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2012/05/24 ユナイテッドアローズ、現場重視で集客回復

今日は、日経朝刊17面の「復活企業の研究」に掲載されているユナイテッドアローズについての話題からです。

 

<2012年5月24日 日経朝刊17面 記事要約>


・2012年3月期は前期比42%増の102億円という連結経常最高益を実現した。

・創業者の重松氏が社長から会長に退いた04年、独自企画商品の強化に動いたことが変調のきっかけ。

・「質の高いショップ」というイメージがあったため06年3月期までは成長が続いた。しかし、斬新なデザインは流行に敏感な一部の消費者には受けたが、定番を好む消費者に敬遠され、客足は徐々に鈍った。

・09年3月期には3期連続経常減益となった。

・「商・販・宣の連携という原点に戻ろう」と09年4月に社長復帰した重松氏は顧客ニーズを細かく拾って分析するという原則を徹底した。

・業績回復をけん引したブランドのひとつが「グリーンレーベル リラクシング」。12年3月期売上高は前期比3割増えた。

・不採算ブランドは整理。撤退ブランドは10にのぼる。

・今後は、顧客層拡大のため、自社ブランドを知らない人との接点を増やす戦略を掲げる。新戦略で新たなファンを獲得できるかが成長持続のカギを握る。


<要約記事はここまで>

 

以前のBizBlogでは、ユニクロなどのSPA型のアパレルを中心に取り上げましたが、今回はユナイテッドアローズ(UA)を中心に取り上げようと思います。

 

2011/12/13 ポイント、1割減益 女性向け衣料低迷

◆ユナイテッドアローズ(UA)の業績の趨勢分析

UAは、セレクトショップ発祥で、現在でもセレクトショップに分類されることはありますが、他の小売と同様、PB商品の開発に力を入れています。

決算説明会の質疑応答資料によれば、オリジナル商品の売上比率は、前々期42%、前期46%のようです。

 

UAはセグメントは単一ビジネスで特に開示をしていません。

実際は、主力のユナイテッドアローズ、グリーンレーベル、クロムハーツ事業が大半を占めます。

 

2005年3月期からの売上と経常利益の業績推移をみると以下のとおりです。

 

【リソース】2012年5月9日 ユナイテッドアローズ公表『2012年3月期 決算説明会』資料p18

 

決算説明資料でこのように表現される業績推移は珍しいし、とても面白いですね。

このあたりは、さすがアローズのセンスという感じでしょうか。

創業者の重松前社長のコメントでも収益性の低下は「経営の判断ミスであった」と認めています。

 

2004年に打ち出した「オリジナル強化」の方針そのものは、小売であればトレンドですし、現在もPB商品の強化はアパレル小売に限らず最大の経営テーマと言えるでしょう。

ただ、PB商品の開発は、メーカーが負っていた「開発リスク」という経営リスクを小売業が負うということに他ならず、このリスク管理を適切に行えなければ、当然業績は低迷していきます。

一方で、小売の強みはメーカーと異なり販売部門をかかえ、消費者のニーズを直接感じることができることであり、この強みを使うことで開発リスクを低減させることができるのです。

 

しかし、ユナイテッドアローズの場合、「商品部門の意思を優先したモノ作りとなってしま」ったようです。

重松前社長も「当社の競争優位性は販売部門の声を活かした商品政策を行い、お客様が今欲しい商品とお客様に時代の半歩先を提案する商品のバランスをとること」とコメントしており、小売業態による商品開発の強みを十分に把握しているようです。

 

今回の重松前社長の交代も、2004年と同様、オリジナル強化を方針として強く打ち出しています。

ただ、前回と異なり、今回は「商品プラットフォーム」を構築し、MD業務の安定化を図っているから問題ないと考えているようです。

◆しまむらとの比較

最後に、簡単ですがセレクトショップ型の代表格である「しまむら」と比較してみましょう。

 

 

【リソース】IKP財務データベースより。UAの2012年決算数値は、短信より。

 

これをみると、しまむらは優良企業ですね。

顧客層・商品戦略は真逆に近い2社ですので単純比較はできませんが、しまむらは売上規模4000億円を突破し、利益率も10%弱まできています。

UAは、売上規模ではしまむらの4分の1程度です。営業利益率では今期逆転しています。

 

しまむらの特徴的なのは、在庫開店率の良さでしょうか。

日経の記事でも在庫回転率について言及されていましたが、UAの在庫日数が過去4年で徐々に減っており、在庫圧縮が進んでいることがわかります。

一方で、しまむらは、もとより在庫回転日数が30日を切っており、非常に効率よく在庫が回っていることがわかります。

 

UAはファッション性を重視した経営をしていることから、しまむらほどの在庫効率が達成できるかわかりませんが、MD業務を徹底することで、在庫回転率を高められる商品開発を目指していくべきでしょう。

 

決算発表会の質疑応答では、物流はアウトソーシングしており、物流については白紙状態であると述べています。

しまむらは物流に強みを持っており、それが在庫管理に直結していることがわかります。

 

 

UAは、アマゾンやZOZOTOWNを通じたネット通販売上も100億円を突破し、業績も順調に回復しています。

創業者の重松氏が経営から退き、次の竹田新社長のもと、次のステップにいけるかがポイントでしょう。

PB率を高めるのは当然のこと、内需が低迷する小売りの次の一手は海外展開だとすれば、商社勤務の経歴を持つ竹田新社長のもと、どう攻めていくのか。

注目したいですね。

以 上

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