減損」(3/3)

(平成23年1月31日現在)

12.減損損失の戻入れ −兆候の評価−

企業は各報告期間の末日において、過年度にのれん以外の資産ついて認識した減損損失がもはや存在しないか、または減少している可能性を示す兆候があるか否かを評価しなければなりません。そのような兆候が存在する場合には、企業は当該資産の回収可能性の見積りをしなければなりません。(IAS36.110)

 

過年度ののれん以外の資産について認識した減損損失がもはや存在しないか、あるいは減少している可能性を示す兆候があるか否かを評価する場合に、企業は最低限、次の兆候を考慮しなければなりません。(IAS36.111)

 

【外部の情報源】

・当期中に資産の市場価値が著しく増加していること

・企業が営業している技術的、市場的、経済的または法的環境において、もしくは資産が利用されている市場において、当期中に企業にとって有利な影響のある著しい変化が発生したか、または近い将来において発生すると予想されること

・市場利率または投資についてのその他の市場収益率が当期中に下落し、かつ、これらの下落は、資産の使用価値の計算に用いられる割引率に影響して、資産の回収可能価額を著しく増加させる見込みであること

 

【内部の情報源】

・当該資産が使用されているか又は使用されると予測される範囲もしくは方法に関して当期中に企業にとって有利な影響をもつ著しい変化が発生し、または近い将来において発生すると予測されること。これらの変化は、資産の機能を改善または拡張するため、又は当該資産が所属する事業のリストラクチャリングのために追加された、当該期間に発生した費用を含む

・当該資産の経済的成果が予測していたより良好であるか、または良好であろうことを示す証拠が内部報告から入手できること

 

また、のれん以外の資産について認識した減損損失がもはや存在しないか、あるいは減少している可能性を示す兆候がある場合には、たとえ当該資産の減損損失については戻入れが行われない場合でも、当該資産に適用されるIFRSに従って、残存耐用年数、減価償却(償却)方法、残存価額を再検討し、修正する必要があることが示されている可能性があるため注意が必要です。(IAS36.113)

 

上記の兆候の例示のとおり過年度においてのれん以外の資産について認識された減損損失は、減損損失が最後に認識されてから、当該資産の回収可能価額の算定に用いられた見積りに変更があった場合にのみ、すなわち資産の用役潜在力が増加した場合のみ戻入れをしなければなりません。

単なる時間の経過による割引の巻き戻しを理由として減損損失を戻入れることは禁止されています。(IAS36.114,116)

13.個別資産に係る減損損失の戻入れ

評価の結果、減損の戻入の兆候が存在する場合、資産の帳簿価額はその回収可能価額まで増加させなければなりません。当該増加が減損の戻入れになります。

ただし、減損損失の戻入によって増加した、のれん以外の資産の帳簿価額は、過年度において当該資産にについて認識された減損損失がなかったとした場合の(償却または減価償却控除後の)帳簿価額を超えてはなりません。(IAS36.117)

 

<会計処理>

のれん以外の資産についての減損損失の戻入れは、他のIFRS(例えば、IAS第16号における再評価処理)に従って、当該資産が再評価金額で計上されている場合を除き、直ちに純損益として認識しなければなりません。

再評価された資産についての減損損失の戻入れは、当該他のIFRSに従って、再評価額の増加として処理しなければなりません(IAS36.119)

 

減損損失の戻入が認識された後の、資産の減価償却(償却)費は、将来の期間にわたり、当該資産の改訂後の帳簿価額から、(もしあれば)その残存価額を控除した金額を、その残存耐用年数にわたって規則的に配分するように修正しなければなりません。(IAS36.121)

14.資金生成単位に係る減損損失の戻入れ

資金生成単位についての減損損失の戻入れは、当該単位中ののれん以外の資産の帳簿価額に比例的に配分しなければなりません。この帳簿価額の増加は、個別の減損損失の戻入として処理します。(IAS36.122)

 

ただし、資金生成単位に対する減損損失の戻入の配分において、資産の帳簿価額は、次のどちらか低い方を超えて増額してはいけません。(IAS36.123)

・回収可能価額(算定可能な場合)

