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2013/07/31 トヨタ世界生産1000万台 今年、国内20万台上積み

今日は、日経1面のトヨタ世界生産1000万台の記事からです。

 

【記事要約】


・トヨタ自動車は2013年のグループ世界生産を1010万台程度とする計画をまとめた。

・ハイブリッド車の販売が好調のほか、円台修正に伴う輸出拡大により国内生産を中心に当初計画より20万台程度増える。

世界の自動車メーカーで年間生産台数が1000万台を突破するのはトヨタグループが初めて

・トヨタは12年8月、12年の生産を1005万台とする計画を発表したが、尖閣問題をめぐって日中関係が悪化した中国での販売が低迷。12年の生産台数は990万台にとどまった。最近は中国の販売も回復基調にある。

<日本経済新聞 2013年7月31日より


 

 トヨタ自動車の年間生産1000万台の話は、以前も報道されたことがあり、実際は上記のとおり990万台でとどまっていました。これについては、以前のBizBlogでも取り上げています。

 

2012/08/06 トヨタ、初の1000万台(ダイハツ、日野を含む)

【リソース】IKP-BizBlogより

 

 

 1000万台に届かなかった要因は、上記の日経の記事では中国販売が低迷したことが挙げられています。

 

 今日は、トヨタ自動車の6年間の業績推移について簡単に確認してみたいと思います。

◆トヨタ自動車の業績推移

トヨタ自動車の6年間の業績推移を簡単にみてみます。

 

【リソース】IKP財務データベース。2013年3月期及び2014年3月期(予)は決算短信より。

 

【リソース】IKP財務データベース。2013年3月期及び2014年3月期(予)は決算短信より。

 

 2008年3月期がリーマンショック前の業績です。2009年3月期にリーマンショックが起き、そこから回復傾向にあります。それでも2008年3月期まで業績は回復していません。

 利益ベースでは、2013年3月期で最終利益が約9621億円とギリギリ1兆円に届かず、2008年3月期の1兆5000億円を超えていた頃に比べたらまだまだ回復していません。ただ、2009年3月期から確実に回復傾向にあり、利益率も売上高営業利益率を7%超えてきています。

 

 次にセグメント別売上高とセグメント別営業利益を確認してみましょう。

 

【リソース】有価証券報告書より。

 

【リソース】有価証券報告書より。

 

 リーマンショック前までは、自動車セグメントでしっかりと営業利益が稼げていましたが、その後は、2期連続で自動車セグメントで営業利益は赤字となり、金融セグメントで利益を稼いでいる状況でした。自動車セグメントが金融セグメントの利益を超えたのは直近であり、リーマンショック後に自動車業界の利益確保が難しくなってきているのが顕著にわかりますね。

 

 最後に地域別セグメントの売上高比率を確認してみましょう。

 

【リソース】有価証券報告書より。

 

 特に顕著な比率の移動はありませんが、日本・北米・欧州のいわゆる先進国向けの売上比率が2008年3月期に7割を超えていたものが、徐々に減少しており、直近で6割程度にまで下がっています。中国を中心としたアジア地域や中東地域でトヨタの販売が増えてきており、順調に業績を伸ばしています。

 今回の日経の記事でもアラブ向けの輸出が順調で国内生産が高まっていることが挙げられていました。

復調にあるトヨタ自動車ですが、中国の成長率が鈍化している中で世界経済の不透明感がぬぐえませんね。

 

実質経済成長率の推移 - 世界経済のネタ帳

【リソース】世界経済のネタ帳 http://ecodb.net/country/CN/imf_growth.html

 

 日本に比べればまだまだ高成長ではありますが、直近では7.80%と8%をきっています。最近では、「シャドーバンキング(影の銀行)」の問題点についても報道されていますね。シャドーバンキングは金融当局に実態を把握されていないこともあり、これがどれだけ中国経済に影響を与えているのかすらもわかっていないと報道されています。金融は経済の血流ですから、これはナカナカ大きな問題と言えます。「第二のサブプライム問題になるのではないか」とも言われていますね。

 

 中国経済はユーロ向け輸出などで支えられているところが強いですが、欧州は債務危機問題が現在では落ち着いていますが、火種はいくつもくすぶっています。今年の4月でもイタリア政局が空転して、イタリア国債の金利が一時高い水準まで上昇しました。一方で、イタリア中銀のロッシ副総裁は、ユーロ圏のソブリン危機はおおむね終息し、域内の国債利回りは各国の経済状況に正当化される水準に近づいたとの認識を示しているようですが(ロイター通信より)。。

 

 一方、北米では、FRBがQE3の年内縮小に意欲を示しはじめ、金融業界では警戒感が強まっています。米国債10年物利回りは、5月に1.6%程度であったものが直近では2.6%まで上昇しています。この金利上昇が米国経済の冷や水にならないかと賛否両論ですが、雇用統計などの数字では米国経済の強さが出てきていますね。

 日本では春頃に言われていた金利のボラティリティも落ち着きつつあり、米国債の金利上昇に今のところは釣られている感じはありません。ただ、長期的には円相場と金利に大きな影響を与えるので、今後の米国経済やFRBの経済政策には注視しなければなりません。

 また国内事情だけで言うと、来年4月から消費税が5%⇒8%に増税されるのが1つのターニングポイントになる可能性がありますね。参議院選挙でねじれが解消され、おそらく順当に増税が決定されるだろうと想像できますが、消費税増税によって消費者マインドの変化がどうでるか不透明感があると言えます。しかし、一方で、財政再建の道筋をつけなければ日本国債金利が高まる可能性が十分にあり、金利上昇により日本経済がダメージを受けざるを得ません。難しい判断と舵取りが要求されると思われます。

 

 さて、今日の日経の11面には、自動車国内生産が10.9%減であることが掲載されています。エコカー補助金が終了したことで国内販売が落ち込んだうえ、生産の海外移管も進んだため、前年同期比10.9%減となったようです。

 国内需要をみるとアベノミクスによる経済回復により自動車販売が伸びる可能性がありますが、「若者の自動車離れ」「人口減少」といった根本的な問題を解決することはできないため減少傾向が進むと思われ、海外での販売増加が今後の業績にも影響を与えます。

 

 世界経済は不透明感がありますので順風満帆とは言えないでしょうが、今後のトヨタの動向に注目していきたいですね。

以  上

 

 

 

 

 

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