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IAS第28号「関連会社に対する投資」

(平成22年7月31日現在)

1.関連会社に対する投資(総論)

 本シリーズでは、関連会社に対する投資について、IAS28号「関連会社に対する投資」を中心に解説していきます。

 関連会社とは、投資企業が重要な影響力を有し、かつ、投資企業の子会社でもジョイント・ベンチャーに対する持分でもない企業(パートナーシップ等の法人格のない事業体を含む)をいいます(IAS28.2)。子会社に対する投資については、IAS27号「連結及び個別財務諸表」に従って、連結会計を適用して会計処理が行われます。一方で、関連会社に対する投資については、一部の例外を除き、持分法を用いて会計処理されることになります(IAS28.13)。なお、持分法とは、投資を最初に原価で認識し、それ以後、被投資企業の純資産に対する投資企業の持分の取得後の変動に応じて修正する会計処理をいいます。投資企業の純損益には、被投資企業の純損益に対する投資企業の持分が含まれます(IAS28.2)。

 関連会社に対する投資の会計処理においては、ベンチャー・キャピタル企業、ミューチュアル・ファンド、ユニット・トラスト及び投資連動保険ファンドを含むその他の類似の企業において、関連会社に対する投資について、IAS39号「金融商品:認識及び測定」に従って、当初認識時において純損益を通じて公正価値で測定するものとして指定されているか(すなわち、公正価値オプションの選択)又は売買目的保有に分類されているものに関しては、IAS28号の対象外とし、IAS39号に従った会計処理が行われることになります(IAS28.1)。すなわち、これらの企業においては投資活動そのものが本業であり、持分法ではなく、公正価値の測定によって純損益を取り込むとしても、特に問題がないと考えられるためです。

2.関連会社の範囲の検討

 投資企業が、直接的に又は間接的に保有している被投資企業の議決権割合が20%以上である場合には、明らかな反証が認められない限り、当該投資企業は、重要な影響力を有していると推定されます。反対に、投資企業が、直接的に又は間接的に保有している被投資企業の議決権割合が20%未満である場合、重要な影響力を与えている明らかな反証がない限り、当該投資企業は、重要な影響力を有していないと推定されます。他の投資企業が大部分又は過半数を所有していたとしても、ある投資企業が重要な影響力を有している場合もあります(IAS28.6)。

 投資企業による重要な影響力は、通常、次の1つ又は複数の方法によって証拠づけられます(IAS28.7)。

 

1 被投資企業の取締役会又は同等の経営機関への参加
2 配当やその他の分配の決定への参加などを含む、方針の決定過程への参加
3 投資企業と被投資企業間の重要な取引
4 経営陣の人事交流
5 重要な技術情報の提供

 

 なお、重要な影響力の判断における議決権の数については、連結と同様、潜在的議決権の存在について考慮します。現時点で、行使又は転換可能なものに限定することや、経営者の意図及び行使又は転換のための財務能力を無視する点などは、連結範囲の検討と同様です(IAS28.8〜9)。

3.持分法の非適用

 持分法は、以下の場合、適用しません(IAS28.13)。

 

1 当該投資が、IFRS5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に従って、売却目的保有に分類される場合
2 関連会社に対する投資を保有する親会社が連結財務諸表を表示しなくてもよいことを許容しているIAS27号第10項の例外を適用する場合
3

下記の事項のすべてが適用される場合

●投資企業が100%子会社、又は他の企業が一部を所有している子会社であり、議決権を付与されていない者を含む他の所有者は、当該投資企業が持分法を適用していないことについて知らされており、そのことに反対していない場合

●投資企業の負債証券又は持分証券が公開市場(国内又は外国の株式市場、あるいは地域市場を含む店頭市場)において取引されていない場合

●投資企業が、公開市場で何らかの証券を発行する目的で証券委員会又はその他の規制当局に対し財務諸表を提出しておらず、提出する過程にもない場合

●投資企業の最上位又は中間の親会社が、国際財務報告基準に準拠した公表用の連結財務諸表を作成している場合 

 

 上記1に該当する場合には、IFRS5号に従って会計処理されることになります。また、従前は売却目的保有に分類されていたために持分法が適用されていなかった場合であっても、その要件を満たさなくなったことで持分法を適用することとなった場合には、売却目的保有として分類された日から持分法を用いて会計処理しなければならず、売却目的保有への分類以降の期間の財務諸表は、それに従って修正しなければなりません(IAS28.15)。

4.持分法の適用

 潜在的議決権が存在する場合には、被投資企業の純損益及び被投資企業の資本に対する投資企業の持分は、現在の所有持分を基準に決定され、潜在的議決権の行使又は転換の可能性を反映しません(IAS28.12)。また、関連会社に対する企業集団の持分は、親会社及びその子会社が関連会社に対して保有している持分の合計となります。企業集団のその他の関連会社又はジョイント・ベンチャーによる保有分はこの場合考えないものとします。関連会社が子会社、関連会社又はジョイント・ベンチャーを有している場合には、持分法を適用するうえで考慮する純損益及び純資産は、関連会社の財務諸表で認識された金額に、統一した会計方針を実行するのに必要な修正を加えたものとなります(IAS28.21)。

