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IFRS第10号「連結財務諸表」(パワー 5/6)

(平成23年12月31日現在)

15.パワーが議決権に関連する場合

投資企業は、議決権もしくは類似の権利を通して関連する活動を指示する現在の能力を有する場合がよくあります。

被投資企業の関連する活動が議決権によって指示される場合、投資企業は、以下の事項を考慮します。(IFRS10.B34)

 

<議決権の過半数を伴うパワー>


被投資企業の議決権の過半数を有する投資企業は、次のいずれかの状況下でパワーを有しているといえます(ただし、議決権の過半数を有しているが有していない場合※を除く)。(IFRS10.B35)

 

(a) 関連する活動は、議決権の過半数の保有者の議決によって指示される
または
(b)

関連する活動を指示する統治機関の過半数のメンバーが、議決権の過半数の保有者の議決権行使によって承認される

 

 ※ 議決権の過半数であるがパワーを有していない場合 

被投資企業の議決権の過半数を保有する投資企業が、被投資企業に対してパワーをもつためには、投資企業の議決権は実質的なものでなければならず、また、当該議決権は関連する活動を指示する現在の能力を投資企業へ提供するものでなければなりません(多くの場合、営業活動の方針や資金調達方針の決定を通じたものとなる)。

もし別の企業が関連する活動を指示する権利を提供する現在の権利を所有し、そして当該企業が投資企業の代理人でない場合、投資企業は被投資企業に対するパワーをもっていないことなります。(IFRS10.B36)

 

たとえ、投資企業が被投資企業の過半数の議決権を保有しても、それらの議決権が実質的なものでない場合、投資企業は被投資企業に対するパワーを持っていることにはなりません。 例えば、関連する活動が政府や裁判所、監督官庁、破産管財人、清算人や監督機関の指示に従う場合は、被投資企業に議決権の過半数を持っている投資企業であっても、パワー持つことができません。(IFRS10.B37)

 

 

<議決権の過半数を有していないがパワーを有する場合>


たとえ被投資企業の議決権の過半数の保有していなくても、投資企業が被投資企業に対するパワーを有する可能性があります。

例えば、下記のような場合を通じて、投資企業は被投資者の議決権の過半数未満でも、パワーを有する場合があります。(IFRS10.B38)

 

@ 投資企業と他の議決権保有者との間の契約上の取り決め
A 他の契約上の取り決めから生じる権利
B 投資企業の議決権
C 潜在的議決権
D 上記@からDの組み合わせ

 

@ 他の議決権保有者との契約上の取り決め

投資企業にパワーを与えるのに十分な議決権を有していなくても、投資企業と他の議決権所有者の間の契約上の取り決めによって、パワーを得るのに十分な議決権を行使する権利を投資企業に与える可能性があります。ただし、契約上の取り決めにより、投資企業が関連する活動に関する決定を行うことができるように、決議方法において、投資企業が他の議決権所有者を十分に指示することができるようにしている場合もあります。(IFRS10.B39)

 

A 他の契約上の取り決めからの権利

他の意思決定権利が、議決権との組み合わせにより、投資企業に関連する活動を指図する現在の能力を与える場合があります。 例えば、契約上の取り決めで明記された権利が議決権との組み合わせにより、被投資企業の製造工程を指図するか、あるいは被投資企業のリターンに著しく影響を与える投資企業のその他の営業活動または財務活動を指図する現在の能力を投資企業が得られる場合があります。 しかしながら、他の権利がない状態で、投資企業に対する被投資企業の経済的依存(主要取引先とのサプライヤーの関係のような)だけでは、投資企業が被投資企業に対してパワーを有していることにはなりません。(IFRS10.B40)

B 投資企業の議決権

議決権の過半数未満の投資企業は、関連する活動を一方的に指示する実質的な能力がある場合には、パワーを得るのに十分な権利を持っていることになります。(IFRS10.B41)

 

投資企業の議決権がパワーを得るのに十分かどうか評価する場合、投資企業は下記の項目を含むすべての事実および状況をすべて考慮します。(IFRS10.B42)

 

