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2012/01/19 テルモ、30年ぶり国内工場

本日は2012年1月19日の日本経済新聞朝刊の医療機器メーカーの「テルモ」の記事を取り上げます。テルモといえばオリンパスが経営再建のための資本・業務提携先の候補企業の1つとして報道されていますね。

記事の要点は以下のとおりです。

 


・テルモは山口県に医療機器の新工場を設ける。2015年春に稼働、総投資額は約300億円。カテーテルなどの心臓血管治療関連機器や薬剤入り注射などを生産。

国内工場は、静岡・山梨に集中。西日本にも拠点を増やすことにより、需要拡大に対応しながら事業継続性も確保する。

・採血用注射器などの汎用品はフィリピンやベトナムなど海外へ生産移管を進める一方、高度な技術が必要な製品は国内での生産を維持する方針。

・カテーテル治療は身体への負担が少ないため世界的に需要が高まっており、年率10%以上の成長を期待できる、また薬剤入り注射器なども将来的に市場が拡大する見通し。

・昨年の東日本大震災後の静岡県で起きた地震で富士宮の2工場が被災、医療機器生産が一時的にストップするなど影響を受けた。こうした経験を踏まえ、製品の安定生産・供給に向けて国内の生産拠点を東西に分散させる必要があると判断した。


 

事業継続への体制強化の動きは、武田薬品工業など医薬品メーカーにもあるようですね。「医薬品や医療機器の生産が途絶えれば、人命に影響を与える事態になる。テルモのように離れた場所に工場を持つほか、他社へ一時的に生産委託できる体制を事前に整えておくなど非常時に備えた体制づくりは今後も増えていく見通し(同記事より)」のようです。 

実際、テルモの国内設備の状況を見てみます。 

 

【テルモの国内設備の状況(平成23年3月末現在;有価証券報告書より)】

 設備の内容  設備の帳簿価額  従業員(人)
 富士宮工場  医薬品生産設備  18,999  726
 愛鷹工場(富士宮市)  医療用機器生産設備  18,514  869
 甲府工場  医療用機器・医薬品生産設備  20,697  940
 本社  統括業務施設  1,167  113
 湘南センター  研究開発施設  22,071  505
 合計   81,448  3,153

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

記事のとおり国内生産拠点および研究拠点すべて東日本に集中してますね。

 

さらに、有価証券報告書のセグメント情報で、有形固定資産の所在地別金額割合で日本が78%という高さから、医療機器のかなりの割合を国内で生産しているという点を鑑みると、生産拠点の分散化は急務といえます。

 

 

最後にテルモの最近の業績を見てみます。

 

<テルモ財務情報(当社財務DBより)> 

年度財務情報

4期比較.pdf

四半期情報

2期比較.pdf

 

ポイントは以下の点でしょうか。 

・売上高は増加傾向

・20%近くの売上高営業利益率で安定的に推移

・2012年3月期の四半期状況も売上高、営業利益ともに増加傾向

・自己資本比率80%という自己資本の高さ

 

高い収益力、財務力を備えた優良企業ですね。

高い収益力の源泉は何かというと、下記のグラフとおり事業セグメントの中のカテーテルシステムなどの「心臓血管領域事業」の伸びが多いいようです。しかも、「心臓血管領域事業」の直近期営業利益率は”23%”と高く(ホスピタル事業は17%、輸血関連事業は12%、ヘルスケア事業は営業赤字)、高度な技術が必要な製品で稼ぐ収益構造が読み取れます。

テルモは輸出割合も高いため(海外売上高が直近で46%)、円高環境の中でも、高付加価値製品を国内で製造することにより、為替損失をうまく顧客に転嫁し高利益率の維持を可能としています。

 

       <セグメント内容>

報告セグメント

売上区分

主要製品

ホスピタル事業

ホスピタル医療器類

シリンジ(注射筒)、注射針、真空採血管、在宅輸液システム、

輸液セット、静脈留置針、輸液ポンプ、シリンジポンプ、

酸素濃縮器 他

医薬品類

輸液剤、高カロリー輸液剤、栄養食品、プレフィルドシリンジ、

腹膜透析システム 他

糖尿病事業

血糖測定システム 他

心臓血管領域事業

カテーテルシステム

血管造影用カテーテル、PTCA用バルーンカテーテル、

コロナリーステント、脳動脈瘤治療用コイル 他

人工心肺システム他

人工肺、体外循環システム、左心補助人工心臓 他

人工血管

人工血管、ステントグラフト

輸血関連事業

輸血関連事業

血液バッグ、血液自動製剤システム 他

ヘルスケア事業

ヘルスケア事業

家庭用電子体温計、家庭用電子血圧計、

血糖測定システム(OTC市場) 他

   

製造業の国内空洞化が叫ばれるなか、高付加価値製品を国内で生産することにより、海外生産と国内生産とのうまく住み分けをしているテルモ。オリンパスとの資本・業務提携の話も含めどこまで躍進するのか楽しみです。

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