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2011/10/12 新ジャスダック発足1年 上場社数、10年ぶり低水準

今日は、日経朝刊15面にジャスダックの上場社数の減少記事が載っていたので、その話題です。

 

<2011/10/12 日経朝刊15面 一部抜粋>


アジア最大級の新興株式市場として発足した「新ジャスダック」が上場企業数の減少と売買の低迷に直面している。12日で発足1年となるが東日本大震災の影響もあり当初1005社だった上場企業数は970社と10年ぶりの低水準に落ち込んだ。他のアジア市場との新規上場の獲得競争も予想され、活性化に向けた取り込みは正念場を迎えている。

新ジャスダックは、国内新興市場での初の本格的再編といわれた旧ジャスダックと大阪証券取引所ヘラクレスの統合で誕生。アナリストリポートの作成支援など上場企業へのサポートを拡充するなど、多様な企業の新規上場を目指している。


 <記事はここまで>

 

旧ジャスダックとヘラクレスの合併により誕生した新ジャスダックですが、発足1年は多難な1年だったようです。

記事にあるように、MBOなどを含めて上場廃止となっているのが46社。一方で、株式マーケットの冷え込みで上場数は減少しています。

 

上場数の減少も気になるところですが、個人的には売買代金の減少が一番気になるところです。

日経の記事によると、1日あたりの売買代金が110億~250億円と00年以降の平均値である約370億円を大きく下回っている状況。

2000年はITバブルなどもあったので、一概に比較はできないのかもしれませんが、売買代金は市場の活性状況を示す1つの目安です。

売買代金が乏しいマーケットは、値動きが荒く、簡単に多額の含み損を抱えるケースも出てくるため、さらに参加者が減少していくという悪循環が生まれます。

 

マーケットへの上場には、さまざまなメリットやデメリットが存在しますが、上場による流動性リスクの低減と適切な資本コストの算定というのがコーポレートファイナンス的な意味での1つのメリットです。

 

非上場企業の株式の場合だと、株式保有者は好きなときに好きなタイミングで株式を売却できないため、一定のリスクを負うことになります。

これを「流動性リスク」といいます。

株式評価では、あらゆるリスクが加味されますので、流動性リスクは株価を押し下げることになります。

このため、上場企業に比べて高い資本コストとなります。

 

また、上場していると、多くの参加者によって常に評価され、適切な株式水準になります(「なる」というより、「なると考えられる」といった方が正確かもしれませんが)。

これは、すなわち裏返せば「適正な資本コスト」へ落ち着くことを意味しており、資金調達の際に適切な資本コストで資金調達することが可能となります。

 

 

これらは上場することのファイナンス理論的なメリットですが、

上場しても、結果として取引参加者が少ない状況だと、流動性コストは軽減されません(取引参加者がいないと好きなときに売れないから)。

また、値動きが荒いと、ボラティリティ(株価変動性)が高くなってしまい、結果として資本コストが高く算出されることになります。

 

 

当社の税務クライアントでも上場を視野に入れている企業もいらっしゃいますが、

日本市場よりも、上海やシンガポール、韓国といった近隣アジアの新興マーケットへの上場の方が魅力的だと答える社長も増えています。

また、通常、上場するまえにVCファンドが投資しますが、VCの方々と話しても、投資資金の回収が多く見込める近隣アジアへの上場というのが常に意識としてあるようです。

 

日本の新興市場がどうなるか、日本経済も含めて、ここが正念場かもしれません。

 

ちなみに、記事にもありました、今年6月の上場したSEMITECの財務情報は次のとおりです。

 

SEMITEC株式会社の財務データベース.pdf

【リソース】IKP財務データベースより

以上

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