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2012/01/11 石油資源と石油関連企業

昨日は、三菱商事を中心とした総合商社の資源関連事業についての話でしたが、今日は石油関連にスポットをあてて解説していこうと思います。

今日の日経朝刊9面に、昭和シェルの給与所改装の話題やJX日鉱日石の家庭向けエネルギー診断の記事や国際石油帝石のオーストラリアのLNG売買の記事など掲載されています。

 

◆石油関連企業のステータス

まずは、国内の石油関連企業5社のステータスを見てみます。

 

JXホールディングス 出光興産 コスモ石油 東燃ゼネラル 昭和シェル
証券コード 5020 5019 5007 5012 5002
直近収益(百万円) 9,634,396 3,659,301 2,771,523 2,398,718 2,346,081
直近営業利益(百万円) 334,402 128,771 104,097 33,538  36,701
直近経常利益(百万円)  413,667  128,015 96,094 37,011 42,148
売上高経常利益率(%) 4.29 3.50 3.47 1.54 1.80
個社財務情報(当社財務DB) JXホールディングス.pdf 出光興産.pdf コスモ石油.pdf 東燃ゼネラル.pdf 昭和シェル石油.pdf
比較財務情報(当社財務DB) 石油関連企業比較財務情報.pdf
備考 国内販売シェアダントツのトップ企業。石油開発も手掛ける。ガソリンスタンドでは「ENEOS」ブランド。 ノルウェー、英国、東南アジアを中心に資源開発も手掛ける。2011年にノルウェーの権益を新たに取得。 アラブのアブダビやカタールでの自主開発を拡大模索。アブダビ政府からの資本受入れ、筆頭株主へ。 エクソンモービル系の石油精製会社。ガソリンスタンドは「エッソ」「モービル」「ゼネラル」ブランド。石油開発はエクソンモービルが実施。 ロイヤル・ダッチ・シェルの精製販売会社。

 

JXホールディングスは、2010年4月に新日本石油と新日鉱ホールディングス(ジャパンエナジー、日鉱金属)が持ち株会社方式(株式移転によるホールディングス化)で合併した会社です。

JXホールディングスは、これに伴いグループ再編を実施しており、石油精製販売を行うJX日鉱日石エネルギー株式会社、石油開発を行うJX日鉱日石開発株四会社、金属事業を行うJX日鉱日石金属株式会社を中核事業会社として位置付けています。

 

◆石油ビジネスの流れ

石油ビジネスは、まず、原油・ガスの開発・生産が行われます。

昨日の「資源メジャー」と同様に、「石油メジャー」とよばれる石油開発会社があり、その中でも「スーパーメジャー」とよばれる「エクソンモービル(米)」、「BP(英)」、「ロイヤル・ダッチ・シェル(英蘭)」、「シェブロン(米)」の4大メジャーの存在があります。

 

日本の石油開発会社は、国際石油開発帝石です。

 

国際石油開発帝石.pdf

【リソース】IKP財務データベース

 

それ以外にも、JXホールディングス、出光興産、コスモ石油なども原油・ガス開発などを行っています。

ただ、日本の石油・ガス開発は石油メジャーに比べれば大型開発はまだまだの状況で、スーパーメジャーの行う開発にマイノリティ投資で傘下するパターンが多く、自前の開発はす来ないのが現状です。

 

こうして開発生産された原油は、原油の精製・販売会社へと運ばれます。

上記の日本の石油関連企業は、この精製・販売を主なメイン事業としています。

  

◆原油価格の変動

みなさんも御承知の通り、新興国の台頭により、エネルギー価格は上昇しており、原油価格ももれなく高騰してきました。

原油先物のWTI原油先物がシカゴ市場に上場されていることから、投機筋による価格変動も要因であると考えられています。

WTI原油先物の10年チャートは以下のとおりです。

 

<WTI原油先物 10年月足チャート> 

【リソース】ドリームバイザー・ドット・コム

 

上記の10年チャートでわかるように、2002年1月には1バレル20ドルをきっていたのが、リーマンショック直前までは1バレル145ドルまで高騰していきます。

リーマンショック時の2009年には、1バレル50ドルをきるところまで下落し、今日現在では1バレル100ドルまで回復しています。

 

原油価格は、中国をはじめとする新興国の経済成長にけん引される形で高騰していっていますが、リーマンショック時には世界経済の停滞予測に基づき急落するなど、世界経済の動向に大きく影響受けるようになりました。

