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2013/08/07 アマゾンCEO、ワシントン・ポスト紙買収

現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。

今日は、日経2面のアマゾンCEOのワシントン・ポスト買収の記事からです。

 

【記事要約】


・米アマゾン・ドット・コムの創業者でCEOのジェフ・ベゾス氏が、米紙ワシントン・ポストを2億5000万ドル(約245億円)で買収する。新聞発行事業を売却後のポスト社は、売上高の半分以上を占める主力の教育や放送関連事業に経営資源を集中。2カ月以内と見込む手続き完了後に社名を変更する。

・オーナー交代が相次ぐ米新聞業界だが、インターネット企業の経営者による有力紙の買収は初めて。苦境にあえぐ名門紙ポストの復活に向け、ベゾス氏がどんな手を打つのかが注目されている。

・1877年に創刊されたポスト紙は、ニクソン大統領の辞任につながった「ウォーターゲート事件」の報道などで知られる。ネット媒体などに押され、1990年代に80万部以上あった発行部数は今年3月には47万部に減少。有料の電子版でも出遅れた。だが政界への影響力は今も別格だ。  

・あくまで個人的な買収で、アマゾンは直接には関係ないとしているが、額面通りに受け止める向きは少ない。電子書籍から音楽、動画まで幅広いコンテンツを顧客一人ひとりの嗜好に合わせて届けるアマゾンの技術やサービスは、ポスト紙の読者層拡大にも活用できるからだ。米調査団体ピュー・リサーチ・センターによると、新聞を読んでいる人の割合(2012年調査)は、35歳以上の世代では前年比で落ち込んでいるが、18~34歳の世代ではほぼ横ばい。タブレット(多機能携帯端末)の普及で長い記事を読む人が増え、若年層ではコンテンツの需要が高まっているとの見方もある。

<日本経済新聞 2013年8月7日より


 

電子商取引で世界をリードしているアマゾンですが、最近はモノだけでなくコンテンツの取り込みにも積極的です。

キンドルを核とした電子書籍の配信やMP3ストアでの音楽配信などがそうですが、今回の買収により新聞業界にも手を出した格好です。

 

一方、インターネットの普及により日々大量の無料情報が行き交う時代、紙媒体の縮小はどこの国でも同じでということでしょうか。

 

以前のビズブロでも、媒体別シェアで新聞を抜いてインターネットが広告媒体としては2番目の市場規模にまで成長している点について触れました。

 

2012/03/21 広告大手 ネット強化へ新組織

それでは苦境のワシントンポスト社の最近の収益状況を見てみます。

 

売上高、事業セグメント別の損益状況、発行部数の最近の推移をグラフ化すると下記のとおりです。

 

上記の棒グラフの緑色部分が新聞事業ですが、売上高はじり貧傾向、2012年12月期には赤字に転落しています。

発行部数も当然に右肩下がりです。ワシントンポストは1990年代には80万部以上あったといいますから、近年は最盛期の半分程度にまで縮小していたことになります。

 

「米新聞業界では、大リーグ球団レッドソックスのオーナーがNYタイムズ傘下の有力紙ボストン・グローブを買収。米著名投資家バフェット氏も地方紙を次々と買収するなど、再編が相次ぐ。上場するメディア企業が新聞事業を抱え続けるのが難しくなるなか、新聞の社会的な役割や価値を評価する投資家がその受け皿になっている。」(同記事)とあり、インターネット時代で紙媒体が縮小する中、今後もアメリカの新聞業界の再編が続くことが予測されますね。

アマゾンの最近の業況についても簡単に見てみます。

 

売上高の伸びとともに、株価も最高水準に上がっています。 一方、利益も伸びているかというと、直近期は最終赤字ですね。それでも株価は最高水準です。なぜでしょうか。

 

 

アマゾンのコスト構造をもう少し詳しく見てみます。

売上高の成長以上に「フルフィルメント」「テクノロジーおよびコンテンツ」のコストが急成長していることがわかります。

 

「フルフィルメント」はサイトでの注文から配送まで一連の作業にかかるコストを、「テクノロジーおよびコンテンツ」はITインフラやコンテンツにかかるコストです。

成長著しいamazonですが、まだまだ売上高の成長以上に利便性とサイトの魅力を増やすため、物流インフラ、IT技術とコンテンツへと多額の投資が行われていることが読み取れます。市場もそれを織り込んで赤字であろうとも株価は最高水準に達していると考えられます。

 

 

 

近年アップル、グーグル、サムソンなどで熾烈なモバイル端末競争が行われる中、キンドル擁するアマゾンは、独自のサービス展開を行っているいえます。特にアマゾンで配信される電子書籍や音楽は、アップルの端末でも読めるし、聞くことができる点が特徴です。

つまり、同じ電子コンテンツでも、ハードとソフトを一体化させ端末を販売することで稼ぐアップルのようなビジネスモデルとは一線を画するわけです。そんなアマゾンのコンテンツビジネスの今後の展開に注目ですね。

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