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2012/08/13 IT技術者派遣拡大 パソナ、クラウド保守担う

今日は、本日日経朝刊9面のパソナの記事からです。

 

【記事要約】


・人材各社がIT分野の人材派遣サービスを拡大する。

パソナグループは9月から、クラウド大手の米セールスフォース・ドットコムのシステムを利用する企業へのIT人材の派遣を始める。登録スタッフにソフト開発のテラスカイの研修を受講させ、セールスフォースの認定資格を取得、企業に派遣してクラウドシステムの運営・保守を担う。1年間で約100人の派遣を目指す。

・マンパワーグループは正社員として新卒採用する学生などをIT技術者に育成する。製造業での評価試験や金融機関などのサーバ管理を担当させる。

・テンプホールディングスは子会社と共同で、企業が導入する米アップル製のスマートフォンとタブレットの保守管理の受託サービスを始めた。

IT人材は企業の旺盛な投資で不足感が出ており、派遣料金も割高とされる。一般的な労働者の平均派遣料金は1時間当たり2100円前後だが、IT保守運用では2200円〜2700円が相場だという。企業は業務効率化のためにIT投資を加速しており、今後も保守運用などを中心にサービス関連の受注が期待できる。低迷する主力の事務派遣を補う分野として各社は力を入れる


  

人材派遣業界といえば、2008年秋の「リーマン・ショック」に端を発した"世界同時不況"のあおりを受けて製造業を中心に「派遣切り」や「雇い止め」が続出し、社会的批判高まりました。

これら諸問題への対策として、製造業派遣の原則禁止、登録型派遣の原則禁止などを盛り込んだ改正案が国会に提出されましたが、その後先送りされていました。

しかし、2011年、民主・自民・公明3党により、改正案の中から「製造派遣、登録型派遣の原則禁止」等を除外した修正案が提出され、2012年3月8日に労働者派遣法改正法案が衆議院で可決、3月28日に参議院で可決、成立に至っています。

(参考情報:http://www.tempstaff.co.jp/magazine/nippon/vol4.html

 

業界としては安心したのもつかの間、製造業市場では日本企業の海外移転の加速化や製造派遣から製造請負へのシフトが起きており、依然先行き不透明といえますね。

それでは、総合人材サービス国内大手3社のステータスを俯瞰してみてみます。

 

リクルート テンプHD パソナグループ
証券番号 非上場 2181 2168
直近通期  平成24年3月期  平成24年3月期 平成24年5月期

直近売上高(百万円)

806,661

233,195

181,498

直近営業利益(百万円)

115,043

8,170

1,964

直近営業利益率(%)

14.26

3.50

1.08

直近経常利益(百万円)

117,617

8,434

2,091

直近当期純利益(百万円)

37,451

3,482

29

個社年度財務情報(当社DB) N/A

テンプHD_通期.pdf

パソナグループ_通期.pdf

人材派遣事業の属するセグメント名 人材関連事業 人材派遣、人材紹介

エキスパートサービス

(人材派遣)

インソーシング

(委託・請負)

人材派遣事業の属する直近セグメント売上高

(百万円)

493,435 198,178 156,028

人材派遣事業の属する直近セグメント営業損益

(百万円)

56,226 6,220 2,211

人材派遣事業の属する直近セグメント営業損益率

(%)

11.39

3.13

1.41

※ パソナは決算短信情報より

 

各社セグメントの詳細範囲が異なるため、 一概にはいえませんが、パソナの利益率の低さが目立ちます。

 

ちなみに世界の大手3社の売上規模は以下のとおりです。

リクルートが2013年3月期に連結売上高1兆円超えを見通しで、今後も海外でのM&Aに積極的に動くようですが、世界のトップ3は売上高1.5兆円レベルです。世界トップ3に入るには時間がかかりそうですね。

 

2012/06/26 リクルート上場へ 欧米でM&A加速

 

■アデコ(スイス)

売上高 20,545 million €(1,972,320百万円)、営業利益 763 million €(73,248百万円)、営業利益率 3.7%

 

■マンパワー(米)

売上高 22,006 million $(1,716,468百万円)、営業利益 524 million $(40,872百万円)、営業利益率2.3%

 

■ランスタッド・ホールディングス(オランダ)

売上高 16,224 million €(1,557,504百万円)、営業利益 249 million €(19,422百万円)、営業利益率1.5%

最後にパソナの全体およびセグメント別の過去5年間の業績推移を簡単にみてみます。

 

リーマンショック後急速に落ち込んだ業績も、緩やかに落ち着きを取り戻してきているようです。ただし、市場全体として依然低水準のままで、リーマンショック前の水準に戻るには、新たな成長戦略が必要といえます。

 

日本企業の海外移転や製造派遣から製造請負へのシフト、労働者派遣法の改正など規制強化などで、先行き不透明の中、リクルートのように海外に活路を見出すのか、それとも今回の記事のように、クラウドなど成長分野での専門性の高い人材サービスを展開するのか、人材サービス会社各社は対応に迫られているといえますね。

 

新たな成長戦略をどう実現していか、今後の人材サービス各社の動きに注目です。

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