(a) 他の議決権保有者の保有数と分散状況との比較における投資企業の議決権の保有数
(i) 投資企業が保有する議決権が多いほど、投資企業は関連する活動を指示する現在の能力を与える既存の権利を持つ可能性が高い
(ii) 議決権を保有する投資企業が他の議決権所有者と比べて相対的に多いほど、投資企業は、関連する活動を指示する現在の能力を与える既存の権利を有している可能性が高い
(iii) 投資企業を投票数で負かすためには、共に行動する必要がある投資企業が多くなればなるほど、投資企業は、関連する活動を指示する現在の能力を与える既存の権利を持つ可能性が高い
(b) 投資企業、他の議決権所有者、他の当事者が保有している潜在的議決権
(c) その他の契約上の取り決めから発生する権利
(d) 前回の株主総会で投票パターンを含む意思決定を行う必要のある場合に、投資企業が関連する活動を指示する現在の能力を持っている、もしくは持っていないかを示す、あらゆる追加事実および状況

 

なお、関連する活動の指示が多数決によって決定される場合で、投資企業が他の議決権所有者あるいは議決権所有者に組織されたグループより著しく多数の議決権を所有し、、他の株式所有者が広く分散している場合、上記(a)~(c)で挙げた要因を考慮すると、投資企業が被投資企業をに対するパワーを有していることが明らかな場合があります。(IFRS10.B43)

一方、他の状況では上記(a)~(c)で挙げた要因を考慮すると、投資企業はパワーを有していないことが明らかにな場合があります。(IFRS10.B44)

しかしながら、上記(a)~(c)で挙げた要因だけでは決定的でないこともあります。もし、これらの要因を検討した後でも投資企業がパワーを有しているかどうか依然として不明確である場合には、前回の株主総会で投票パターンにより実証されている他の株主が消極的な株主かどうかのような追加的な事実や状況を考慮しなければなりません。

追加的な事実や状況には投資企業は関連する活動を一方的に指示する実質的能力を持っているかどうかの証拠例(IFRS10.B18)およびパワーの兆候例(IFRS10.B19,B20)の評価を含んでいます(「11.投資企業の有する権利が関連する活動を指示する能力を与えるものか 」参照)。投資企業はもつ議決権がより少ないほど、また、投資企業を多数決で負かすために協調する必要がある者の数が少ないほど、投資企業の権利がパワーを与えるのに十分かどうかを評価するにあたって、追加的な事実および状況により大きく依存することになります。なお、IFRS10.B18〜B20の中の事実および状況が、投資企業の権利と一緒に考慮される場合、IFRS10.B19,B20のパワーの指標によりも、パラグラフB18中のパワーの証拠を重視すべきとされています。(IFRS10.B45)

 

上記(a)−(d)の要因を考えても、投資企業がパワーをもっているか明らかでない場合、投資企業は被投資企業を支配していません(IFRS10.B46)。

C 潜在的議決権

支配の判定に際し、投資企業はパワーをもっているかどうか決定するために、自らの潜在的議決権と他の者が保有している潜在的議決権を考慮します。 潜在的議決権とは、先渡契約を含む転換可能金融商品あるいはオプションから発生するもののような被投資企業の議決権を獲得する権利です。それらの潜在的議決権は、その権利が実質的である場合のみ考慮されます(IFRS10.B22−B25を参照)。(IFRS10.B47)

 

潜在的議決権を考慮する場合、投資企業が被投資企業に対して有しているその他の関与の目的およびデザインとともに、当該金融商品の目的およびデザインを考慮しなければなりません。 これには、当該金融商品の契約条件のほか、投資企業が契約条件に合意した明白な期待、動機および理由を含んでいます。(IFRS10.B48)

 

投資企業はさらに被投資企業の活動に関連する議決権もしくはその他の意思決定権を有している場合、投資企業は、これらの権利が、潜在的な議決権との組み合わせにより、投資企業にパワーを与えているかどうかを評価します(IFRS10.B49)。

 

実質的な潜在的議決権のみ、あるいは他の権利との組み合わせにより、投資企業に関連する活動を指示する現在の能力を投資企業が得ることができる場合があります。 例えば、投資企業が被投資企業の40%の議決権を保有する場合、さらに20%の議決権を取得することができるオプションにより生じる実質的権利を保有しているケースが該当します。(IFRS10.B50)

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