・過年度において当該資産について認識された減損損失がなかった場合(償却または減価償却控除後)の帳簿価額

上記の定めによって当該資産に配分できなかった減損損失の戻入の金額は、当該単位ののれん以外の他の資産に比例的に配分しなければなりません。

15.のれんにかかる減損損失の戻入れ

のれんについて認識された減損損失は、以後の期間において戻し入れてはなりません。(IAS36.124)

 

16.開示

<財務諸表項目に関する開示事項>

資産の種類ごとに、財務諸表には次の事項を開示しなければなりません。(IAS36.126)

 @ 当期中に純損益に認識された減損損失の金額およびこれらの減損損失を含んでいる包括利益計算書の表示項目

 A 当期中に純損益に認識された減損損失の戻入れの金額及びこれらの減損損失の戻入を含んでいる包括利益計算書の表示項目

 B 当期中にその他の包括利益に認識された減損損失の金額

 C 当期中にその他の包括利益に認識された減損損失の戻入の金額

 

<セグメントごとの開示事項>

IFRS第8号に従ってセグメント情報を開示している企業は、各報告セグメントについて、次の事項を開示しなければなりません。(IAS36.129)

 @ 当期中に純損益に認識された減損損失およびその他の包括利益に認識された減損損失の金額

 A 当期中に純損益に認識された減損損失の戻入およびその他の包括利益に認識された減損損失の戻入の金額

 

<減損会計に関する開示事項>

当期中にのれんを含む個別資産または資金生成単位について減損損失が認識または戻入られた場合、そしてそれらが報告企業の財務諸表全体にとって重要な場合には、企業は次の事項を開示しなければなりません。(IAS36.130)

 @ 減損損失の認識または戻入れに至った事象および状況

 A 認識または戻入れされた減損損失の金額

 B 個別資産について

・当該資産の性質

・もしIFRS第8号に従ってセグメント情報を報告している場合には、資産が所属する報告セグメント

 C 資金生成単位について

・当該資金生成単位の記述(例えば、生産ライン、工場、事業、地域、またはIFRS第8号に定義されている報告セグメントのうち、どれに該当するか)

・資産の種類ごとに認識または戻入れされた減損損失の金額、または企業がIFRS第8号に従ってセグメント情報を報告する場合、報告セグメント別に、認識または戻入された減損損失の金額

・当該資金生成単位を識別するための資産の集合が、以前の資金生成単位の回収可能価額の見積り(もしあれば)から変更されている場合には、企業は資産の集合の現在と以前の集計方法の記述、および資金生成単位の識別方法の変更理由

 D 当該資産(資金生成単位)の回収可能価額が、売却費用控除後の公正価値または使用価値のどちらであるか

 E 回収可能価額が売却費用控除後の公正価値の場合には、売却費用控除後の公正価値を決定するために使用された基礎(例えば、売却価額が活発な市場での価格を参照して決定されているか)

 F 回収可能価額が使用価値にの場合には、使用価値の現在および以前の見積り(もしあれば)に用いられた割引率

 

なお、当期中に認識または戻入された減損損失の合計について、上記に従って開示される情報がない場合に、次の情報を開示しなければなりません。(IAS36.131)

・減損損失の影響を受ける主な資産の種類および減損損失の戻入の影響を受ける主な資産の種類

・減損損失の認識および減損損失の戻入れをもたらした、主な事象および状況

 

<未配分ののれんに関する開示事項>

当期中に発生した企業結合の取得したのれんの一部が報告期間の末日現在で資金生成単位(単位グループ)に配分されていない場合には、配分されていないのれんの金額を、その金額が配分されていない理由とともに開示しなければなりません。(IAS36.133)

 

<のれん又は耐用年数を確定できない無形資産に関する開示事項>

資金生成単位(単位グループ)に配分されたのれんまたは耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額が、企業全体ののれん又は耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額に比して重要性がある場合には、当該各資金生成単位(単位グループ)について、次の情報を開示しなければなりません。(IAS36.134)

 @ 当該単位(単位グループ)に配分された、のれんの帳簿価額

 A 当該単位(単位グループ)に配分された、耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額

 B 当該単位(単位グループ)の回収可能価額の算定基礎(例えば、使用価値か売却費用控除後の公正価値か)

 C 当該単位(単位グループ)の回収可能価額が使用価値に基づく場合には、次の事項

・直近の予算/予測によって対象とされた期間のキャッシュフローの予測について、経営者が基礎とした主要な仮定の記述。主要な仮定とは、当該単位(単位グループ)の回収可能価額が最も敏感に反応する仮定である。

