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当初認識における公正価値の適用

(平成23年5月16日現在)

3−7.当初認識における公正価値

 公正価値測定は、事後測定だけでなく、当初認識時にも適用されます。

 資産又は負債に関する交換取引において資産が取得され又は負債が引き受けられる場合、取引価格は、資産を取得するために支払われた金額もしくは負債を引き受けるために受取った金額となります(すなわち、入口価格(entry price))。契約においては、資産を売却するために受取った金額もしくは負債を移転するために支払った金額となります(すなわち、出口価格(exit price))。ただし、企業は、必ずしも出口価格で資産を売却するわけではないし、負債を移転するわけではありません(IFRS13.57)。

 

 多くの場合、取引価格は、公正価値と等しくなりますが(IFRS13.58)、取引価格と公正価値が等しくなるとは限りません。このため、公正価値と等しくなるかどうかを判断するため、取引及び資産又は負債に固有の要因を考慮する必要があります。例えば、取引価格が当初認識時に資産又は負債の公正価値を表していない状況として以下のような場合があります。

 

 [当初認識時の公正価値と取引価格が等しくならないケース]

  • 取引が関係当事者間のものである。ただし、取引が市場条項で締結された証拠を企業が有する場合、関係当事者取引における価格が公正価値測定へのインプットとして利用される。
  • 取引が強制的に行われる、又は売り手が取引における価格を受け入れざるを得ない。例えば、売り手が財政上、困難な状態にある場合などがある。
  • 取引価格により表される会計単位が、公正価値で測定される資産又は負債の会計単位と異なる。例えば、公正価値で測定される資産又は負債が取引における構成要素のうちのほんの1つである場合、取引に別個に測定される未公表の権利や特権が含まれている場合、又は取引価格に取引費用が含まれている場合などがある。
  • 取引が行われる市場が主要な市場(又は最も有利な市場)と異なる。例えば、既存の取引に関する主要な(又は最も有利な)市場がディーラー市場におけるその他のディーラーとのものであるが、企業が個人向け市場における個人顧客と取引を締結するディーラーである場合、これらの市場は異なる場合がある。

 

 なお、他の基準が企業に資産又は負債を公正価値で最初に測定することを要求又は許容し、取引価格が公正価値と異なる場合、他の基準で別段の定めがなければ、純損益において利得又は損失を認識しなければなりません(IFRS13.60)。

 

3−8.金融商品における当初認識

 金融商品の場合も同様、企業は、金融資産もしくは金融負債を公正価値で当初認識します。公正価値オプションを適用した金融資産又は金融負債の場合でなければ、直接起因する取引費用を加算もしくは減算します(IFRS9.5.1.1)。当初認識時における公正価値は、通常、取引価格となります。金融商品以外のものと合わせて取引され、取引価格が金融商品以外の項目も含んでいる場合には金融商品の公正価値を測定しなければなりません(IFRS9.B5.1.1)。

 当初認識時における金融資産の公正価値が取引価格と異なる場合、次のように会計処理します(IFRS9.5.1.1A、B5.1.2A)。

  • 当該公正価値が、同一の資産又は負債に関する活発な市場における公表価格(レベル1のインプット)によって証拠づけられる又は観察可能な市場から得られるデータだけを利用している評価技法を基礎としている場合、公正価値と取引価格との差額は純損益に認識する。
  • 上記以外は、公正価値と取引価格との差額を繰り延べる調整を行う。当初認識後に、市場参加者が資産又は負債をプライシングする際に考慮する要因(時期も含む)の変動から生じる範囲でのみ、当該繰延金額を利得又は損失として認識する。

 

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