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国際財務報告基準(IFRS)の初度適用(表示及び開示)

(平成22年7月1日現在)

1.比較情報

 IAS1号「財務諸表の表示」に準拠するためには、企業の最初のIFRS財務諸表は、少なくとも3つの財政状態計算書、2つの包括利益計算書(表示する場合には2つの分離した損益計算書)、2つのキャッシュ・フロー計算書及び2つの所有者持分変動計算書並びに関連する注記(比較情報を含む)を含んでいる必要があります(IFRS1.21)。

 企業によっては完全な比較情報をIFRSに準拠して表示する最初の年度よりも前の期間について、過去の推移の要約などを示す場合があります。このような要約についてはIFRSの認識及び測定の基準に従うことは要求されていません。

 さらに、IAS1号の比較情報と合わせて、従前の会計原則に従った比較情報を表示する場合もあります。この場合には、従前の会計原則による情報がIFRS準拠して作成されていないことを明示し、かつ、それをIFRSに準拠したものにするための主要な修正の内容を開示しなければなりません(IFRS1.22)。

2.調整表

 企業は従前の会計原則からIFRSへの移行が、報告された財政状態、財務業績及びキャッシュ・フローにどのように影響したかを説明する必要があります(IFRS1.23)。

 このため、企業の最初のIFRS財務諸表には、いわゆる“調整表”を含める必要があります。調整表には以下のものがあります。

 

(a)次の両方の日付について、従前の会計原則に従って報告されていた自己資本から、IFRSに準拠した自己資本への調整表

●IFRS移行日

●従前の会計原則に従った企業の直近の年次財務諸表に表示されている最終年度の末日

(b)企業の直近の年次財務諸表における最新の期間についてIFRSに準拠した包括利益合計額の調整表。この調整の出発点は、従前の会計原則に従った同じ期間に係る包括利益合計額又は企業がそのような合計額を報告していなかった場合には、従前の会計原則による純損益とする。

(c)企業がIFRS移行日に開始する期間にそれらの減損損失又は戻し入れを認識したとすればIAS36号「資産の減損」で要求されていたであろう開示(IFRS開始財政状態計算書を作成する際に企業が初めて減損損失を認識するか又は戻し入れた場合)

 

 上記(a)、(b)で要求されている調整表は、利用者が財政状態計算書及び包括利益計算書に対する重要な修正を理解できるように十分詳細な開示が必要です。企業が従前の会計原則のもとでキャッシュ・フロー計算書を表示していた場合には、キャッシュ・フロー計算書に対する重要な修正も説明しなければなりません(IFRS1.25)。

 企業が従前の会計原則のもとで誤謬に気付いた場合には、調整表において、誤謬による修正と会計方針の変更による修正とを区別する必要があります(IFRS1.26)。なお、IAS8号は、IFRS初度適用に関する会計方針の変更を取り扱っていないため、IAS8号で求められる会計方針の変更については開示する必要がありません(IFRS1.27)。

3.金融資産と金融負債の指定に関する開示

 IFRS1号D19項にあるとおり、従来区分されていた金融資産と金融負債の区分を、再指定することが許容されています。この際、企業は、指定日時点で各分類に指定された金融資産と金融負債の公正価値、区分及び以前の財務諸表における帳簿価額を開示する必要があります。

4.みなし原価としての公正価値の使用

 企業が、IFRS開始財政状態計算書において、有形固定資産、投資不動産又は無形資産のある項目について公正価値をみなし原価として用いる場合(D5項及びD7項参照)には、企業の最初のIFRS財務諸表は、それらの公正価値の総額と従前の会計原則で報告された帳簿価額に対する修正額の総額について開示する必要があります(IFRS1.30)。

 また、石油及びガス資産についてのみなし原価規定を適用している場合にも、その旨及びみなし原価の基礎となる従前の会計原則で用いた帳簿価額について開示する必要があります(IFRS1.31A)。

5.子会社、共同支配企業及び関連会社に対する投資へのみなし原価の使用

 企業が、IFRS開始財政状態計算書において、個別財務諸表における子会社、共同支配企業及び関連会社に対する投資の原価について、みなし原価を使用する場合には、以下の事項を開示する必要があります(IFRS1.31)。

 

(a)みなし原価が従前の会計原則における帳簿価額である投資のみなし原価の総額

(b)みなし原価が公正価値である投資のみなし原価の総額

(c)従前の会計原則のもとで報告されていた帳簿価額に対する修正の総額

6.中間財務報告における開示

 IAS34号に従った中間財務報告を表示する場合には、以下のとおりとします(IFRS1.32)。

 

(a)企業が直前事業年度に対応する中間期間について中間財務報告を表示していた場合には、次の調整表を含める。

●対応する中間期間末日現在の従前の会計原則に従った自己資本から、IFRSに準拠した同日現在の自己資本への調整表

●対応する中間期間(当該時間及び期首からの累計)に係るIFRSに準拠した当該期間の包括利益合計額の調整。この調整の出発点は、当該期間に係る従前の会計原則に従った包括利益合計額又は企業がそのような合計額を報告していなかった場合には従前の会計原則に従った純損益とする。

(b)上記(a)で要求されている調整表に加えて、企業の最初のIFRS財務諸表の対象となっている期間の一部分に係るIAS34号に従った中間財務報告には、IFRS1号24項(a)及び(b)で示されている調整表(25項及び26項で要求されている詳細を補足したもの)又はそれらの調整表を含んだ他の公表文書に対する参照を含めなければなりません。

 

 IAS34号は、中間財務報告の利用者は直近の年次財務諸表も利用できるという前提に基づいて、最低限の開示しか要求していません。しかし、「当中間期間を理解するのに重要な事象又は取引」の開示を企業に要求しており、初度適用企業が、従前の会計原則に従った直近の年次財務諸表において、当中間期間の理解にとって重要な情報を開示していなかった場合には、中間財務報告で当該情報を開示するか又はそれを含んでいる他の公表文書への参照を記述する必要があります(IFRS1.33)。

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