・各々の仮定に割り当てた値を算定した経営者の手法の記述。それらの値が過去の経験を反映したものかどうか、または該当があれば、外部の情報源と整合的であるかどうか。そうでない場合には、過去の経験または外部の情報源と異なる程度およびその理由

・経営者が、資金生成単位(単位グループ)について、承認した財務上の予算/予測に基づいてキャッシュフローの予測を行った期間およびその期間が5年よりも長い場合には、そのような期間が正当である理由についての説明

・直近の予算/予測が対象としている期間を超えてキャッシュフロー予測を推定するために用いた成長率および成長率として当該企業が事業を営む製品、産業もしくは国の長期の平均成長率を用いている場合には、その正当性の説明

・キャッシュフロー予測に適用した割引率

 D 当該単位(単位グループ)の回収可能価額が、売却費用控除後の公正価値に基づく場合には、売却費用控除後の公正価値を算定するにあたって用いた方法論。売却費用控除後の公正価値が、当該単位(単位グループ)の観察可能な市場価格を用いて決定されていない場合には、次の情報についても開示しなければなりません。

・経営者が売却費用控除後の公正価値の決定にあたって基礎とした、主要な仮定の記述。主要な仮定とは、資金生成単位の回収可能価額が最も敏感に反応する仮定である。

・主要な仮定のそれぞれに割り当てた値を算定した経営者の手法の記述。それらの値が過去の経験を反映したものかどうか、または該当があれば、外部の情報源と整合的だあるかどうか。そうでない場合には、過去の経験または外部の情報源と異なる程度およびその理由

売却費用控除後の公正価値が、割引キャッシュフロー予測を用いて算定されている場合には、次の情報も開示しなければなりません。

・経営者がキャッシュフローを予測した期間

・キャッシュフロー予測を延長するのに用いた成長率

・キャッシュフロー予測に対して適用した割引率

 E 当該単位(単位グループ)の回収可能価額の算定にあたり、経営者が基礎として主要な仮定に合理的な変更の可能性があり、それにより当該単位(単位グループ)の帳簿価額が回収可能価額を上回ることになる場合には、次の事項

・当該単位(単位グループ)の回収可能価額が帳簿価額を上回っている金額

・主要な仮定に割り当てられた値

・当該単位(単位グループ)の回収可能価額を帳簿価額と等しくするには、主要な仮定に割り当てられた値がどれだけ変わらなければならないか(その変動が回収可能価額の測定に使用される他の変数に与える影響を反映した後)

 

 なお、のれん又は耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額の一部または全部が、複合的な資金生成単位(単位グループ)にわたって配分される場合で、かつ、各単位(単位グループ)に配分された金額が、企業全体ののれん又は耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額に比して重要ではない場合には、当該事実は、当該単位(単位グループ)に配分されたのれん又は耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額の合計とともに開示しなければなりません。

さらに、それらの単位(単位グループ)の回収可能価額が同じ主要な仮定に基づいており、かつ、のれんまたは耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額の合計が、企業全体ののれん又は耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額に比して重要である場合には、次の情報とともに当該事実を開示しなければなりません。(IAS36.135)

 @ 当該単位(単位グループ)に配分された、のれんの帳簿価額の合計

 A 当該単位(単位グループ)に配分された、耐用年数を確定できない無形資産の帳簿価額の合計

 B 主要な仮定の記述

 C 主要な仮定のそれぞれに割り当てた値を算定した経営者の手法の記述。それらの値が過去の経験を反映したものかどうか、又は該当があれば、外部の情報源と整合的であるかどうか。そうでない場合には、過去の経験または外部の情報源と異なる程度およびその理由

 D 該当単位(単位グループ)の回収可能価額の算定にあたり、経営者が基礎とした主要な仮定に合理的な変更の可能性があり、それにより当該単位(単位グループ)の帳簿価額が回収可能価額を上回ることになる場合には、次の事項

・当該単位(単位グループ)の回収可能価額が帳簿価額を上回っている金額

・主要な仮定に割り当てた値

・当該単位(単位グループ)の回収可能価額を帳簿価額と等しくするには、主要な仮定に割り当てた値がどれだけ変わらなければならないか(その変動が回収可能価額の測定に使用される他の変数に与える影響を反映した後)

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