 持分法が適用される場合、関連会社に対する投資は最初に原価で認識され、その帳簿価額は、株式取得日以降における被投資企業の純損益のうち投資企業の持分法を認識するために、増額又は減額されます。被投資企業の純損益のうち投資企業の持分は、投資企業の純損益に認識されます。被投資企業から受け取った分配は、当該投資の帳簿価額の減額とします。投資企業の被投資企業に対する比例持分の変動についても、帳簿価額の修正が必要となる場合があります。このような変動には、有形固定資産の再評価及び外貨換算差額によって生じた変動が含まれます。これらの変動に対する投資企業の持分は、投資企業のその他の包括利益に認識されます(IAS28.11)。

 関連会社に対する投資は、関連会社に該当することとなった日から持分法を用いて会計処理します。投資原価と関連会社の識別可能な資産及び負債の正味の公正価値のうち投資企業の持分相当との差額(いわゆる、「のれん相当額」)は、投資の帳簿価額に含め、のれん相当額の償却は認めず、いわゆる負ののれん相当額の場合には収益として認識されます(IAS28.23)。現行の日本基準では、のれん相当額が定期償却される点と異なる処理となります。

 また、関連会社に、投資企業以外の者が保有していて資本に分類されている累積的優先株の発行残高がある場合には、投資企業は、配当宣言の有無にかかわらず、純損益に対する持分を、当該株式に対する配当額について修正後で計算します(IAS28.28)。

 投資企業と関連会社の間のアップストリーム取引及びダウンストリーム取引により生じる純損益は、当該関連会社に対して関係のない投資企業の持分の範囲についてのみ、投資企業の財務諸表に計上します(IAS28.22)。

  

5.重要な影響力を喪失した場合

 投資企業は、関連会社に対し重要な影響力を喪失した日から持分法の使用を中止し、その日以降は、IAS31号で定義されている子会社又はジョイント・ベンチャーとならない限り、IAS39号に従って当該投資を会計処理しなければなりません。重要な影響力を喪失した時には、投資企業は以前の関連会社に対する残存投資を公正価値で測定しなければなりません。投資企業は、残存投資の公正価値及び関連会社に対する投資の一部の処分による収入と重要な影響力を喪失した日現在の投資の帳簿価額との差額を純損益として認識します(IAS28.18)。投資が関連会社でなくなりIAS39号に従って会計処理される場合には、関連会社でなくなった日現在の投資の公正価値を、IAS39号に従って金融資産として当初認識する時の公正価値とみなさなければなりません(IAS28.19)。これは、連結における支配を喪失した場合の処理と同様です。

 また、投資企業は当該関連会社に関してその他の包括利益に認識されたすべての金額を、関連会社が関連する資産又は負債を直接処分したとした場合に要求されるのと同じように会計処理しなければなりません。従って、関連会社が以前にその他の包括利益に認識した利得又は損失が、関連する資産又は負債の処分時に純損益に振り替えられるのであれば、投資企業は関連会社に対して重要な影響力を喪失した時に、その利得又は損失を資本から純損益に振り替えます。例えば、関連会社が売却可能資産を有していた場合、以前その他の包括利益として認識していた利得又は損失を純損益に振り替えます。

 なお、関連会社に対する投資企業の所有持分が減少したものの、引き続き関連会社投資となる場合には、投資企業はその他の包括利益に以前に認識した利得又は損失の、比例金額のみを純損益に振り替えなければなりません(IAS28.19A)。

6.関連会社の超過損失の処理

 関連会社の損失に対する投資企業の持分が、関連会社に対する持分と等しいか又は超過する場合には、投資企業はそれ以上の損失について持分相当額を認識しません。関連会社に対する持分は、実質的に関連会社に対する投資企業の正味投資の一部を構成する長期の持分と、持分法に従って処理された関連会社に対する投資の帳簿価額です。例えば、決済が計画されていないか又は予見できる将来に決済される可能性が少ない項目は、実質的に関連会社に対する投資の延長で、優先株式、長期債権及び長期貸付などが含まれますが、営業債権、営業債務又は適切な担保が存在する長期債権は含まれません。投資企業の普通株式に対する投資額を超えて持分法で認識される損失は、投資企業の関連会社に対する持分のその他の構成部分が、優先順位の下位から順番に割り当てられます(IAS28.29)。

 投資企業の持分がゼロにまで減少した後の追加的な損失は、投資企業に生じる法的債務、推定的債務又は投資企業が関連会社の代理で支払う金額の範囲まで計上され、負債が認識されます。関連会社がその後に利益を計上した場合、当該利益に対する持分が、認識されていない損失に対する持分と等しくなった後に、投資企業は当該利益に対する持分の認識を再開することなります(IAS28.30)。

