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IAS第16号「有形固定資産」(認識後の測定 1/2)

(平成23年1月31日現在)

5.認識後の測定 −評価モデル−

企業は、原価モデル再評価モデルいずれかを会計方針として選択し、当該方針を有形固定資産の種類ごと全体に適用しなければなりません(IAS16.29)。

 

原価モデル(Cost model)」とは、有形固定資産項目を、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で計上する方法をいいます(IAS16.30)。

 

再評価モデル(Revaluation model)」とは、有形固定資産項目を、再評価実施日における公正価値から、その後の減価償却累計額およびその後の減損損失累計額を控除した評価額で計上する方法をいいます(IAS16.31)。

6.認識後の測定 −原価モデル−

「原価モデル」とは、有形固定資産項目を、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で計上する方法をいいます(IAS16.30)。

IAS第16号では、原価モデルで行う減価償却手続について、税法に依拠する部分の多い日本基準と異なり体系的に規定されています。 

 

 

<減価償却単位>


有形固定資産項目の減価償却は、取得原価の総額に対して重要性のある構成部分ごと(each part of an item)に個別に実施します(IAS16.43)。このような有形固定資産を構成部分ごと識別し、それぞれに固有に減価償却を実施するという考え方は、コンポーネント・アカウンティング(もしくはコンポーネント・アプローチ)と呼ばれています。

例えば航空機であれば、自己所有しているかまたはファイナンスリースの対象かを問わず、機体部分とエンジン部分を個別に減価償却することが適切となることがあると述べられています(IAS16.44)。

また、当該重要な構成部分は、同一の有形固定資産項目で、同一の耐用年数、減価償却方法である他の重要な構成部分とグループ化して減価償却を実施することもできます(IAS16.45)。

 

 

<減価償却費の会計処理>


減価償却費は、費用として認識しなければなりません。ただし、製造工場及び設備の減価償却費のように、棚卸資産の加工費に含められたり、開発活動に使用される有形固定資産の減価償却費のように、無形資産の取得原価に含められたり、他の資産の取得原価の一部を構成し、その帳簿価額に含められる場合があります。(IAS16.48,49)

 

 

<償却可能額と残存価額>


償却可能額(depreciable amount)」とは、資産の取得原価(または取得原価に代わる価額)から残存価額を控除した金額をいいます(IAS16.6)。

残存価額(residual value)」とは、資産の耐用年数が到来し、耐用年数の終了時点で予想される当該資産の状態であったとした場合に、企業が当該資産を処分することにより現時点で得るであろう金額(処分費用の見積額を控除後)をいいます(IAS16.6)。

 

資産の償却可能額は、耐用年数にわたって規則的な方法で配分しなければなりません(IAS16.50)

 

 

<耐用年数>


耐用年数(useful life)」とは次のいずれかをいいます(IAS16.6)。

 

・資産が企業によって利用可能であると予想される期間

・企業が当該資産から得られると予想される生産高又はこれに類似する単位数

 

耐用年数の決定にあたっては、下記の要因を全て考慮する必要があります(IAS16.56)。

・資産の予測される使用量

・予測される物理的自然減耗

・生産技術の変化もしくは向上、または当該資産によって製造される製品もしくは提供される役務に対する市場重要の変化から生ずる技術的または経済的陳腐化

・資産の使用に対する法的または類似の制約

 

 また、耐用年数は当該資産の使用による得られるである経済的便益、すなわち期待効用の観点から定義されます。また、一定期間後の資産の処分または資産に具現化された将来における経済的便益の一定部分の消費後における資産の処分を資産管理方針としている場合などもあるため、資産の耐用年数はその経済的耐用年数よる短いことがある点にも留意が必要です。このように、資産の耐用年数の見積りは、同様の資産を有する企業の経験に基づく判断の問題ともいえます(IAS16.57)。

 

 

<減価償却方法>


採用する減価償却方法は、資産に具現化された将来の経済的便益の予測消費パターンを反映するものでなければなりません(IAS16.60)。

償却方法には、定額法(straight line method)、定率法(diminishing method)、生産高比例法(units of production method)などがありますが、企業は資産に具現化された将来の経済的便益の予測消費パターンを最も近く反映する方法を選択することになります(IAS16.61)。

 

 

<減価償却の開始と中止>


減価償却は、当該資産が使用可能となったとき、すなわち、当該資産が経営者の意図した方法で稼働可能となるのに必要な場所および状態に置かれたときに開始します。

また、資産の減価償却は、IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に従って売却目的保有の資産として区分される日および資産の認識を中止する日のいずれか早い日をもって中止します。

したがって、減価償却は、資産が完全に償却されていない限り、遊休となっていても又は実際に使用されていなくても、中止することはありません。(IAS16.55)

 

−土地の減価償却−

なお、土地は耐用年数が無限であり、そのため、減価償却は行われません。ただし、土地の取得原価に現場の解体、撤去および原状回復費などの資産除去債務が含まれている場合には、土地資産の当該資産除去債務部分については当該に費用によりもたらされる便益の期間にわたって減価償却します。場合によっては、土地そのものの耐用年数が有限の場合がありますが、その場合にはそれらから得られる便益を反映する方法で減価償却します。(IAS16.58,59)

 

 

<残存価額、耐用年数、減価償却方法の見直し>


資産の残存価額、耐用年数、減価償却方法は少なくても各事業年度末には再検討を行い、予測が以前の見積りと異なる場合には、実態を反映するように変更しなければなりません。当該変更はIAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に従って、会計上の見積りの変更(change in accounting estimates)として会計処理します。(IAS16.51,61)

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