これに合わせて、世界のカネ余りの投資対象にもなったことから、10年前には考えられないほどの乱高下する現物資産となりました。

 

こうしたことが実体経済においても影響するようになり、最終製品であるガソリン価格の高騰や石油化学製品の値上げ等につながっています。

日本では「超円高」によって、ある程度のエネルギー資源高騰を吸収している部分もあるため、欧米諸国の先進国に比較すればそれほどの大きな影響を受けていないと考えられます。

 

一方で、ガソリンスタンドを筆頭に競争は激しく、またデフレ環境下にある日本では部材・原料等での価格転嫁が難しく、石油の精製・販売各社は非常に利益率が低い状態が続いています。

 

<精製・販売セグメントの状況>

JXホールディングス 出光興産 コスモ石油 東燃ゼネラル 昭和シェル
直近セグメント売上高(百万円) 8,131,862 3,485,088 2,774,694 2,630,842 2,303,979
直近セグメント営業利益(百万円) 253,682 98,768 583,259 33,528 44,759
セグメント売上高営業利益率(%) 3.1 2.8 2.1 1.2 1.9

※JXホールディングスは「石油精製販売」。出光興産は「石油製品」「石油化学製品」の合計。コスモ石油は「石油事業」と「石油化学事業」。東燃ゼネラルは「石油製品」「石油化学製品」しかセグメントがない。昭和シェルは「石油事業」。

 

シェアトップのJXグループでこそ、3%台の営業利益率を確保するも、出光興産で2.8%、コスモ石油では2.1%です。

東燃ゼネラルは1.4%、昭和シェルは1.9%と、この2社については2%台も確保できていません。

東燃ゼネラルと昭和シェルはスーパーメジャーの日本における精製販売会社としての位置づけにもあるので、JXグループ、出光興産、コスモ石油とは一線を画しますが、全体として利益率の低さが目立ちます。

また、昭和シェル石油は、2008年12月期、2009年12月期と営業赤字であった点や、太陽電池等の「エネルギーソリューション事業」で大幅な営業赤字(セグメント売上468億円、セグメント営業赤字116億円)を出している点でも、収益力の弱さが目立ちます。

 

日経の記事でも「ガソリン価格2週連続下落ー販売競争激しく」とあるように、小売では熾烈な競争状態にあることが伺えます。

 

◆利益率の高い開発事業

これに対して、開発事業は利益率が高く、各社の開発関連のセグメントを分析すると以下のとおりです。

 

<開発事業セグメントの状況>

 国際石油開発帝石 JXホールディングス 出光興産 コスモ石油
直近セグメント売上高(百万円) 943,080 148,757 157,927 69,938
直近セグメント営業利益(百万円) 529,742 59,458 37,525 34,657
セグメント売上高営業利益率(%)

56.17

39.96 23.76 49.55

※国際石油開発帝石は単一事業でセグメントなし。JXホールディングスは「石油開発」。出光興産は「石油開発事業」。コスモ石油は「資源」。

 

精製・販売に比較して、非常に高い利益率であることがわかります。

国際石油開発帝石では、営業利益率ベースで50%を超える状態となっており、資源の権益ビジネスが高利益率であることが容易に理解できます。

 

◆各社の販売体制の創意工夫

こうした状況の中で、日経の記事にも掲載されているように、昭和シェル石油ではガソリンスタンドの改装や決済方法の簡便化等の再投資を行ったり、JXホールディングスではNECと提携して、家庭の省エネ診断等のサービスを開始するなど、消費者の囲い込みに工夫を凝らしています。

 

筆者は学生の頃に、今はENEOSに統一された新日鉱系の「JOMO」のガソリンスタンドでアルバイトをしたことがありましたが、店長からは「ガソリン売ってるだけではアルバイト代は払えない。洗車とメンテ(オイル交換やタイヤ交換、車検等)でアルバイト代を自分で稼げ」と言われ、洗車チケットの厳しい販売ノルマが課せられた経験があります。

今にして思えば、「果たしてこれが顧客満足度を高めることだったのか」と思うこともなくはないですが、それだけ昔から競争が激しい業界だったのを覚えています。

 

昨日の総合商社が資源メジャーへ挑戦していくように、日本の石油精製各社は原油・ガス開発の方へとシフトしていくのでしょうか。

今後の動向が注目されます。

以上

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