株式会社インターナレッジ・パートナーズ IKP税理士法人

IAS第38号「無形資産」(認識後の測定 1/3)

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(平成22年12月31日現在)

11.認識後の測定 -評価モデル-

無形資産の認識後の測定方法に関して、原価モデル再評価モデルいずれかを会計方針として選択しなければなりません。再評価モデルを採用した場合は、同一の種類の無形資産についても、活発な市場がない場合を除き、同じ方式を用いて会計処理しなければなりません(IAS38.72)。同一の種類の無形資産とは、企業の業務において同様の特性のある、また同様に使用される資産グループをいいます(IAS38.73)。

 

原価モデル(Cost model)」とは、無形資産項目を、取得原価から償却累計額および減損損失累計額を控除して計上する方法をいいます(IAS38.74)。

 

再評価モデル(Revaluation model)」とは、無形資産項目を、再評価日における公正価値から、その後の減価償却累計額およびその後の減損損失累計額を控除した評価額で計上する方法をいいます(IAS38.75)。

12.認識後の測定 -原価モデル(総論)-

「原価モデル」とは、無形資産項目を、取得原価から償却累計額および減損損失累計額を控除して計上する方法をいいます(IAS38.74)。

原価モデルにおいては無形資産の会計処理は、耐用年数を基礎とします(IAS38.89)。

 

耐用年数を確定できる無形資産償却し、耐用年数を確定できない無形資産償却せずIAS第36号「資産の減損」に従い減損対象となります(IAS38.89)。

 

<耐用年数の査定>


耐用年数(useful life)」とは、次のいずれかをいいます(IAS38.8)。

・資産が企業によって利用可能であると予想される期間

・企業がその資産から得られると予測される生産高またはこれに類似する単位数

 

企業は、まず無形資産の耐用年数が確定できるか、確定できないか査定します。そして、確定できるのであれば、その耐用年数の期間や、製品や構成要素の単位について検討しなければなりません。無形資産に関連するすべての要因の分析に基づいて、無形資産が企業に対して正味のキャッシュ・インフローをもたらすと期待される期間について予見可能な限度がない場合は、企業は当該無形資産の耐用年数は確定できないものとみなします。(IAS38.88)

 

耐用年数を決定するにあたっては、下記のような要因を検討します(IAS38.90)。

企業が予定する使用方法、資産の有効な運営の可能性
その資産の典型的な製品ライフサイクル、同様の用途に供される同様の資産の耐用年数の見積りに関し公表されている情報
技術上、技術工学上、商業上、その他の要因による陳腐化
資産が操業している産業の安定性、資産から産出される産出される製品
サービスに対する市場の需要の変化
競争相手または潜在的な競争相手の予想される行動
資産からの期待される将来の経済的便益を入手するために必要となる維持支出の水準、その水準を達成するために必要な企業の能力及び意図
資産を支配する期間、関係するリース契約の終了期限のような法的または同様の制限
当該資産の耐用年数が、企業の他の資産の耐用年数に依存するか否か

 

また、無形資産の耐用年数に影響する要因には、経済的要因と法律的要因の双方の要因がありますが、耐用年数はこれらの要因により決定される期間のうち、いずれか短い方の期間になります(IAS38.95)。

 

<契約その他の法的権利から生じる無形資産の耐用年数> 


契約その他の法的権利から生じる無形資産の耐用年数は、契約その他の法的権利に基づく期間を超えてはなりませんが、企業がその資産の使用を予定する期間によっては、より短くすることができます

契約その他の法的権利が、更新可能である限定された期間にわたって移転される場合には、多額の費用なしに企業が更新できるという証拠がある場合に限って(※1)、無形資産の耐用年数に更新期間を含めなければなりません

さらに企業結合で無形資産として認識された再取得された権利の耐用年数は、その権利が付与された契約の残存契約期間であり、更新期間を含めてはなりません。(IAS38.94)

 

※1 次の要因がある場合には、重要なコストなしに契約またはその他の法的権利を更新することができることが示されています(IAS38.96)。

経験に基づいて、契約またはその他の法的権利が更新されるという証拠があること

(更新が第三者の同意を必要とする場合には、第三者が同を示している証拠があることを含む)

 更新に必要な条件がすべて満たされるという証拠があること

 企業にとって更新コストが、更新により企業に流入すると期待される将来の経済的便益に比して重要ではないこと

(更新にかかるコストが、更新により企業に流入すると期待される将来の経済的便益に比して重要である場合には、更新コストは、事実上、更新日における新たな無形資産の取得のための原価を表しています)

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