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2012/02/02 NTTドコモ らでぃっしゅぼーやTOB

今日は、先月末(1月30日)に公表された、NTTドコモのらでぃっしゅぼーや買収案件の話題から。

当社が提供している「TOB Database」でも掲載しましたが、NTTドコモがらでぃっしゅぼーやを完全子会社化(その後、ローソンに上限20%を譲渡)する目的でTOBを発表しました。

 

 

 

◆公開買付者と対象者の基本情報

NTTドコモ(公開買付者)とらでぃっしゅぼーや(対象者)の基本データは以下のとおりです。

公開買付者の基本情報 株価チャート
企業名

潟Gヌ・ティ・ティ・ドコモ

証券番号  9437 EDINET E04463
URL http://www.nttdocomo.co.jp/ 業種 情報・通信 市場 東証1部
財務情報 年度財務情報
対象者の基本情報 株価チャート
企業名 らでぃっしゅぼーや 証券番号 3146 EDINET E22041
URL http://www.radishbo-ya.co.jp/index.html 業種 小売業 市場 JASDAQ
財務情報 年度財務情報
公開買付者と対象者との既存資本関係等
N/A

※各社の「財務情報」は、IKP財務データベースによる。


 

NTTドコモは誰もが知っている携帯電話を運営する会社ですね。

らでぃっしゅぼーやは有機・低農薬野菜を宅配するサービスで、1988年からスタートしています。

キュウサイの連結子会社になった時期もありますが、2006年にはMBOでキュウサイから独立し、2008年にはジャスダックへ再上場しています。

◆NTTドコモの戦略

公開買付届出書によれば、NTTドコモは「2020年ビジョン」として掲げる「HEART〜スマートイノベーションへの挑戦〜」を実現するための確実なステップとして、平成27年度に向けて取り組む方向性を示す「中期ビジョン2015〜スマートライフの実現に向けて〜」を策定しています。

 

中期ビジョン〜スマートライフの実現に向けて

【リソース】NTTドコモHP

 

一方で、らでぃっしゅぼーやは、「こどもとお母さんにとって最も愛される信頼されている企業」をビジョンとし、以下の6項目を対処すべき課題と認識し、企業価値向上に取り組んでいるようです。

 

@顧客視点のマーケティング

より「こどもとお母さん」の視点に立った商品・サービスを生み出す、企画・マーケティング・分析のそれぞれの機能の強化

A品質の強化

 商品のさらなる品質の向上を目指した体制の強化

B生産機能の獲得

「高い品質」と「値ごろ感」を両立する仕組みを構築するための生産機能の獲得 

C3つの販売チャネル

多様化する顧客のニーズに応えるため、顧客の生活シーンに合わせた宅配、店舗、通販の3つの売場の提供

D食を軸とした社会貢献

お客様や生産者と一体となった社会貢献活動を行うことによりファン作りを推進

E成長を担う人材開発

経営ビジョンの実現を担う人材の育成

 

NTTドコモとしては、らでぃっしゅぼーやの事業によってコマース事業への本格展開を加速することができると判断しているようです。

日々の生活の根幹である”食品”は重要な領域で、モバイルで日常的に利用するサービスを提供する点において、事業シナジーが期待できること」を挙げています。

タブレットやモバイル端末を活用したマーケティングの高度化、NTTドコモの顧客基盤を活用した送客モデルの構築、ケータイでの簡易決済による利便性向上など、新たなモバイルとコマース事業とのシナジーが想定されています。

 

NTTドコモでは、5900万人(プレミアム館員5145万人)を抱えており、他社との提携によって培ってきたネット環境での会員化スキームで、らでぃっしゅぼーやの会員増加にも大きく寄与することが想定されます。

 

また、今回のTOBでは、らでぃっしゅぼーやを完全子会社化したのち、ローソンによる最大20%の出資を計画しています。

ローソンの保有する物流ノウハウや共同物流センターの構築等を通じた物流機能の効率化を図るようです。

ローソンの株主にはNTTドコモがおり、すでに様々な形でローソンとNTTドコモは業務展開しているため、小売ビジネスとしてタッグを組んだものと思われます。

◆公開買付価格

公開買付価格 990円 買付け等に要する資金 6,970百万円 公表前日終値 714円

 

◆プレミアムの状況

対前日取引日終値対過去1カ月終値単純平均対過去3カ月終値単純平均対過去6カ月終値単純平均
38.7% 38.1% 36.6% 38.1%

 

公開買付価格と各プレミアムは上記のとおりです。

プレミアムは4割ぐらいなので一般的と言えるかと思います。

◆バリュエーションの状況

公開買付者による評価状況
第三者算定機関 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
フェアネスオピニオンの有無
評価方法1 市場株価分析 評価額1 717円から725円
評価方法2 類似会社比較分析 評価額2 564円から777円
評価方法3 DCF分析 評価額3 941円から1,145円
対象者による評価状況
第三者算定機関 野村證券
フェアネスオピニオンの有無
評価方法1 市場株価平均法 評価額1 714円から725円
評価方法2 類似会社比較法 評価額2 661円から941円
評価方法3 DCF法 評価額3 777円から1,477円

 

バリュエーションの状況は、上記のとおりです。一般的な評価方法ですね。

らでぃっしゅぼーやは、売上水準もフラットですし、現時点で安定経営しているというところでしょうか。

食の安全・安心は震災を契機に機運が高まりつつありますが、直近の四半期をみるとそれほど売上に反映されているわけではなさそうです。

 

らでぃっしゅぼーや四半期財務情報.pdf

【リソース】IKP財務データベース

 

また、大株主のジャフコもそろそろ投資回収時期ともいえますので(MBOは2006年)、成長もジリ貧で回収タイミングとしてはちょうどというところでしょうか。

 

一方で、スマホの普及に伴い、ソフト関連ビジネスは成長が見込まれており、NTTドコモとしてはECサイトは注目していたものと思われます。

らでぃっしゅぼーやがどこまでモバイル世代に受け入れられるかは未知数ですが、NTTドコモ利用者はどちらかというと年配層であることを考慮すると、使いようによってはらでぃっしゅぼーやの会員数増加に想像以上の効果を発揮するかもしれませんね。

また、別の側面でみれば決済方法を携帯利用料と同時に請求する簡便性というのは侮れないもので、そういった部分のシナジーも期待できるかもしれません。

 

今後は、NTTドコモだけでなく携帯キャリアとECサイト系のソフト関連企業の関係性・動向は注目したいところですね。

以上

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