7.関連会社の減損損失

 投資企業は、上記の会計処理を実施した後、関連会社に対する純投資の追加の減損損失を認識すべきかIAS39号を適用して判断します。なお、投資の帳簿価額の一部を構成するのれんは区分して認識されないので、IAS36号「資産の減損」の減損テストは実施しません。

 IAS39号で減損の可能性があると判断された場合には、投資全体の帳簿価額について、回収可能価額(使用価値と売却費用控除後の公正価値のうち高い方)を帳簿価額と比較することにより、単一の資産としてIAS36号に従って減損テストを行います。

 投資の使用価値を決定する際には、次のいずれかを見積もります(IAS28.33)。

 

1 関連会社の事業活動によるキャッシュ・フロー及び投資の最終的な処分による収入額を含めて、関連会社が生み出すと期待される見積将来キャッシュ・フローの現在価値に対する持分
2 当該投資家らの配当及び当該投資の最終的な処分により発生すると予想される見積将来キャッシュ・フローの現在価値

 

 なお、当該減損損失の戻入れは、投資の回収可能価額がその後に増加した範囲で、IAS36号に従って認識されます。

 関連会社に対する投資の回収可能価額は、関連会社ごとに評価します。ただし、関連会社が、企業の他の資産からのキャッシュ・インフローから概ね独立した、継続的使用によるキャッシュ・インフローを生みださない場合を除きます(IAS28.34)。

8.関連会社の決算日と会計方針の統一

 投資企業は、持分法の適用において入手し得る直近の関連会社の財務諸表を利用します。投資企業の報告期間の末日が関連会社と異なる場合には、関連会社は、実務上不可能な場合を除いて、投資企業のために、投資企業の財務諸表と同じ日付で財務諸表を作成します(IAS28.24)。実務的に不可能な場合に、異なる決算日を用いる場合には、3カ月を超えてはならず、報告期間の長さとその末日の差異は毎期同じでなければらなりません。また、関連会社の決算日と投資企業の決算日との間に生じた重要な取引又は事象の影響について調整を行う必要があります(IAS28.25)。

 投資企業の財務諸表は、類似の状況における同様の取引及び事象に関し、統一した会計方針を用いて作成しなければなりません(IAS28.26)。もし、関連会社が投資企業と異なる会計方針を用いている場合には、投資企業が持分法を適用するために関連会社の財務諸表を用いる際に、関連会社の会計方針を投資企業の会計方針に修正して利用する必要があります(IAS28.27)。

 これらの処理は、連結の場合と特に相違はありません。日本基準上における差異も連結の場合と同様であると考えられます。

9.開示

 次の開示を行わなければなりません(IAS28.37)。

 

1 相場が公表されている関連会社に対する投資の公正価値
2 資産、負債、収益及び純損益の合計額を含む、関連会社の要約財務情報
3 投資企業が直接的又は子会社を通して間接的に有している被投資企業の議決権又は潜在的議決権が20%に達しないため、重要な影響力を有していないと推測されるにもかかわらず、投資企業が重要な影響力を有していると結論付ける理由
4 投資企業が直接的に又は子会社を通して間接的に有している被投資企業の議決権又は潜在的議決権が20%以上であるため、重要な影響力を有していると推測されるにもかかわらず、投資企業が重要な影響力を有していないと結論付ける理由
5 関連会社の財務諸表が持分法を適用する際に用いられており、期末日または期間が投資企業と異なる場合の、関連会社の財務諸表の報告期間の末日及び期末日又は期間が異なる理由
6 関連会社が現金配当又はローンや貸付の返済の形で投資企業に資金を送金する能力に対する、著しい制限の内容と程度(例えば、借入の条項や規制上の要求など)
7 投資企業が関連会社の損失に対する持分の認識をやめている場合に、当期及び累計の当該関連会社の損失に対する未認識の持分
8 関連会社が第13項に従って持分法を用いて会計処理されていない旨
9 持分法を用いて会計処理されていない関連会社の、個別又はグループとしての要約財務情報。これには、資産、負債、収益及び純損益の合計額が含まれる。

 

 持分法を適用して会計処理された関連会社に対する投資は、非流動資産に分類する必要があります。また当該関連会社の純損益のうち投資企業の持分及び当該投資の帳簿価額は、区分開示しなければなりません。当該関連会社の非継続事業に対する投資企業の持分についても区分開示します(IAS28.38)。

 関連会社がその他の包括利益に認識した変動に対する投資企業の持分は、投資企業によりその他の包括利益に認識します(IAS28.39)。

 また、投資企業は、IAS37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」に従って、以下の2点について開示します(IAS28.40)。

 

1 他の投資企業に対して共同で生じた関連会社の偶発負債に対する投資企業の持分
2 投資企業が関連会社の負債の全部又は一部に個別に責任を負っているために生じた負債

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